大正時代から存在していた旧・吹田操車場横に戦後になって開業した、JR京都線(東海道本線)の島式2面4線の地上駅。
駅の所在地は「岸部」だが、駅を開業した国鉄の意向で「岸辺」と名付けられ、当駅より約20年先に開業した競合の阪急正雀駅とは徒歩5分程度の距離にある。
駅周辺は、時代と共に役目を終えた吹田操車場跡地への貨物駅(吹田貨物ターミナル駅)受入れに伴う再開発で大変貌を遂げつつあり、橋上駅舎と共に建設された全長110mにも及ぶ大跨線橋は、生まれ変わった岸辺駅の象徴的存在として、圧倒的な眺望を提供する一大スポットとなっている。
外観・駅周辺
2012年(平成24年)に橋上化された真新しい駅舎が美しい岸辺駅。その南口を望む。
当駅の存在する地名は吹田市「岸部」だが、駅名は「岸辺」で漢字が異なる。これは、当駅を開業させた国鉄が簡単で間違えにくい表記を採用したことによるものらしい。
ちなみに地名である「岸部」も、元々は「吉志部」と称し、1889年(明治22年)の町村制施行時に簡略化されたものらしい。
つまり、岸辺駅は旧地名である「吉志部」を2度簡略化させたという、駅名にちょっとしたトリビアが隠されている。
その岸辺駅南口から南東方向に徒歩5分ほど進むと、、、
競合となる阪急京都線・正雀駅にたどり着く。この写真の場所はまだ吹田市だが、奥に見える駅舎は摂津市となっている。
正雀駅は岸辺駅より約20年早い1928年(昭和3年)に開業している。
今度は岸辺駅の北口に回ると、かなり開放的な風景が開けている。
橋上化に合わせて駅前広場も整備され、桃山台・千里中央方面行きのバスも発着している。
実はこの場所は、1923年(大正12年)に開設され、1984年(昭和59年)まで稼働していた吹田操車場が存在した場所である。
その北口広場から望む長い跨線橋。この階段の屋根の形状は、千里丘陵の山並みを表現しているらしい。
2012年(平成24年)に駅橋上化と共に設置され、それまでは長く暗い地下道を要していた連絡通路が明るく開放的なイメージに大変貌を遂げた。
その北駅前広場から南西方向には、その千里丘陵を開発した新興住宅地の光景が拡がっている。
そして、駅北西側にある広大な未開拓原野。
これも吹田操車場跡地の一部で、現在は阪急北千里駅北方にある国立循環器病センターがこの地に移転する予定となっている。
そして、駅南西側にあるもう一つの未開拓原野。
市立吹田市民病院を移転させ、宿泊施設等の複合商業施設も開発。国立循環器病センター(国循)を中心とした「緑と水につつまれた健康教育創生拠点」形成を目指しており、今後さらなる大変貌を遂げる模様だ。
改札口・コンコース
当駅の名物は、南北に長い、何と全長110mにも及ぶ開放感抜群の跨線橋だ。
改札口は駅南口付近に1か所設置されている。
当駅の開業は1947年(昭和22年)とJR京都線(東海道本線)の駅にしては比較的新しい部類に入るが、実はこの地には1923年(大正12年)より稼働する吹田操車場が存在していた。
今度は駅北口側から跨線橋を望む。
かつては大隆盛を極めていた吹田操車場だが、時代と共に1984年(昭和59年)のその役目を終え、広大な跡地の再利用が課題となっていた。
その跨線橋からは、貨物線を走行する289系特急くろしお号や、、、
岸辺駅外側線を爆速通過する223系新快速の姿等、まるで鉄道ジオラマのような光景が堪能できる絶景スポットとなっている。
その跨線橋から西方向を望むと、隣の吹田駅前に君臨するタワーマンション「メロード吹田一番館」の姿がはっきりと見て取れる。
そして、駅北側は役目を終えた吹田操車場が新たに吹田貨物ターミナル駅として、2013年(平成25年)より営業を開始した。
吹田貨物ターミナル駅は、再開発目的で閉鎖された梅田貨物駅の後継となる貨物駅で、この開放感抜群の跨線橋は、吹田市がこの貨物駅受け入れの条件として建設されたものである。
岸辺駅と吹田貨物ターミナル駅は同一構内扱いとなっていないが、この跨線橋の建設によって、電気機関車が多数往来する貨物駅の光景も楽しめるようになり、まさに岸辺駅大変貌の象徴的存在となっている。
当駅の利用客数は1日約3万人。
かつては競合の阪急正雀駅と肩を並べていたが、当駅の利便性の高さと阪急摂津市駅の開業が相まって、近年は正雀駅を大きく引き離している。
改札内コンコースも綺麗にリニューアルされ、かつての古くて暗い印象が吹き飛ぶ大変貌を遂げている。
改札内コンコースから改札口方向を望む。光が差し込む設計となっているドーム屋根が明るい印象をさらに引き立てている。
そして、改札内コンコースからは全長110mの大跨線橋の姿も一望でき、、、
地上ホームの姿も、もちろん堪能できる。そして、写真右奥・駅南東側には阪急最大の車庫である正雀車庫と正雀工場の姿も確認できる。
時刻表
JR京都線:高槻・京都方面
当駅は優等が一切停車しない駅となっており、4扉のロングシート普通車が、日中毎時8本運行されている。
原則は京都行きと高槻行きが交互に運行されるが、昼間一部時間帯はすべて高槻どまりとなるため、京都方面に向かうには高槻での乗り換えを要する。
JR京都線:大阪・三ノ宮方面
大阪方面行きも同様に、4扉普通電車が日中毎時8本、JR神戸線の須磨・西明石方面行きと、JR宝塚線の新三田行きが交互に運行されている。
競合となる阪急正雀駅との比較では、本数はJRが2本多く、所要時間は大阪・梅田まで阪急普通が24分に対し、JR普通は11分と圧倒的な差となっている。
乗り場
ホームは島式2面4線だが、外側線は通過列車専用で柵で閉鎖されているため、実質的には相対式2面2線構造となっている。
ホーム端から吹田・大阪方面を望む。右奥に見える吹田貨物ターミナル駅は、梅田貨物線の起点駅となっている。
その吹田貨物ターミナル駅を併設しているため、駅北口はかなり遠くの方にあることがわかる。
大阪方面行きの2番のりばに、321系の普通宝塚方面新三田行きがやってきた。
尼崎からJR宝塚線に乗り入れるため、種別幕のラインが同線のラインカラーである黄色になっている。
そして、閉鎖されている外側1番のりばを223系新快速姫路行きが爆速で通過していく。ホームが閉鎖されているためか、通過案内放送が一切されず意外とスリリングな光景である。
次の2番のりばは、321系の後継元となった207系の普通西明石行き。終点まで東海道本線を走行するため、種別幕のラインカラーは青のままだ。
そして、向かいの3番のりばには、321系の普通京都行きが入線。京都行きは朝夕のみの運転となっている。
次の3番のりばは、同じく321系の普通高槻行き。昼間時間帯はすべての普通が同駅止まりとなる。
京都方面行き3・4番のりばホームからは、併設する吹田貨物ターミナル駅を行き交う電気機関車の姿も堪能できる。
今度はホーム東側より撮影。駅舎の橋上化だけでなく、ホーム全体も綺麗にリニューアルされた。
外側1番のりばのさらに外側には、山崎駅のような待避線が設置されている。
ただでさえ複々線の開放的な眺望が魅力のJR京都線だが、大貨物駅が併設されていることで、さらに開放度が増している。
そして、外側1番のりばを、大阪から特急はまかぜとして運用されるであろうキハ189系の通過風景に遭遇した。
ホーム東端から千里丘・高槻・京都方面を望む。ここから線路はやや北方向にカーブしていき、阪急正雀工場の真横を通り過ぎていく。
その美しい曲線からやってきた221系快速電車が、内側線を爆速で通過していった。
えきログちゃんねる
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