ニュータウン開発等で全国屈指の人口増加率を誇る京都府最南端の都市・木津川市の代表駅である、島式2面4線の地上駅。
大和路線(関西本線)・奈良線・学研都市線(片町線)の3線が集結するターミナル駅で、駅北側で3路線が単線分岐するという、関西では非常に珍しい光景が堪能できる。
また、大変貌を遂げた駅舎と駅周辺の斬新感と、古き良き国鉄駅の雰囲気を色濃く残すホームの超レトロ感との激しいギャップも魅力的で、歴史あるターミナル駅にふさわしい魅力が詰まった駅である。
目次
外観・駅周辺
京都府の最南端、奈良県との県境に位置する木津川市の代表駅である木津駅。
2007年(平成19年)より完成した橋上駅舎によって大変貌を遂げた西口広場を望む。
その橋上駅舎が共用化された同じ年に発足した新生・木津川市によって、駅西側で大規模な区画整理が実施され、国道24号にかけての目抜き通りが綺麗に整備された。
当駅属する旧・木津町、加茂駅属する旧・加茂町、そして棚倉駅属する旧・山城町が合併して2007年(平成19年)に誕生した木津川市。
国家プロジェクトである「関西文化学術研究都市」のニュータウン開発等により、全国でも有数の人口増加率を誇り、市名は当駅北側を流れる木津川に由来している。
橋上駅舎に向かう階段横には、駅の東西を結ぶ連絡通路が2008年(平成20年)より共用化されている。
これは、地平駅舎時代におけるホームへの連絡通路を再利用したものらしい。
その東西連絡通路を通って駅東側に抜けると、こちらも綺麗に整備された駅前広場が拡がっている。
そして、圧巻なのが駅東側に拡がる広大な未開拓原野。
駅東口から未開拓原野に向かってまっすぐ伸びる道路は、木津駅前東線。
一面が未開拓原野に見えるが、実はこの道路の向こうは「城山台」と名付けられた、計画人口11,000人の大規模新興ニュータウンが建設されている。
そして、その直線美に見とれてしまう木津駅前東線から目をやや南に転じると、モヒカン刈りが見る者の目を惹きつけて離さない風貌の丘を発見。
これは、2014年(平成26年)に整備されたばかりの木津城址公園。
木津城は、中世期に当地を支配していた国人・木津氏の居城であったが、本当にこの場所であるかについては色々と議論があるようだ。
改札口・コンコース
当駅は1896年(明治29年)に開業した非常に歴史のある駅で、古くから交通の要衝として重要な役割を果たしてきた。
長らくレトロ感満載の平屋駅舎だったが、2007年(平成19年)に橋上駅舎化された。
改札口はその橋上コンコースの中央に1か所。
その橋上コンコースからは、北の木津川方向にある、全国でも珍しいと思われる乗入れ3線の単線分岐の様子を伺うことが出来る。
左に折れるのが学研都市線・京橋方面、真ん中を直進するのが奈良線・京都方面、そして右に折れるのが大和路線・加茂方面となっている。
今度は、改札内コンコースから改札口方向を望む。
木津川市の誕生と時を同じくして完成したこの橋上駅舎は、新生・木津川市の代表駅にふさわしい風格へと大変貌を遂げた。
当駅の利用客数は1日約7500人だが、この10年間で20%増となっている。
相次ぐニュータウン建設による全国屈指の人口増加率の好影響が、当駅の利用客数に如実に反映されている。
その改札内コンコースからは、南方向の平城山・奈良方面の様子が伺える。
北側は珍しい3線の単線分岐となっているが、南側は普通の複線が伸びていく。
時刻表
学研都市線:四条畷・京橋・北新地方面
学研都市線(片町線)はほぼ全列車が当駅始発の快速・区間快速電車となっており、京橋からJR東西線を経由して、尼崎からJR宝塚線(福知山線)に乗り入れる。
昼間時間帯は尼崎の一つ先の塚口止まりだが、朝夕時間帯は宝塚・新三田方面まで向かう。
当駅から大阪の東の玄関口・京橋までは約1時間程度で走行する。
大和路線:加茂・亀山方面/奈良線:宇治・京都方面
大和路線の北行きは次の加茂駅から非電化区間に入るため、全列車同駅止まりとなり、うち半数は加茂駅始発のディーゼルカーに連絡を行う。
一方、奈良線の京都方面行きの日中は、みやこ路快速と普通電車が毎時2本ずつ運行され、普通は宇治駅で後続のみやこ路快速の待ち合わせを行うダイヤとなっている。
京都まではみやこ路快速で約40分で到着する。
大和路線:奈良・天王寺・大阪環状線方面
大和路線の南行きは、奈良線から乗り入れる奈良止まりのみやこ路快速・普通電車と、大阪方面に向かう大和路快速がそれぞれ毎時2本ずつ運行される。
みやこ路快速は次の平城山駅を通過するが、大和路快速は同駅含め王寺まで各駅に停車し、同駅より大阪方面は快速運転となる。
奈良までは普通電車でも10分弱、天王寺へは大和路快速で約40分、大阪へは同列車で約1時間で到着する。
当駅は京都府にある駅だが、距離感から奈良との結びつきが最も強くなっている。
乗り場
ホームは島式2面4線。ターミナル駅の風格を醸し出す広い構内が特徴的で、真新しさがまぶしい橋上駅舎と、レトロ感満載のホームとの激しいギャップも魅力的である。
【1番のりば】学研都市線:四条畷・京橋北新地方面
駅西端の1番のりばから、ほぼ直角にカーブして真西に向かう学研都市線(片町線)。
1番のりばからは大和路線(関西本線)・奈良線方面にも行けるが、学研都市線(片町線)へはこの1番のりばからしか乗り入れが出来ない配線となっている。
従って、学研都市線の電車は1番のりばからの折り返しとなっており、207系区間快速塚口行きが停車中。
1番のりばの駅票は、学研都市線の黄緑色でカラーリングされている。
西木津方面からは1番のりばにしか乗入れられないため、学研都市線からやってくる1日数本だけの奈良行きの電車は、この1番のりばから発車する。
1番のりばの西側は、かつては広大な貨物駅が拡がっていたが、1984年(昭和59年)に廃止となった。
学研都市線の前身である国鉄片町線を開通させたのは、関西本線(大和路線)の建設母体である旧・関西鉄道。
1898年(明治31年)9月から木津駅に乗り入れた片町線だが、それまでの3か月間は当駅から600m西にある新木津駅が終着駅だったらしい。
【2番のりば】大和路線:加茂・亀山方面/奈良線:宇治・京都方面
当駅は島式2面4線だが、両島の間が不自然に空いている。かつてはこの間に2本の中線が敷設されていたが、現在は撤去されている。
2番のりばからは、大和路線(関西本線)の加茂行きと、奈良線の京都方面行きの電車が発車する。
その2番のりばに、まだまだ現役で活躍中の国電車103系が、奈良線の普通電車京都行きとしてやってきた。
奈良線は当駅に最初に乗り入れを開始した路線で、同線を開通させたのは奈良線と桜井線の建設母体である奈良鉄道という鉄道事業者であった。
次に2番のりばにやってきたのは、221系みやこ路快速京都行き。先行する普通電車に宇治で追いつく。
そのみやこ路快速の横顔。
奈良鉄道は、その後1905年(明治38年)に学研都市線(片町線)と関西本線の建設母体である関西鉄道と合併された。
【3・4番のりば】大和路線:奈良・天王寺・大阪環状線方面
駅舎は斬新なスタイルに変貌を遂げたが、ホームは古き良き国鉄の駅の風情が、レトロ好きにはたまらない魅力を醸し出している。
ホーム端から北方向を望む。左側に真っ直ぐ進むのが奈良線の京都方面、右側に折れていくのが大和路線(関西本線)の加茂方面。
3番のりばには、奈良線・大和路線両線の電車が入線できるが、4番のりばには大和路線・加茂方面からの電車しか入線できない配線となっている。
その3・4番のりばホームから、駅東側に拡がる未開拓原野を望む。かつてはこの駅前広場に6本もの留置線が存在していたらしい。
そして、4番のりばホームからは、城山台ニュータウン方向の開放感満載の光景を堪能することが出来る。
3番のりばに、京都方面からの103系奈良線・普通奈良行きがやってきた。奈良線の電車は、普通・快速共に3番のりばに入線する。
その3番のりばホームから、1・2番のりばホームを望む。
1番のりばには、当駅始発の学研都市線(片町線)の207系区間快速塚口行きが停車しているのが見える。
次に3番のりばにやってきたのは、221系みやこ路快速奈良行き。みやこ路快速は、次の平城山駅は通過する。
かつては気動車がのんびりと走行するローカル色満載の駅だったが、電化等の輸送改善の影響で、電車が頻発する近郊路線の駅へと変貌を遂げた。
そして、加茂からやってきた大和路快速・大阪行きは、配線上4番のりばに停車する。
関西本線(大和路線)も片町線(学研都市線)同様、旧・関西鉄道が敷設した路線だが、関西本線は当初は当駅への乗り入れを行わなかったらしい。
開通当時の関西本線は、駅東側にあるモヒカン山である木津城址公園のさらに東側にある大仏駅を通るルートを走行していた。
当駅への乗り入れを開始したのは、関西鉄道が奈良鉄道を吸収合併してから2年後の1907年(明治40年)のことである。
えきログちゃんねる
[JR木津駅]学研都市線と奈良線の連続入線風景201603
[JR木津駅]奈良線103系普通京都行き発車風景201603