JRと同一改札で乗り換え可能な関西では珍しい構造を持つ2面4線の高架駅。
梅田・天王寺へと繋がる大阪環状線との大量の乗り換え客が寄与し、1日約15万人と近鉄第二位の利用客数を誇る中核駅であり、特急含む全列車停車駅。
駅構内で繋がるJRとの乗り換え客が大半を占め、当駅で完全下車することをほとんど想定していないかのようなレトロな駅舎構造となっている。
駅の外を一歩出ると、異国情緒あふれる光景が漂っており、日本最大のコリアンタウンに君臨している様が伺える。
目次
外観
JRとの構内乗り換えが中心でなかなか駅の外に出ることがない鶴橋駅の構外に出てみる。
駅前を走る千日前通を上本町(西)方向に望む。「鶴橋駅」と表記のある高架はJRの駅であり、近鉄の駅が存在することはここからはわからない。
その高架下まで来てみる。構内改札を除けば、もっとも人通りの多い西口だが、ここもJRだけで近鉄の表記は見当たらない。
その西口を入るとJR鶴橋駅の改札口だが、その奥にJR仕様で「近鉄線のりば」と書かれた看板を発見。
そこは何とも言えないレトロな空間。近鉄の駅はこの空間を通らないとたどり着けない。
この空間を反対側から撮影。1日15万人もの人が利用する駅前とは思えない空間だ。JRと近鉄の構内乗り換えが中心で、駅の外に出る人がもともと少ないのだろう。
奥に見えるのが地下鉄千日前線鶴橋駅の地下駅へ繋がる階段。
ようやく近鉄鶴橋駅の改札口までたどり着く。ここまで来てようやく近鉄鶴橋駅の看板にお目にかかれた。
上の写真の左側方向を望む。鶴橋商店街(通称「つるしん」)の入り口看板が見える。
この看板をくぐった先は、日本最大のコリアンタウンの所在地であることを見せつける異国情緒あふれた空間が広がる。
その「つるしん」の入り口を千日前通方向から望む。
改札口・コンコース
まず、これが最も人通りの多い、JRとの構内改札。駅構内の同一改札で他社線との乗り換えが出来る駅は関西では珍しい。
こちらはJR鶴橋駅外回りの天王寺方面行きホームにつながる構内改札。
これが京橋・大阪方面に向かう内回りホームにつながる構内改札。
鶴橋駅の利用客の大半はこの構内改札を経由するため、駅構外に降りる人は少ないと推察される。
近鉄駅の構内にJR線の切符売り場が並ぶという珍しい光景が見られる。
ちなみに、この改札における改札機の管理は、JRから近鉄への改札はJRが、近鉄からJRへの改札は近鉄管轄となっているとのこと。
時刻表
奈良線:生駒・大和西大寺・奈良方面
奈良線は間違えて土休日バージョンを撮ってきてしまった。
日中は1時間当たり、
阪神線から直通する快速急行:3本
近鉄線内完結の急行:3本(終点まで先着)
東花園から各駅となる区間準急:3本
各駅停車:6本(うち3本:大和西大寺行き、残り3本:東花園止まり)の計15本体制。
これに特急が毎時1本程度加わるので、かなりの高頻度運転となる。近鉄の基幹路線にふさわしい本数だ。
大阪線:河内国分・大和八木・名張・五十鈴川方面
大阪線は全行程100kmを超えるロングラン路線だが、奈良線ほど沿線人口の多いところを通らないため、本数が少ない。
日中は1時間当たり、
長距離急行(五十鈴川・青山町行き):3本
中距離区間準急(名張・榛原行き):3本(朝夕ラッシュ時は準急に)
短距離各駅停車:5本の計11本体制。これらが伊勢志摩・名古屋方面に毎時4本程度走る特急の合間を縫って走る。
急行は布施を出ると普通の終点である河内国分まで途中の駅には止まらず、八尾以降は区間準急が各駅停車の役割を果たすという、典型的な遠近分離ダイヤとなっている。
上本町駅から10キロも離れていない準急停車駅の近鉄八尾駅でも利用客が3万人程度しかいないので、この本数でも十分ということなのだろう。
難波線:大阪難波・阪神線(尼崎・神戸三宮)方面
阪神なんば線開業により、奈良線(公式には難波線)が大阪難波駅から阪神戦の尼崎・神戸方面に直通運転するようになった。
阪神なんば線に乗り入れる列車は、日中時間帯は有料特急を除いた再速達の快速急行神戸三宮行きが3本と各駅に止まる尼崎行きが6本の計9本/時の体制。
残りの奈良線の電車は大阪難波止まりとなる。
近鉄特急:名古屋・伊勢志摩・奈良方面
特急は奈良行き以外は、布施から大阪線に入る。
大半は大阪難波駅始発で、大阪線に入るのは、名古屋行きが2本(うち1本は途中三重県の津駅だけの止まるアーバンライナー)、伊勢志摩方面行きが2本(賢島行き1本、鳥羽行き1本)。
土休日には残り1本奈良行きが加わり、夕ラッシュ時は通勤客と観光客の着席サービス目的で毎時2本に増発される。近鉄特急は有料だ。
乗り場
【1番のりば】奈良線:生駒・大和西大寺・奈良方面
1番のりばは一応反対側にもホームがついているが、現在は使用されていない。使われていない広告枠が並んでいるのが気になる。
1220系の大阪難波発の各駅停車奈良行き。昼間時間帯の奈良行きの各駅停車は闇に珍しい存在だ。
今度は5800系の各駅停車東花園行き。競合するJR大和路線の大和路快速の対抗上、奈良線にもクロスシート車が導入されている。
1番のりばのホーム端から奈良方面を望む。このあまりにレトロなトタン屋根の行列が実は鶴橋商店街だったりする。
反対側の上本町・なんば方面のホーム端は、JR環状線内回り線ホームへの構内改札につながっている。
同じ駅なのに、奈良方面方のホームとは明らかの様相が異なっている。
人の流れがJRとの乗り換え改札のある上本町・難波方に集中するので、奈良方面方ホームは狭くなっている。
近鉄仕様の駅票。
上本町・難波方ホームはJRの高架下にあるので、全体が覆われた感じになっており、駅外のレトロな感じが完全に隠された格好となっている。
到着の電車は、阪神なんば線から直通の1020系快速急行奈良行き。当駅を出ると石切まで止まらない。
【2番のりば】大阪線:河内国分・大和八木・名張・五十鈴川方面
大阪線の電車は長距離を走るものの、利用客が相対的に少ないため、短い編成の電車が多い。
到着は2470系の区間準急榛原行き。ここから約50キロの中距離運行だが、4両編成で駆け抜ける。
準急は当駅を出ると、布施と八尾からの各駅に止まる。布施から河内国分まで止まらない急行を補完している。
1番のりばに奈良線の8000系急行奈良行きと、2番のりばに大阪線の2410系各駅停車高安行きが同時入線。
両車は系列が全く違うが、パッと見全く同じ顔に見え、素人目には違いがよくわからない。
1番のりばと2番のりばに電車が同時に到着すると、平日昼間でもなかなかの混雑ぶりとなる。さすが近鉄第二位の利用客を誇る駅だ。
近鉄の特急は有料なので、特急停車駅のホーム上には特急券うりばがある。
大阪上本町始発の22600系ACEの特急鳥羽行き。
特急の大半は大阪難波始発だが、1時間に1本の鳥羽行きは大阪上本町の地上ホームを始発駅としている。
ほとんどの人は特急をやり過ごす。
3番のりばから、大阪線の2番のりばホームを望む。到着の電車は形式がわからないが、各駅停車河内国分行き。短い4両編成だ。
【3番のりば】難波線:大阪難波・阪神線(尼崎・神戸三宮)方面
名古屋からの21000系特急アーバンライナー大阪難波行きが到着。
こちらは伊勢志摩方面からの22000系ACEの特急大阪難波行き。近代的な列車が走る沿線風景のレトロさとのギャップが凄まじい。
これも名古屋からの特急12200系新スナックカーの大阪難波行きだが、こちらは津しか止まらないアーバンライナーと違って、いろんな駅に停車する。
デビューから40年以上経つ大ベテランだ。
阪神なんば線と直通運転するようになってから、3番のりばの行先案内がこれまでの難波行き一辺倒だったのが、バラエティーに富むようになった。
日中時間帯は大阪難波行きのほかに、尼崎行きと神戸三宮行きが見られる。
シリーズ21である9820系の快速急行神戸三宮行き。大阪難波から阪神なんば線に直通し、尼崎から阪神本線に入る。
電車の方向幕上は正式駅名である「神戸三宮」と表記されているが、駅の発車案内板及び構内放送ではただの「三宮」と案内される。
右側が3番のりばに到着の同じく9820系の各駅停車大阪難波行き。
上本町・難波方にあるJR環状線との乗り換え改札に向かう階段付近は、大変込み合うので、ホーム幅がかなり広くなっている。
3番のりばの発車案内掲示板。各駅停車で終点まで先着する場合、「~へも」という表現が使われるのが近鉄の特徴。
【4番のりば】大阪線:大阪上本町行き
4番のりばは、次の大阪上本町駅の地上頭端式ホームに向かう電車が発車する。
なので、このホームからの乗客は、上本町からも先に向かう3番のりばに集中する。
4番のりばから駅構外を眺める。異国情緒満載の風景だ。
夜になると、駅中に充満する焼き肉の香りが楽しめるというお土産が待っているそうだ。
えきログちゃんねる
この変わらない淑女の声は何とも言えない癒しを与えてくれる。
近鉄は今では少数派となった「行先→種別」順の案内放送だ。
各駅停車が終点まで先着する場合「高安『へも』この電車が先に到着します」という案内が近鉄の特徴。