東京・銀座、大阪・心斎橋と並ぶ神戸の名門高級商店街・元町商店街の西端に位置する、神戸高速線の相対式2面2線の地下駅。
かつては三越神戸店を擁する「ハイカラ」な賑わいを見せていたが、閉店後の現在は商店街東端の元町駅周辺とは異なった、何とも言えない「レトロ」な哀愁感漂う魅力的な雰囲気となっている。
但し、往時のハイカラな雰囲気は、東に200mほどの阪急神戸高速線花隈駅至近にある本願寺神戸別院で味わうことが出来る。
外観・駅周辺
三宮と並ぶ神戸有数の繁華街の表玄関・元町駅から一駅西に位置する西元町駅。その東口を望む。
しかし、実はその西元町駅東口のすぐ南側は、アーケード街となっており、、、
大丸前スクランブル交差点から伸びる、東京・銀座、大阪・心斎橋と共に老舗が並ぶ名門高級商店街として知られる元町商店街となっている。
この元町商店街は、西元町駅の西口まで約1.2kmほどの長い商店街で、昭和初期まではモボ・モガ(モダンボーイ・モダンガール)が闊歩するハイカラな商店街として名を馳せていたらしい。
現在は、当時のハイカラがレトロな雰囲気を醸し出している。
上の写真の場所から西元町駅東口方向を望むと、JR神戸線(東海道本線)の高架が見える。
当駅は、元町駅と同じ中央幹線上に位置しているものの、JRの駅が併設されていないせいか、同駅に比して人通りもまばらでかなり落ち着いた様相を呈している。
その西元町駅東口から、中央幹線(兵庫県道21号神戸明石線)を東に向かい、奥に見える歩道橋に上ってみると、、、
その歩道橋から西の西元町駅方向を望むと、平日昼間ということもあるが、車通りや店舗もかなり少なく、哀愁感漂う雰囲気となっている。
今度は上の写真の場所から反対の東方向の元町・神戸三宮方面を望む。
左側の高架がJR神戸線(東海道本線)で、阪神神戸高速線はこの地下を通っており、JRより南側は西行き一方通行となっている。
そして、この歩道橋は、JRの高架をくぐって北側まで伸びており、、、
そのJR高架の真下は、「花隈南商店街」称するレトロ感満載の商店街が展開されている。
この商店街含むJR元町駅から神戸駅までの高架下は、元町高架通商店街(通称:モトコー)と呼ばれ、裏通り的存在としてマニア受けする商店街となっているようだ。
そのモトコーを北に抜けたJR高架の北側も同じ中央幹線だが、こちらは東行き一方通行となっている。
この地下を阪急神戸高速線が通っており、このまま西に進むと、JR高架南側を走る阪神神戸高速線と合流する高速神戸駅となる。
今度は、上の写真の場所から東方向を望むと、道路沿いのマンションの1階に阪急神戸高速線の花隈駅がひっそりと佇んでいるのが見える。
阪神西元町駅からの距離はわずか200mほどだが、西隣の高速神戸駅で合流することもあってか、乗換駅には指定されていない。
そして、この南北を結ぶ歩道橋を降りて、阪急花隈駅横の交差点を少し北に入ったところには、「モダン寺」の愛称で親しまれている本願寺神戸別院の姿が見える。
言われなければ仏教寺院には見えないこの本願寺神戸別院は、元々1639年(寛永16年)に善福寺として開基され、当時は通常の寺院と同じ造りをしていたらしい。
その善福寺は大正時代に本殿が焼失し、1929年(昭和4年)に復興されたが、その際に日本初のインド仏教様式のデザインが採用された。
現在の建物は1995年(平成7年)に改築されたものだが、阪神・淡路大震災後初の新築寺院となったことから、復興の先駆けとして夜になるとライトアップされるらしい。
かつてのハイカラがレトロに変化した西元町駅周辺だが、往時のハイカラ感はこの本願寺神戸別院に息づいている。
改札口・コンコース
地下にある東口改札は、かなり落ち着いた雰囲気をしており、、、
その東口改札前のコンコースには、明石高専建築学科の女学生の壁画が飾られている。
元町駅に比べて賑わいの劣る当駅活性化策として開催された壁画制作プロジェクトにおいて、大賞を受賞した作品らしい。
一方、元町商店街の西端に位置する西口改札は、東口に比べて広いコンコースが印象的だ。
かつては同商店街の西端には三越神戸店が存在し賑わいを見せていたらしいが、1984年(昭和59年)に閉店されており、駅周辺と同様何ともいえない哀愁感が漂っている。
現在は阪神神戸高速線の駅となっているが、2010年(平成22年)までは神戸高速鉄道の駅として営業していたため、「『阪神』元町駅でお乗り換え願います」の表記が見られる。
時刻表
神戸高速線:三宮・尼崎・大阪梅田・難波・奈良方面
当駅は直通特急の一部(神戸三宮ー板宿間各駅停車の直通特急)が停車する駅となっている。
日中は直通特急と特急が毎時2本ずつと、普通が毎時6本運行されており、原則全列車梅田行きとなっている。
さきほどの写真のように、種別幕が赤地の直通特急は当駅を通過するため、同列車を利用する際は、一つ先の元町での乗換えを擁する。
神戸高速線:高速神戸・新開地・明石・姫路方面
一方の西行きの日中は、姫路行きの直通特急が毎時2本と普通が毎時8本の運行となっている。
直通特急は板宿まで各駅に停まり、普通は6本が次の高速神戸止まりで、残り2本が「特急」で運行されるが神戸三宮以西は各駅に停車する須磨浦公園行きとなっている。
乗り場
ホームは相対式2面2線の構造。地上を走る中央幹線に沿ってホームも弧を描いている。
当駅含む元町ー西代間は阪神神戸高速線となっているが、同線は神戸市内に点在する私鉄ターミナル駅を接続する目的で1968年(昭和43年)に開業した神戸高速鉄道の路線であり、阪神は第二種鉄道事業者として運行する形態となっている。
かつての賑わいを思い起こさせる哀愁感が魅力の当駅だが、実は「モザイク」で有名な現代のハイカラ「ハーバーランド」へも歩いていくことが可能らしい。
このハーバーランドは、旧湊川貨物駅跡地に1992年(平成4年)にオープンした複合商業施設である。
阪神電車は、2009年(平成21年)より、実に計画から60年越しで近鉄電車との相互乗り入れを果たし、沿線のキャパシティが大いに広がった。
但し、当駅から近鉄奈良駅に直通する快速急行は土休日の1本のみで、同列車は原則神戸三宮始発となっている。
当駅の利用客数は1日約5000人弱。元町商店街に近いにも関わらず、200m東の花隈駅の半分強程に留まっている。
三越神戸店が栄華を誇っていた頃は、1万人を超えていた時代もあったのだろうか。
阪神神戸高速線を敷設した神戸高速鉄道は、1988年(昭和63年)の鉄道事業法施行によって第三種鉄道事業者となった後も、列車の運行や駅の管理等を自社で行う特殊な運営体制となっており、当駅は神戸高速鉄道の駅として営業を続けていた。
乗り場番号の無い下りホームにやってきた青胴車5500系の普通高速神戸行き。
しかし、経営悪化が続いたため、2010年(平成22年)より神戸高速鉄道は第三種事業者本来の資産の保有と借入金返済に特化し、運営面は乗入れている第二種業者が担う形となった。
当駅は一部直通特急停車駅であるが、発車案内掲示板は列車の到着を示すだけで、種別・行先は表示されない。
2010年(平成22年)の運営体制変更に伴い、当駅も正式に阪神神戸高速線の駅となり、駅票等の構内設備も阪神仕様にリニューアルされた。
上りホームに到着した須磨浦公園始発の8000系・大阪梅田行き特急。
運営体制変更後も、長らく駅構内放送は神戸高速鉄道仕様のものが使われていたが、2016年(平成28年)3月のダイヤ改正を機に、阪神仕様の放送に変更された。
次にやってきたのは、ジェットカー5500系の各駅停車大阪梅田行き。
青胴車の本線普通は長らく隣の元町駅始発であったが、梅田ー姫路間の直通特急運行開始を機に、高速神戸まで延伸された。
えきログちゃんねる
[【新放送】阪神神戸高速線西元町駅]大阪梅田行き特急接近放送201604
[【新放送】阪神神戸高速線西元町駅]各駅停車高速神戸行き接近放送201604