日本一の酒処である灘五郷の一つ・魚崎郷の最寄駅である、六甲アイランド線(六甲ライナー)の相対式2面2線の高架駅で、阪神本線との接続駅。
六甲ライナー唯一の相対式ホームを有し、新交通システムの案内軌条ゆえに架線の無い地上3階ホームからの絶景は一見の価値を有する。
先の大戦とその後の復興により、かつての景勝地・雀の松原の面影は消えたものの、清流・住吉川や菊正宗に代表される酒造地帯の情景は、現在でも堪能することが出来る。
目次
外観・駅周辺
【日本酒の名産地・灘五郷の一つである魚崎郷・御影郷】
JR神戸線との接続である起点駅・住吉駅から一駅南、清流住吉川西岸に位置する六甲ライナー魚崎駅。
駅東側を流れる住吉川は、市街地にも関わらず蛍が生息するほどの清流と言われている。
そして、実はこの魚崎駅界隈は、戦前までは「雀の松原」と称される松林が美しい景勝地であったらしいが、現在はその面影は残されていない。
今度は、六甲ライナー魚崎駅1番線ホームから南方向を望むと、住吉川東岸に阪神本線の魚崎駅が見える。
当駅とは2階ペデストリアンデッキで連絡しており、阪神魚崎駅は阪神沿線内で唯一の橋上駅舎となっている。
その阪神魚崎駅を、今度は反対側の南方向から望む。
かつての景勝地としての面影は失われてしまったが、付近で盛んな酒造りの源となる住吉川の清流は今もって健在である。
上の写真の場所から住吉川を南方向に望む。
当駅以南は「灘の生一本」で有名な全国有数の酒造地帯「灘五郷」にあたるが、阪神高速3号神戸線と国道43号が付近の景観に大きな影響を与えている。
その阪神高速3号神戸線を超えて住吉川をさらに南下すると、砂礫混じりの河口が見えるが、ここも都会における生態系の宝庫となっているらしい。
そして、上の写真の場所から西方向には、年季の入った酒蔵風の建物が見えるが、これが創業350年の辛口銘酒の名門・菊正宗の酒造記念館である。
住吉川から西は灘五郷の中でも「御影郷」と呼ばれる地域であり、この菊正宗は御影で材木商を営んでいた嘉納本家が副業で始めたものと言われている。
アルコール中毒者を煽るとして放送禁止ともなった「旨い物を食べると辛口の菊正宗を飲みたくなる、菊正宗を飲むと旨い物が食べたくなる」の名フレーズのCMで有名な菊正宗は、女性受けする甘口が主流となった日本酒業界において、あえて辛口にこだわり、特に関東地方で人気が高いらしい。
そして、菊正宗から住吉川を挟んだ対岸はもう一つの灘五郷・魚崎郷であり、日本で最初に商品名が冠されたと言われる剣菱酒造や、、、
その東隣には、酒の仕込み水として全国的に知られる「宮水」を発見したと言われる櫻正宗が君臨するこの通りは、通称・酒蔵通りと呼ばれている。
【酒造の町・魚崎の氏神である魚崎八幡宮】
今度は、阪神魚崎駅東側から住吉川方面を望む。
この西に向けての急激な上り坂からわかるように、実は住吉川は天井川となっており、川はこの場所よりも高い位置にある。
そして、上の写真から南東方向に向かうと、阪神高速3号神戸線の下を走る国道43号の覚浄寺交差点に出る。
その覚浄寺交差点を南に折れると、、、
通り左手に、朱の鳥居が美しい魚崎八幡宮が姿を表す。この鳥居は阪神・淡路大震災後に再建されたものらしい。
鳥居入ってすぐ左手には百度石と、その奥には酒蔵の街・魚崎を偲ばせる酒造業者の名前が記された手水石がある。
この魚崎八幡宮は、魚崎地区の氏神であるが、明治以前はJR・六甲ライナー住吉駅前にある本住吉神社が当地の氏神であったらしい。
氏神としての歴史は比較的新しいが神社としての歴史は古く、三韓征伐を行った神功皇后が、凱旋の際に休息をとるため、この地に船を停泊させたという言い伝えが残っている。
写真の巨大な松の木が、その停泊地となった「神依りの松」と言われているらしい。
そして、神社東側にある本殿も、震災後の再建されたものらしい。
実は当社境内にはだんじり車庫があり、元氏神であった本住吉神社同様に、5月にだんじり祭りが行われる。
本殿向かい側には、当社の摂社である白髭稲荷神社のかわいらしい連鳥居の姿を見ることが出来る。
改札口・コンコース
改札口は駅舎2階に1か所存在する。
その改札口からは南方向は、阪神魚崎駅に繋がるペデストリアンデッキとなっており、、、
上の写真の突き当りを左に折れると、、、
阪神電車唯一の橋上駅舎である魚崎駅に到着する。
同駅は阪神電車が開業した1905年(明治38年)より存在する非常に歴史ある駅だが、1990年(平成2年)に開通した六甲ライナーの存在が同駅を優等停車駅へと昇格させた。
そして、再び六甲ライナー魚崎駅の改札口に戻る。
改札内コンコースからは、清流・住吉川の様子が堪能できる。
先の大戦による空襲で光景が変わってしまったが、戦前は阪神間モダニズム発祥地・住吉駅の一駅南にあることから有数の邸宅街であったようだ。
時刻表
六甲アイランド線(六甲ライナー):マリンパーク・住吉方面
六甲ライナーは全列車が当駅ーマリンパーク間の全線通しの運転で、日中は毎時10本、ラッシュ時は毎時15~20本程度の本数となっている。
乗り場
ホームは、新交通システムには珍しい相対式2面2線の構造となっており、相対式ホームは六甲ライナーでは当駅だけらしい。
六甲ライナー(神戸新交通六甲アイランド線)は、神戸港沖に建設された人工島・六甲アイランドへのアクセス線として、1990年(平成2年)に開業した日本で7番目の新交通システムである。
1番線ホーム北端から北西方向を望むと、住吉駅の向こうに拡がる六甲山系の美しい風景が堪能できる。
今度は2番線ホーム北端から北東方向は、住吉川沿いの邸宅街が並んでおり、偏差値日本一で有名な灘中学・高等学校も住吉川沿いに徒歩10分程度の距離にある。
六甲ライナーの駅は、新交通システムで一般的に見られる、ホームが全面ガラスとホームドアで覆われているのが特徴的となっている。
新交通システムは、線路ではなく専用軌道上の案内軌条に沿ってゴムタイヤで運行される、電車とバスの中間的な輸送システムである。
2番線に到着した1000系の住吉行き。六甲ライナーではこの1000系が4両編成で運行されている。
新交通システムの車両は、電車に比べて小型であるのが特徴的で、この1000系は1両が全長3mほどしかなく、4両でも電車1両にも満たない長さである。
今度は向かい側の1番線に、マリンパーク行きがやってきた。
コンピュータ制御による無人自動運転も新交通システムの特徴であり、運行コストの安さと近未来的なイメージが注目を集め、郊外や港湾地域のニュータウン等での通勤・通学路線として建設が進み、現在全国で12路線、関西では3路線が運行されている。
そのマリンパーク行きが阪神魚崎駅を眼下に見下ろしながら次の南魚崎駅に向けて出発した。
案内軌条のため架線の無い3階ホームからの絶景は、なかなか見事なものである。
えきログちゃんねる
[六甲ライナー魚崎駅]マリンパーク行き接近放送@1番線201604
[六甲ライナー魚崎駅]住吉行き接近放送@2番線201604
[六甲ライナー車内放送]マリンパーク行き(住吉⇒魚崎)201604