大阪が世界に誇るテーマパーク「ユニバーサルスタジオ・ジャパン(USJ)」の最寄駅である。JRゆめ咲線(桜島線)の相対式2面2線の地上駅。
安治川対岸の港区出身の大建築家・安藤忠雄氏プロデュースの帆船をイメージした開放感あふれる駅舎が魅力的で、第2回近畿の駅百選に選定されている。
また、駅構内から北側に拡がるUSJの非日常空間の魅力もさることながら、安治川口駅からの貨物線の終端も見られる、昔からの工業地帯の名残が感じられる南の海側の風景とのギャップも楽しめる魅力的な周辺環境を有している。
目次
外観・駅周辺
【ユニバーサルシティウォーク大阪からUSJ方面の駅北口】
文字通り、大阪が世界に誇るテーマパーク「ユニバーサルスタジオ・ジャパン」の最寄駅であるユニバーサルシティ駅。その駅北口を望む。
地元大阪出身の大建築家・安藤忠雄氏の設計による帆船をイメージした駅舎屋根が特徴的である。
その駅北口からUSJのエントランスまで続くペデストリアンデッキは、「ユニバーサルシティウォーク大阪」と名付けられたハリウッド色満載の複合施設となっており、駅を降り立った乗客を非日常空間に誘ってくれる。
当初は大人向けのハリウッド映画テーマパークとして2001年(平成13年)に誕生したUSJは、米・ユニバーサルスタジオの世界進出第一号である。
関西インバウンド需要の起爆剤として年間1000万人以上の来場客を集めるUSJは、本国・米国のユニバーサルスタジオを凌ぐ集客力を誇っている。
今日までの道のりは決して平たんではなく、何と2004年(平成16年)には最大株主の大阪市の財政難により経営危機にまで陥った。
しかし、「映画」「大人向け」から脱却し、映画以外のエンターテイメントやファミリー層向けアトラクションを強化することでV次回復を果たし、現在では過去最高の来場者数を更新している。
最終的には大阪市此花区に進出したUSJだが、当初は堺市にあった新日本製鐵の所有地が有力地となったが破断し、次に大阪市が大正区への誘致を行うが決裂し、3度目の正直として当地にお鉢が回ってきたという経緯があるらしい。
そんな紆余曲折を経て開業されたUSJだが、産業構造転換により衰退の一途を辿っていた、かつての大工業地帯・此花区の起爆剤となり、大阪市西部への新たな人の流れを産むこととなった。
実は、このUSJの敷地のど真ん中を開業前までJR桜島線が通っていたが、パーク建設のために同線を南側に移設し、路線名もJRゆめ咲線に改称してイメージを一新した。
【ユニバーサルシティポート・大阪湾(安治川)方面の駅南口】
USJの最寄駅であるため、ほとんどの人がUSJのある駅口に流れていくが、実は南側にもなかなか面白い見どころがある。
駅北口を出たユニバーサルシティウォーク入り口すぐのところに君臨する、高さ138mを誇る当地のランドマークである「ホテル京阪ユニバーサルタワー」の全貌は、駅南側から見ることが出来る。
2008年(平成20年)までは「ホテル日航ベイサイド大阪」として営業されていたが、賃料交渉で折り合いがつかず、ホテル京阪に運営が継承された。
そのホテル京阪ユニバーサルタワーの斜め向かい、ユニバーサルシティ駅前交差点南西角には、これもUSJのオフィシャルホテルの一つである「ホテル・ユニバーサル・シティ・ポート」が君臨している。
その「ホテル・ユニバーサル・シティ・ポート」の東側の側道を南に進むと、安治川右岸の船着き場「ユニバーサル・シティ・ポート」に行けるが、、、
上の写真の場所に左手には、JR貨物の関連会社である関西化成品輸送内にある側線の様子が見え、かねてからの工業地帯である当地の様子が伺える。
この側線は1km離れた安治川口駅から伸びる貨物線の終端部分に当たる。
その貨物側線を横目に安治川河口のユニバーサル・シティ・ポートに出る。
浮体式防災基地の役割も担うこの船着場からは、安治川対岸の天保山(大阪港)に向かうシャトル便が毎時1本程度運行されている。
そのユニバーサル・シティ・ポートの先端部分から安治川を東方向に望むと、大阪市内の様子が一望できる。
この安治川は天然の川ではなく、幾多の水害に悩まされていた当地周辺の解決策として、江戸時代の政商・河村瑞賢が開削した人工河川である。
今度は、反対の西方向・大阪湾方面を望むと、港区と此花区を結ぶ天保山大橋の壮大な姿が堪能できる。
大阪は水の都と言われるが、西側は特にその都ぶりが味わえる光景が随所に見られる。
今度は、同じ場所から「ホテル・ユニバーシティ・ポート」方面を望む。
USJ擁する異次元空間の北側と、昔からの工業地帯の名残が感じられる南側とのギャップを感じるのも、当駅の隠れた楽しみでもある。
安治川対岸の港区出身の大建築家・安藤忠雄氏設計の帆船をモチーフとしたお洒落な駅舎。
その向こう側の安治川口方面には高層マンションが立ち並び、大阪・梅田から10km圏内の利便性が人気を呼び、マンションバブル的様相を呈するという、20年前には考えられない光景が展開されている。
ユニバーサルシティ駅は、掘割式の駅となっているが、実は当駅以西はUSJへの景観を配慮して外からは線路が見えない状況となっている。
元々USJの敷地のど真ん中を通っていたため南に移設させられ、景観に影響するとのことで当駅ー桜島間は地下化される予定であったらしい。
しかし、さすがに地下化はコストと工期がかかり過ぎるため、大阪市の負担で地上線をシェルターで覆う形となり、そのシェルター上は遊歩道化されている。
改札口・コンコース
JRゆめ咲線(桜島線)自体は、元々大阪ー安治川口間で開業した大阪環状線のルーツの一つであり、1898年(明治31年)に開業した旧・西成鉄道を起源とする非常に歴史のある路線である。
その西成鉄道は開業から7年後の1905年(明治38年)に現・桜島駅の前身にあたる天保山駅まで延伸されたが、この地にはUSJ開業の2001年(平成13年)まで駅は存在しなかった。
改札内コンコースから駅南側を望むと、昨今の当地付近で吹き荒れるマンションバブルを象徴するかのように、高層マンションの新規建設が行われている。
鉄分が欲しい自分にとっては、駅前高層マンションよりも、その奥に見える安治川口駅の貨物線の方が気になる。
さすが貨物線だけあってか、その終端は在来線ホームの西端から約1km離れたこの地まで伸びている。
かつては工業地帯の哀愁感漂うローカル線であった桜島線は、USJ開業を機に当地へのアクセス線として路線の性格ががらりと変わった。
平日にも関わらずオープン時間帯近辺には、黒山の人だかりとなる。
駅の中からすでに異次元空間が始まっており、USJ一色に染まっている。
これからUSJを訪れる家族や恋人たちの楽しい光景を尻目に、自分はおひとり様でしがなく取材を続けていく。来る時間を完全に間違えてしまった。
外観の帆船も魅力的なら、このコンコースの開放感も当駅の魅力の一つであり、第2回近畿の駅百選の選定されている。
時刻表
JRゆめ咲線:西九条・大阪・京橋方面
桜島線はUSJ開業を機に「JRゆめ咲線」の愛称が付けられ、以降旅客案内ではほとんどその名称が使用されている。
出身母体である大阪環状線とは一体運用されており、朝夕時間帯を中心に西九条から大阪・京橋・天王寺方面への乗り入れが行われており、旧・西成線の運行ルートが踏襲された格好となっている。
JRゆめ咲線:桜島方面
反対の西行きは全列車終点の桜島まで向かうが、ほとんどの人が当駅で下車していく。
乗り場
ホームは相対式2面2線の構造。
計画段階での仮駅名は「此花臨界駅」であったが、最終的には全国でも珍しいカタカナ表記のみの、この駅名となったようだ。
2番のりばに一体運用されている大阪環状線カラーの201系桜島行きがやってきた。
外観・内装とも帆船をモチーフとした駅デザインとなっているが、実は当駅の駅員も船員風の制服を着用しているらしい。
斬新さ溢れる新駅とレトロ感溢れる往年の名車103系とのマッチングは、その両者のギャップがお互いの魅力をさらに引き立てている。
環状線カラーの電車も見られるが、USJラッピング車もJRゆめ咲線の主流となってきている。
朝夕時間帯は、西九条から大阪環状線の外回り線に乗り入れて大阪・京橋方面に向かう列車も運行されており、旧・西成鉄道のルートが踏襲されている。
現在は普通電車のみの乗り入れとなっているが、USJ開業から2010年(平成22年)までは、富山ー当駅間で1日1往復の特急「ユニバーサルエクスプレス」が運行されていた。
2番のりばにやってきた、201系環状線カラーの桜島行き。
西九条駅に匹敵する1日約5万人の利用客数を有する当駅では、ほとんどの人が下車していき、次の終点・桜島まで向かう人はわずかしかいない。
USJ開業年の2001年(平成13年)は1日約36000人の利用客数であったが、過去最高の入場者数を更新した2014年(平成26年)には約4割増しとなった。
ホーム西端から桜島方面を望む。当駅ー桜島間は、USJ開業に伴う修景のために、鉄道がシェルターで覆われることとなった。
えきログちゃんねる
[JRゆめ咲線ユニバーサルシティ駅]普通桜島行き接近放送(英語付き)201605
当駅以外の桜島行きの接近放送では「ユニバーサルシティ方面・桜島行き」ですが、当駅だけはただの「桜島行き」と案内されます。
[JRゆめ咲線ユニバーサルシティ駅]USJラッピング201系と環状線カラー103系の共演201605