日雇い労働者の街・あいりん地区のシンボルの真正面に位置し、JR新今宮駅と4階コンコースで直結する南海本線・高野線の3面4線の高架駅。
明治時代の路線開通以来、80年もの間駅が存在しなかったが、国鉄新今宮駅開業から2年後の1966年(昭和41年)に国鉄との乗換駅として開業。
一駅隣のJR天王寺駅への本線からのアクセスルート開設の意味合いは大きく、開業当初から特急含む全列車が停車し、なんば駅に次ぐ第2位の利用客数を誇る、南海の最重要駅の一つである。
目次
外観・駅周辺
日雇い労働者の街として知られる・あいりん地区北東端に位置する太子交差点。右手に北側にJR新今宮駅の高架、そして、左奥の丸で囲んだ高架が南海新今宮駅だ。
JR新今宮駅3・4番のりばホームから、南方向の西成署につながる路地を望む。この周辺特有のディープ感がここからも伝わってくる。
そして、太子交差点から西に南海新今宮駅方面に向かったところにある、あいりん地区のシンボル・あいりん労働福祉センター。
場内の1階では、早朝5時から日雇い労働者が集まり、仕事の斡旋が行われる。この辺りは堂々とカメラを向けるのが止めておいた方が良い地帯だ。
これもJR新今宮駅南側ホームより撮影。あいりん地区のシンボルの真隣に南海新今宮駅の高架があるのがわかる。
そして、今度はJR新今宮駅北側・南海新今宮駅東側を望む。
1日10万人以上が利用する駅前の一等地のはずなのに、なぜか広大な空き地になっているという不自然な光景がディープ感を引き立てている。
JR新今宮駅東側には、地上を阪堺線の電車が走っており、この高架下に停留所がある。
太子交差点から北に高架をくぐった、JR新今宮駅東口は、地下鉄動物園前駅との乗換口をなっている。
そこから5分ほど歩くと、上野動物園に次ぐ日本第2位の規模を誇る天王寺動物園にたどり着き、、、
その道向かいは、大阪が世界に誇る歓楽街・新世界の東側の表玄関・新世界ゲートとなっており、、
時が止まったような昭和のレトロ感満載の通天閣の風貌と街並みが楽しめる、ディープさと華やかさが混在した周辺環境となっている。
改札口・コンコース
あいりん地区のシンボル・あいりん労働福祉センターの道向かいにある駅入口から階段を上ると、2階に小さな改札口があるが、さらに手前の階段を上り、、、
4階までくると、JR新今宮駅と対面乗り換えが出来る、当駅のメインコンコースにたどり着く。
JRと南海で共有されているこのコンコースは、左側がJR、右側が南海の切符売り場となっている。
同一フロアにあるが、駅の構造の違いにより、JRの駅としては3階、南海の駅としては4階となっているのが興味深い。
JRの改札内より西口コンコースを望む。構内改札でつながっている鶴橋駅ほどでないが、駅の外に出ることなく乗り換えが可能な構造で、ディープな駅周辺環境から遮断された格好となっている。
南海のホームは改札階にあり、JRの高架をさらに跨ぐ形となっている。
当駅は、1964年(昭和39年)に国鉄(現JR)大阪環状線が大正ー天王寺間に国鉄新今宮駅を開業させた際に、その2年後の1966年(昭和41年)に国鉄との乗換駅として新設開業された駅。
改札口に直結する高野線の1番線ホーム。南海線自体は1885年(明治18年)からある歴史ある路線だが、開業から約80年間この地に駅が存在しなかった。
3階にあるホーム間の連絡通路。
それまで国鉄との接続がなかった南海本線(含む高野線)にとって、天王寺の隣駅である当駅が接続駅となる意味は大きかったようで、開業当初から特急含む全列車を停車させている。
時刻表
南海本線・空港線:和歌山市・関西空港方面
南海本線・空港線は一体運用されており、平日日中は、毎時12本の運行のうち、南海線の終点・和歌山市行きと、泉佐野から空港線に乗り入れる関西空港行きが半分ずつ。
和歌山市行きは、一部座席指定車である特急・サザンが毎時2本と普通車が毎時4本。
関西空港行きは、全部座席指定車の特急・ラピートが毎時2本と空港急行が毎時4本。日中の急行はすべてこの空港急行に集約された。
普通車は、堺で後続の特急・空港急行の連続待ち合わせを行う。
高野線:高野山・泉北高速線方面
当駅の所属は南海本線だが、高野線の列車も1929年(昭和4年)より全列車なんば乗り入れを行っている。
長らく南海本線より格下扱いだった、宅地開発等による利用の増加で、現在では南海本線よりも本数が多いメイン系統に立場が逆転した。
しかし、その高野線でも利用の減少傾向は続いているようで、2015年12月5日に行われたダイヤ改正では、これまでの12分サイクルが15分サイクルに改訂された。
また、中百舌鳥から泉北高速線に入る系統がより重要視され、これまでの準急行毎時5本体制から、新設急行・準急行・各停2本ずつの計6本体制に増発。
一方、高野線系統は、急行・各停5本ずつの体制から、それぞれ1本ずつ減便され、なんば始発の合計は毎時15本から1本削減された。
乗り場
【1番線】高野線:高野山・泉北高速線方面
最も利用が多いであろう、高野線下り方面の1番線は、改札口に直結する便利なポジションにある。
高野線仕様の駅票。萩ノ茶屋と今宮戎の両駅は、南海本線の所属ながら同線のホームが無く、高野線の各停のみが停車するというトリビアがある。
その1番線ホームから見た駅全景。
手前の高野線、奥の南海本線がそれぞれ相対式となった3面4線で、隣の天下茶屋駅と同じ構造だ。
1番線にやってきた今でも現役片開き車6000系の快速急行橋本行き。終点の橋本で高野山(極楽橋)行きと接続する。1日数本しか無い見られない貴重な遭遇だ。
次に1番線にやってきたのは、6200系の各停。河内長野の一つ先の三日市町まで向かう。堺東で後続の急行系統の待ち合わせを行う。
その各停を後から追うのが、片開きのレトロ感に萌え萌えさせられる6000系の区間急行・三日市町行き。北野田以遠は各駅に止まる。
次の各停は、6300系。河内長野の3つ手前にある大阪狭山市の代表駅である金剛まで向かう。
1番線に高野線の6300系各停と、4番線に南海本線の7100系普通車が並んだ。高野線はステンレス車、南海線は鋼板車が主体だ。
その各停を追いかける急行も片開きの6000系の橋本行き。
終点で橋本始発の高野下行きに接続するため、放送上も「高野下接続・急行橋本行き」と案内される。
かつては、なんばー極楽橋間を全通する「大運転」も多数あったが、橋本以遠は通常の20m級の車両が入れず、17m級の「ズームカー」での運転となることもあり、現在は橋本で系統分割されている。
2・3番線ホームから1番線に直結する改札口方向を望む。
JRとの乗換客を中心に、1日約85000人と、南海ではなんば駅に次ぐ利用客数を誇っている。
【2番線】高野線:なんば方面
2番線の高野線・なんば行きと、3番線の南海本線の和歌山市・関空方面行きは、島式ホームを共有している。
現在は、線路別の複々線となっているが、大阪万博開催の1970年(昭和45年)までは、方向別複々線だった。
従って、この2番線には、萩ノ茶屋・今宮戎に停車する「南海本線の各駅停車(なんばー住吉公園(現:住吉大社)間)」も存在していたらしい。
2番線に到着した1000系の区間急行なんば行き。
それまでは、高野線にも今宮戎・萩ノ茶屋を通過する「普通車」が存在し、堺東折返し便を「各駅停車」として現在の線路を、同駅以遠に向かう便を「普通車」として現在の南海線の線路を走らせてらしい。
その後、1971年(昭和46年)の泉北高速線開業を控え、高野線の容量確保のため線路別複々線にされた結果、高野線の「普通車」が廃止されたという経緯があるらしい。
ホーム萩ノ茶屋寄りまでは屋根は届いていないようだ。
泉北高速線からやってきた泉北高速7000系の準急行なんば行き。南海では準急は「準急行」と案内される。
次の2番線は、高野山(極楽橋)からやってきた、1日数本しか無い2000系ズームカーによる「大運転」快速急行。
その横顔。山岳路線となる橋本以遠でも走行可能な、17m2扉車だ。
【3番線】南海本線・空港線:和歌山市・関西空港方面
南海本線仕様の駅票。前述の経緯により、南海線は線路別複々線の西側を走ることとなったため、ホームの無い今宮戎・萩ノ茶屋に南海線の電車は停車しなくなった。
ホームなんば寄りからは、今宮戎駅が肉眼ではっきりと確認できる。この素晴らしい見通しの複々線の光景が、この駅の名物だ。
3番線にやってきた1000系の空港急行・関西空港行き。泉佐野から空港線に入る。日中の南海線の急行はすべてこれに集約された。
そして、やってきた「普通車」和歌山市行き。南海独特の「普通車」と「各停」の使い分けとなっており、通過駅のある「普通車」は停車駅の案内放送もある。
南海線の普通車には、高野線の「大運転」が大幅削減されて余剰となったズームカー2000系がたびたび使用されている。
その横顔。17m2扉でかつ短い4両編成での運転。本線の普通車にしてはやや寂しい編成だが、それが現在の需要を物語っているのだろう。
その「普通車」のあとにやってきたのは、12000系特急サザンプレミアム号の和歌山市行き。
前4両は有料の座席指定車だが、後4両は4扉の通勤車両による自由席車となっている。先行している普通車に次の停車駅・堺で接続する。
【4番線】南海本線:なんば方面
南海本線のもう一つの有料特急である、全車指定席車の関空連絡特急・50000系ラピート号。レトロ感のある駅舎と、斬新なデザインの車両との不思議なマッチングが面白い。
次にやってきたのは、普通車7100系のなんば行き。
ホーム南端から堺・和歌山市方面を望む。高い位置にあるので、地上のディープ感はここまでは伝わってこないようだ。
ホーム南端も、隣の萩ノ茶屋駅の姿が肉眼ではっきりと確認できる、絶好の撮影ポイントだ。
えきログちゃんねる
[南海新今宮駅入線放送]高野線:高野下連絡急行橋本行き@1番線201510
終点・橋本で接続する電車の行先が案内され、高野山(極楽橋)接続の場合と高野下接続の場合があります。
[南海新今宮駅入線放送]空港線:空港急行関西空港行き@3番線201510
[南海新今宮駅入線放送]高野線:区間急行三日市町行き@1番線201510