伏見稲荷大社の露店が並ぶ裏参道側の最寄駅として、京阪本線開通と同時の1910年(明治43年)に開業した相対式2面2線の地上駅。
当初「稲荷新道駅」として開業するも、新道がほどなく表玄関となったため、現・深草駅より「稲荷駅」を踏襲。さらに2度の改名を経て現駅名になるという異色の経歴を持つ。
JR稲荷駅よりも伏見稲荷大社へは遠いが、もてなしの心を示した巨大観光案内版と、大社の象徴たる朱塗りに彩られた美しい駅舎が、表玄関にふさわしい風格を備えている。
目次
外観・駅周辺
JR奈良線・稲荷駅に次ぐ、伏見稲荷大社のもう一つの最寄駅である京阪伏見稲荷駅。
駅南側を稲荷停車場線(京都府道119号線)が走り、当駅から西方向に進むと、、、
突き当たりの稲荷大社前交差点は、師団街道が南北に走っている。
その稲荷大社前交差点から東方向を望むと、京阪電車の姿が見える。
外国人が選ぶ日本の観光地第1位:伏見稲荷大社
伏見稲荷駅から、稲荷停車場線を今度は東に進む。
大鳥居が駅の真正面にあるJR稲荷駅と違い、当駅から伏見稲荷大社へは徒歩5分ほどを要する。
先に進み、稲荷大社線が本町通と交差する地点まで出ると、伏見稲荷大社へ裏参道・神幸道の入口を示す鳥居が姿を表す。
鳥居を横切る本町通を右に進めばJR稲荷駅、左に進むと京阪鳥羽街道駅につながる。
裏参道・神幸道は露店の並ぶ、伏見稲荷参道商店街となっており、楼門に直結するJR稲荷駅側とはまた違った、旅情感溢れる光景となっている。
1910年(明治43年)の開業当初は、JR稲荷駅側の表参道に近い深草駅が「稲荷駅」を名乗り、当駅は「稲荷新道駅」を名乗った。
しかし、当駅の方が伏見稲荷大社に近い玄関口となったため、開業から1年立たないうちに「稲荷駅」の名を現深草駅より踏襲したという経緯がある。
裏参道の終点には、また朱の生えた大鳥居が構えられており、
そこから後ろを振り向くと、国の重要文化財にも指定された楼門が出迎えてくれる。
伏見稲荷大社は、711年(和銅4年)に鎮座された、全国に3万社あるとも言われる「お稲荷さん(稲荷神社)」の総本宮である。
その楼門から西方向は、表参道がまっすぐ伸びており、その先にJR稲荷駅が直結している。
トリップアドバイザーによる「外国人に人気の日本の観光スポット」で2年連続1位を獲得した通り、周辺は日本人よりも外国人の姿の方が多く、平日昼間でもこの人出である。
稲荷山までつながる壮大なスケールも、伏見稲荷大社の魅力。
参拝で日本の文化を感じるだけでなく、欧米人が好むウォーキングが出来ることも、高評価の理由とされているらしい。
そして、これが伏見稲荷大社名物の「千本鳥居」。
信者からの奉納された鳥居は、本殿から稲荷山まで実に1万基もあるらしく、ここでしか見られない実に壮観な体験ができる。
「お稲荷さん」の愛称で親しまれる稲荷大明神は、元々「イネが生った」ことから来る穀物の実りの神様であったが、その後「実り」が派生して商売繁盛や家内安全等の守護神としても信仰を集めるようになったらしい。
改札口・コンコース
駅改札前の堂々と掲げられた観光マップ。急増する観光客へのもてなしの心が表れている。
千本鳥居にちなんで、駅の柱は綺麗に朱に彩られ、風情を醸し出している。
改札は京都方面と大阪方面で分かれており、両ホームは改札内で行き来することが出来ない。
開業直後に現・深草駅から「稲荷駅」を踏襲した当駅は、その後1939年(昭和14年)に「稲荷神社前駅」に改称。
さらに、稲荷神社が宗教法人化に伴い現・伏見稲荷大社へ改称したことに伴い、1948年(昭和23年)に現駅名に再改称されている。
時刻表
京阪本線:三条・出町柳方面
当駅は急行停車駅であるが、急行は朝時間帯以外は運行されていないため、実質的に各駅停車のみが10分間隔で停車する駅となっている(準急も萱島から京都寄りは各駅に止まる)。
原則全列車出町柳行きで、途中の三条で後続の特急の待ち合わせを行う。
京阪本線:淀屋橋・中之島線方面
大阪方面行きも同様で、準急も萱島まで各駅の役割を果たす。京都方面行きと違い、ラッシュ時間帯でも増発が無いのが特徴。
丹波橋で後続の特急の待ち合わせを行う。
乗り場
ホームは相対式2面2線のシンプルな構造。
2008年(平成20年)の中之島線開業に合わせて一新された駅票。
鉄道にシャッターを向けるのは、オタクな私ばかりではない。鉄道そのものが、日本が世界に誇る立派な観光資源なのだ。
改札口付近は、朱塗りが美しい風情ある空間となっている。
戦時中は爆撃の標的になるという理由から、目立たない色に塗り替えられたこともあったらしい。
大阪方面行きホームは「伏見稲荷」、京都方面行きホームは「ふしみいなり」と表記するという、粋な計らいとなっている。
当駅の利用客数は1日約6000人程度と、表参道側にあるJR稲荷駅の半分以下で、京阪線内(大津線除く)でも、なにわ橋駅・鳥羽街道駅に次いで利用客が少ない。
しかし、稲荷駅同様に、正月は初詣客で殺人的な混雑ぶりを見せるらしい。
そのため、ホーム中ほどには臨時改札口が設けられている。
2番線に、2200系の準急淀屋橋行きがやってきた。
ホーム北側の七条寄りは、改札口のあるきらびやかな南側から打って変わって、同じ駅とは思えないほど普通の装飾になっている。
1番線には、7000系が準急出町柳行きとしてやってきた。準急だが各駅に止まり、三条で特急の待ち合わせを行う。
今度の1番線は、新型車両13000系が、各駅停車出町柳行きとしてやってきた。
ホーム北端から、鳥羽街道・東福寺方面を望む。観光地の雰囲気とは打って変わった、民家の密集地帯となっている。
その住宅の間を縫って、1000系電車が2番線にやってきた。
えきログちゃんねる
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