地下鉄東西線の終着駅・太秦天神川駅との乗換のために2008年(平成20年)に新設された、嵐山本線の相対式2面2線の地上駅。
嵐電としては鹿王院駅以来、実に半世紀以上ぶりの新駅開業であり、路面の併用軌道上にありながら、安全地帯ではなくプラットホームという珍しい駅構造が特徴となっている。
「癒しの嵐電」とは趣きの異なる真新しいホームと、そこを走行する路面電車のレトロな吊掛け駆動音とのギャップがいい味を醸し出している。
外観・駅周辺
2008年(平成20年)に延伸された地下鉄東西線・太秦天神川駅開業に合わせて建設された複合施設・サンサ右京。
商業施設の他、右京区の行政施設に相次いで入居し、右京区役所内からは西山の開放的な眺望が楽しめる。
嵐電天神川駅は、地下鉄太秦天神川駅の開業に合わせて設置された駅で、1世紀以上の歴史を誇る嵐電の駅の中では最も新しい駅だ。
嵐電天神川駅は、サンサ左京に面する三条通り沿いにあり、写真右側が地下鉄太秦天神川駅への連絡階段となっている。
その嵐電天神川駅の全景。当駅は併用軌道上にあるが安全地帯ではなく立派なプラットホームが設置されている珍しい構造となっている。
上の写真の場所からやや南東側に引いてみる。右側がサンサ左京。
当プラットホームの設置には約6億円の費用が掛かっているが、その大半を京都市が負担しており請願駅に近い格好となっている。
上の写真の場所から三条通り東方向・山ノ内電停方面を望む。ここから専用軌道となっているが約400mほど進むと再び併用軌道に出る。
そこから三条通りを東に進むと、通り南側に猿田彦神社の存在を発見。
当社は「山ノ内庚申(やまのうちこうしん)」と呼ばれる京洛中三庚申の一つとして知られる歴史ある神社。
文字通り「サル」の姿をした猿田彦大神が、道ひらきの神・人生の道案内の神として開運除災・除病招福をもたらすとして崇められている。
本殿を覆う壮大なクスノキは、「庚申楠」と呼ばれ樹齢700年を超える右京区民誇りの木と称されている。
「見ざる・言わざる・聞かざる」の三神猿は世の諸悪を排除して開運招福をもたらす崇高な御新教を示すものらしい。
乗り場
ホームは相対式2面2線。
併用軌道上にあるプラットホームはなかなかお目にかかれるものではなく、これだけで一つの観光名所になりそうだ。
当駅の開業は地下鉄太秦天神川駅と同じ2008年(平成20年)だが、同駅から2か月ほど遅れての開業となり、それまでは隣の蚕ノ社駅が乗換駅の役割を果たしていた。
嵐電にとって新駅開業は1956年(昭和31年)の鹿王院駅以来、実に半世紀ぶりのビッグイベントであった。
その半世紀ぶりの新駅に、モボ621形の嵐山行きがやってきた。取材当時は京都市長選挙の直前だったため、同選挙のラッピングが施されていた。
当駅の利用客数は、地下鉄太秦天神川駅との乗換客を中心に1日約3200人。
東西線延伸と当駅開業のおかげで、市内中心部や大津方面から嵐山へのアクセス利便性が高まった。
ホーム西端から西方向・三条御池交差点を望む。
ここから少し進むと再び専用軌道への境界があり、同地にある隣駅の蚕ノ社駅が肉眼で確認出来る。
その西側併用軌道から、モボ621形の四条大宮行きがやってきた。隣の蚕ノ社駅との距離はわずか200mだ。
地下鉄との乗換のための新駅である当駅は、レトロ感が売りの「癒しの嵐電」の風情とは一線を画する、現代的な造りとなっている。
真新しいホームとレトロな吊掛け駆動音とのギャップがいい味を出している。
えきログちゃんねる
[路面にプラットホームがある珍しい嵐電天神川駅]モボ621形嵐山行き入線風景201601
嵐電天神川駅は併用軌道上にありますが、安全地帯ではなく立派なプラットホームが設置された珍しい駅です。
[路面にプラットホームがある珍しい嵐電天神川駅]モボ621形四条大宮行き入線発車風景201601
真新しいホームとレトロな吊掛け駆動音とのギャップがいい味を出しています。