滋賀の県庁所在地・大津市最多の利用客数を誇るJR石山駅南側に隣接する、石山坂本線の島式1面2線の地上駅。
東海道本線の旧ルートを継承した大津電気軌道を前身とし、新快速停車駅であるJR線や地域輸送を担うバス路線との接続拠点ともなっており、京阪膳所駅と並ぶ石山坂本線最多の利用客数を誇る。
以前はJR石山駅と離れた場所に位置し、駅前広場が雑然としていたが、改善事業によって美しい乗換デッキを備え、石山坂本線の中核駅にふさわしい駅舎へと大変貌を遂げた。
外観・駅周辺
超難読駅である京阪膳所駅(ぜぜ)と共に、JR琵琶湖線(東海道本線)と京阪石山坂本線が隣接する京阪石山駅。その南口を望む。
駅前が密集している京阪膳所駅と異なり、京阪石山駅前は大規模なバスターミナルが整備されている。
そして、そのバスターミナルの西側には、京阪石山坂本線の踏切があり、軌道線特有の急カーブを走行する京阪電車の姿が堪能できるという、ファンにはうれしいスポットとなっている。
2016年(平成28年)3月で運行終了となる、旧京阪特急色の600系にもお目にかかることが出来た。
現在はJR石山駅に隣接している京阪石山駅だが、2005年(平成17年)まではこの踏切の南側に相対式の駅として存在していたらしい。
そして、石山駅・京阪石山駅南口にあるペデストリアンデッキからは、このバスターミナルと京阪電車の眺望を上空から楽しむことが出来る。
かつては雑然とした駅前広場だったらしいが、2007年(平成19年)までに京阪石山駅をJR石山駅に隣接する位置に移設させると共に、駅前バスターミナルとこのペデストリアンデッキが整備され、利便性・安全性が大幅に向上した。
今度は、同じ場所から駅西方向を望む。
当駅西側は、三井グループの中核企業である大手化学会社である東レが、滋賀事業場を中心とした同社の一大拠点を形成する企業城下町である。
そして、そこから石山駅方向に向かうと、2007年(平成19年)の改善事業によって新たに設置された床模様の美しいデッキが現れる。
このデッキの整備によって、JR石山駅と京阪石山駅間の乗換えが非常にスムーズになった。
企業城下町として発展し、JRやバス路線との接続拠点ともなっているJR石山駅は、1日約5万人の利用客を有し、大津市内ではその名を冠する大津駅よりも多い市内最多の利用客数を誇っている。
改札口・コンコース
京阪石山駅の入り口は、その2階デッキの西側にある。
そのデッキ南側には、かの有名な俳人・松尾芭蕉の銅像が飾られている。
1685年・42歳の時に初めて大津の地を訪れた芭蕉は、この地を非常に気に入ったらしく、その生涯を終えた遺体は遺言によって隣の膳所駅近くにある義仲寺に埋葬された。
当駅属する京阪石山坂本線は、元々馬場(現・JR膳所)-大津(現・京阪浜大津)間を走行していた国鉄東海道本線の路線を、現ルートへの変更に伴い大津電気軌道が1913年(大正2年)に三線軌条化の上引き継いだ路線である。
そして、当駅はその大津電気軌道開通から約1年後の1914年(大正3年)1月に、10年前に開業した国鉄石山駅との接続を図る目的で開業し、当初は「石山駅前駅」を名乗った。
今度は、京阪石山駅側からデッキをJR石山駅方向に望む。
元々当地周辺の最大の観光名所・石山寺方面への延伸を企図していたため、当初は終着駅として開業したが、そのたった5日後に隣の唐橋前駅まで延伸された。
当駅のある地名は「粟津(あわづ)」と呼ばれるが、駅名が「石山」となっているのは、ここから3キロほど南にある紫式部ゆかりの寺として有名な石山寺に因んでのことである。
その石山寺は、本堂が国の天然記念物である珪灰石(けいかいがん)の巨大な岩盤の上に建っていることが名前の由来となっているらしい。
乗り場
前述の改善事業の一環として、かつてのこの写真の後方の位置にあった当駅は、前方に見えるペデストリアンデッキ奥のJR石山駅に隣接する位置に移設され、橋上駅舎化された。
このペデストリアンデッキ真下の空洞を西に抜けると、、、
移設された新ホーム側に出る。
移設前は相対式2面2線の構造だったが、島式1面2線のホームに変更された。
開業から1世紀を経験する歴史ある京阪石山駅。当初は大津電気軌道の石山駅前駅として開業したが、開業から約40年後の1953年(昭和28年)に現駅名に改称された。
そして、このホーム移設によって、JR石山駅と隣接したことから、京阪・JRの列車がお互いのホームから鑑賞できるという、ファンにはうれしいおまけがついてきた。
JR石山駅1・2番のりばホームから、京阪石山駅を望む。大津の地では、中距離輸送を担う鉄道線のJRと、地域輸送を担う軌道線の京阪が役割分担を果たしている。
ちなみに、当初大津電気軌道の路線として開業した石山坂本線が京阪の路線となったのは、当駅開業から15年後の1929年(昭和4年)のこと。
かつて京阪と大津電気軌道はライバル関係にあり、同社は琵琶湖の勢力を拡大しつつある京阪への対抗策として比叡山の山麓である坂本まで延長させたが、この延長が仇となって経営難に陥った結果、その京阪に合併されたというドラマが繰り広げられた。
今度は京阪石山駅側からJR石山駅方向を望む。
当駅の利用客数は1日約7500人。JR線とのスムーズな乗換が可能となっていることから、京阪大津線(京津線・石山坂本線)内では、京阪膳所駅と並ぶ最多の利用客数を誇る駅となっている。
北側乗り場にやってきた700系の石山寺行き。京阪本線系統では見られなくなった旧京阪塗装が見られるのが石山坂本線の魅力の一つである。
そして、数多くのラッピング車が見られるのも、また当線の魅力となっており、やってきた700系坂本行きは、競技かるたを題材とした少女漫画「ちはやふる」のラッピング車。
「競技かるたの聖地」と言われる近江神宮を沿線に擁する関係から、「ちはやふる・大津」キャンペーンへの協賛を目的に、2012年(平成24年)より運行が開始された。
そして、今度の700系近江神宮前行きは、もうすぐ姿を消してしまう鮮やかな旧・京阪特急色車両だ。
石山坂本線は、坂本ー石山寺間及び近江神宮前ー石山寺間がそれぞれ15分間隔で運行されており、利用の多い浜大津以南は毎時8本と利便性の高いダイヤとなっている。
石山坂本線の北行きの電車は、当駅をのんびりと出発すると、、、
廃止となったJRの貨物駅が存在していたのではないかと推察される北側の空き地を挟んでJR線と並走するかと思いきや、、、
すかさず急カーブを描いて、駅南側でJRの線路を南北に跨いで、膳所の市街地に入っていく。
この軌道線ならではの長閑な走行風景は、ストレス過多の現代社会において、無上の癒しを提供してくれる。
えきログちゃんねる
[京阪石山駅]2016年3月でラストランとなる旧京阪特急色の石山坂本線・600系201603
[京阪石山駅]京阪線では見れなくなってしまった旧京阪塗装・石山坂本線600系201603