姫路都市圏の中心機能の役割を果たすJR姫路駅に併設された、山陽新幹線の2面3線の高架駅。
山陽新幹線開通と同時に開業し、当初は優等の停車は無かったが、現在は最速達種別である「のぞみ号」の一部停車駅の地位にまで上り詰める。
ホームは、新幹線の駅にしては珍しい2面3線構造となっており、かつて実現が果たせなかった壮大な夜行新幹線構想の名残が感じられる駅となっている。
外観・駅周辺
人口約75万人を擁する姫路都市圏の中心機能の役割を果たすJR姫路駅。
新幹線ホームに近い駅南側は、戦後発達した市街地となっている。
今度は北口を北東方向より望む。2015年(平成27年)3月に完成した北駅前広場の整備事業によって大変貌を遂げた。
姫路駅北口のバスターミナルは、かつては山陽百貨店1階に存在したが、2015年(平成27年)3月に再編され、JRと山陽の間の駅前広場に集約された。
JR姫路駅北口の展望デッキから北方向は、ご覧の通りに抜群の眺めが展開されるが、この姫路城までまっすぐ伸びる大通りが大手前通り。
山陽百貨店と並ぶ戦災復興のシンボルであり、日本の道100選にも選定されている。
これがその山陽百貨店。1952年(昭和27年)に山陽電鉄と神姫バスの共同出資によって建設され、兵庫県西播磨地区で売上ナンバー1を誇る。
2階には、山陽電車の終着駅である山陽姫路駅を擁し、再開発されたJR姫路駅に引けを取らない存在感を放っている。
先ほどの大手前通りを突き当りまで進むと、、、
国宝・姫路城が堂々たる姿で出迎えてくれる。
姫路城は江戸時代以前に建築された天守が残る、現存12天守の一つであり、名古屋城・大坂城と並ぶ「三名城」にも名を連ね、国宝に指定されると共に、1993年(平成5年)には世界文化遺産にも登録された、世界に誇る観光名所となっている。
改札口・コンコース
兵庫県内第二位の人口を擁する播磨地方の中心駅としての存在感が存分に発揮された中央改札口。
在来線と新幹線の駅が同居する当駅は、県庁所在地である神戸市内の駅を凌ぐ兵庫県内最大規模を誇る駅である。
その改札内コンコース。兵庫県内最大の8つの乗り場を有し、四方へ向かう路線の起点となる運行上の重要なターミナル駅ともなっている。
終始賑わいを見せる当駅の利用客数は1日約10万人を誇り、競合の山陽姫路駅の5倍近い数値となっている。
新幹線のりばにつながる階段は、改札内コンコースを東改札方向に向かったところにある。
その階段を上った先は、2階新幹線乗換口につながっている。
在来線の姫路駅は、1888年(明治21年)に山陽本線の前身・山陽鉄道時代に開業した歴史ある駅だが、新幹線姫路駅は、1972年(昭和47年)の山陽新幹線の新大阪ー岡山開通時に開業している。
その新幹線姫路駅の改札内コンコースから、改札口方向を望む。最大の観光資源である国宝・姫路城が大々的にPRされている。
そして、改札内コンコースの中央奥には、、、
「500 TYPE EVA」の宣伝ポスターが大きく掲げられている。
かつて一世を風靡した500系のぞみを改造した「エヴァンゲリオン新幹線」は、山陽新幹線運行開始40周年とアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」放送20周年のコラボ企画によるもので、2015年(平成27年)11月より運行開始されており、山陽新幹線の新名物となっている。
時刻表
山陽新幹線:新大阪・東京方面
兵庫県西部の中核駅である当駅は、一部のぞみ・さくら号の停車駅となっており、東京行きと新大阪行き併せて毎時3~4本程度運行されている。
当駅周辺は近くに空港が無いため、東京方面へは新幹線が重要な足となっているようだ。
山陽新幹線:岡山・鹿児島中央方面
西行きも、広島行きの「のぞみ号」と博多から九州新幹線に乗り入れて鹿児島中央に向かう「さくら号」の一部が停車する。
各駅停車の「こだま号」は昼間時間帯は運行されておらず、岡山まで各駅に停まる「ひかり号」で代替されている。
乗り場
当駅は新幹線の通過駅でよく見られる、通過線を2線挟んだ相対式2面2線構造の駅かと思いきや、、、
実は、西行きの岡山・鹿児島中央方面行きホームが島式になっている、2面3線構造となっている。
一方の新大阪・東京方面行きホームは、通過駅でよく見かける単式構造となっている。
その単式の11番のりばホームから北東方向には、在来線姫路駅と姫路駅北口の光景が一望できる。
今度は上の写真の場所から北西方向を望む。当駅北側の山陽姫路駅を出発した山陽電車が、JR線の高架をくぐって南下していくのが見える。
かつては山陽電車がJRの地上線を高架で跨ぐ構造だったが、JR姫路駅の高架化に伴い「逆立体化工事」が行われた。
東隣の西明石駅まで30km、そして西隣の相生駅に至っては何と20kmしか離れておらず、新幹線の駅間距離にしては短いのが特徴だ。
ホーム端から西の相生・岡山方向を望む。
特に当駅から20kmしか離れていない当駅に新幹線が乗り入れている理由は、地元選出の国会議員・河本敏夫氏の力によるものと評されることが多いが、実際は夢の夜行新幹線構想における単線運転上の待避駅として設置されたものらしい。
山陽新幹線が博多まで全通した際に、当時は東京ー博多間が6~7時間を要したことから夜行寝台新幹線の導入が検討された。
東京ー博多間の中間地点にあたる西明石ー当駅間で、保守時間帯(0時~6時)の一部を使って単線運転を実施する予定であったらしい。
長い16両編成の電車が一直線に並ぶ光景が堪能できるのは、通過駅構造の駅の醍醐味の一つである。
その単線運転を可能とするためには、待避駅を増やす必要性があったことから、当駅含め兵庫県内には新幹線の駅が4つも設けられたということのようだ。
11番のりばに停車中のひかり号東京行き。今や少数派となっている700系だ。
新幹線登場時は最優等種別としてその栄華を極めたが、のぞみ号登場以降位置づけが変化し、現在は山陽新幹線内は各駅停車となっている。
向かいの12番のりばには、700系の進化版であるN700系のぞみ号がやってきた。
東海道・山陽新幹線の最速達種別である「のぞみ号」は1992年(平成4年)に誕生したが、当駅への停車が開始されたのは2003年(平成15年)からである。
当初は上下合わせて14本の停車であったが、現在は34本にまで大幅増となっている。
待避線の13番のりばは1日数本のみの停車となっており、午前9時台のホームだが、13番のりばの発車案内板では何と約12時間後の列車が案内されている。
のぞみ号停車前まで運行されていた当駅折り返しのこだま号が、この13番のりばを使用していた実績があるようだ。
そして、12番のりばに、桃色が美しいN700系が九州新幹線に直通する「さくら号」としてやってきた。
このさくら号は、ひかりレールスターで高い支持を得た快適な車内環境を引き継ぎ、九州新幹線に乗入れる速達列車用として2011年(平成23年)より運行されている。
そのさくら号が、次の停車駅の岡山に向けて出発した。
在来線の駅ではよく見かけるが新幹線の駅では珍しいこの2面3線構造も、夜行新幹線構想の名残なのだろうか。
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[山陽新幹線・姫路駅]N700系のぞみ号博多行き発車風景201603