何と弥生時代に鎮座され、平安遷都奉幣の儀式まで執り行われた由緒ある藤森神社の最寄駅である、奈良線の相対式2面2線の掘割駅。
100年の歴史を持つ奈良線において20年前に誕生した最も新しい駅で、京阪藤森駅との混同回避のため「JR」を冠するものの、実は藤森駅よりも墨染駅の方が近いという、京都らしいトリビアを有する。
単線区間と複線区間の境界に位置しており、輸送改善で大変貌を遂げた都市型路線とローカル線の名残との狭間を楽しむことが出来る魅力的な駅となっている。
外観・駅周辺
外国人観光客人気No.1の観光スポット・伏見稲荷大社擁する稲荷駅から一駅南に位置するJR藤森(ふじのもり)駅。
その高台にあるJR藤森駅から西方向は下り坂になっており、、、
その下り坂を400mほど進むと、、、
駅名の由来となった藤森神社にたどり着く。
この藤森神社は、その起源が何と弥生時代にまで遡る非常に歴史ある神社で、京都に都が遷された794年(延暦13年)には、時の桓武天皇によって遷都奉幣の儀式(無事に都が遷せるようお祈りするための儀式)が執り行われたらしい。
5月5日には藤森祭(別名・深草祭)が盛大に行われ、その祭りに奉納される「駈馬神事」が、馬の神事であることから「馬の神」として信仰されている。
従って、参道左側の大部分は人と馬の通り道となっており、競馬関係者や競馬ファンの参拝で賑わうらしい。
当社は、203年(神功皇后摂政3年)に三韓征伐から凱旋した神功皇后が武器を納めたことがその起源となったことから、勝負運にご利益がある神社としても有名である。
しかし、最初からこの「藤森神社」なる神社が存在したわけではないらしく、かつて「藤森」と呼ばれていた地に存在した3つの神社が統合されたものらしい。
さらに興味深いことに、その神功皇后が武器を納めた「藤森」の地は、実は現在の伏見稲荷大社の場所であり、同地に稲荷神を祀ることとなったために当地に遷座したらしい。
そして、「藤森神社」が遷座されるまでの当地は、京都地下鉄・近鉄竹田駅近くにある現・城南宮(当時:真幡寸神社)の社地であり、藤森神社遷座に伴い同社も玉突きで遷座することになったという、非常に興味深いトリビアが残されている。
その興味の尽きない藤森神社を後にして、当社西側を南北に走る本町通に出ると、狭隘な道路の割に半端ない交通量に圧倒されるスリリングな体験が出来る。
この街道は別名・伏見街道とも呼ばれ、西国大名の参勤交代の道ともなった古くからの交通の要衝であり、往年の年季を随所に感じることも出来る通りでもある。
その本町通を南に下り、墨染交差点を少し西に進むと、京阪本線の墨染駅に出る。
京阪藤森駅との混同を避けるために、JR藤森駅と名付けられたが、実は近くにあるのは藤森駅ではなく墨染駅だったりする。
改札口・コンコース
当駅属するJR奈良線は100年以上の歴史を持つ路線だが、当駅は1997年(平成9年)に開業した、奈良線で最も新しい駅である。
駅前広場にあるこの小さな銅像は、当駅西側にある京都教育大学の木代名誉教授制作のものらしい。
当駅は「JR藤森駅」と名づけられたが、開業前は「京都教育大学前」が駅名となる計画もあったようだ。
当駅の利用客数は、1日約6000人。京都教育大学の学生利用と奈良線の輸送改善等が相まって、この10年間で約20%増加している。
改札内コンコースから改札口方向を望む。開業から20年経っていない駅なので、真新しさが残っている。
当駅の駅舎は高台に立地しているが、ホームは高台の下にある掘割式となっているため、、、
改札内コンコースからは、当初の藤森神社の所在地であった、現・伏見稲荷大社が鎮座する稲荷山の情景が一望できる。
時刻表
奈良線:宇治・奈良方面
快速通過駅である当駅は、毎時4本の運行体系で、半分が終点奈良まで向かい、残りは途中の城陽止まりとなる。
奈良行きの普通電車は、途中の宇治で後続のみやこ路快速の待ち合わせを行う。
奈良線:京都方面
京都方面も毎時4本で、全列車京都行きとなっている。
乗り場
ホームは相対式2面2線の構造。
至近にある京阪藤森駅との混同を避けるため「JR」を冠する駅名にしたものの、実は近くにあるのは藤森駅ではなく墨染駅という、何とも京都らしい「一言さんお断り」的な状況となっている。
ホーム北端から稲荷・京都方面を望む。当駅以北は終点の京都まで複線区間となる。
2番のりばを221系みやこ路快速奈良行きが通過していく。
かつては非電化のローカル色満載の奈良線だったが、度重なる輸送改善で都市型近郊路線へと大変貌を遂げている。
当駅は普通電車しか止まらないが、新しい駅であることもあってか簡易式だが発車案内掲示板が設置されている。
今度はホーム南側から撮影。北側は駅舎となっているが、南側は自転車置き場となっているようだ。
その自転車置き場の真下の2番のりばに、まだまだ現役で活躍中の往年の国電車103系の普通奈良行きがやってきた。
その奈良行きが次の桃山駅に向けて出発。当駅が出来るまでの間は、稲荷ー桃山間が奈良線における最長駅間距離の区間であった。
当駅は、複線区間と単線区間との境界となっている。
当駅以南は宇治駅まで単線区間となり、ローカル線時代の名残を楽しむことが出来、当駅以北の近郊路線的光景との狭間を楽しむことが出来る。
その単線区間から複線区間に入る221系みやこ路快速京都行きが、1番乗り場を通過していく。
電化され車両も近代化し、複線化区間も増えたJR奈良線。
2011年(平成23年)には各駅に接近メロディーも導入され、まさに都市型近郊路線へと大変貌を遂げた。
えきログちゃんねる
[JR奈良線・JR藤森駅]221系みやこ路快速京都行き通過風景(奈良線接近メロディ付き)201604
[JR奈良線・JR藤森駅]ここから単線区間に入る103系普通奈良行き発車風景201604