キタ・ミナミに次ぐ大阪の繁華街「アベノ」地区に、2014年に現れた日本一高いビル「あべのハルカス(300m)」の1階に堂々と陣取る頭端式6面5線の地上駅で、第2回近畿の駅百選認定駅。
南大阪線の大阪方ターミナルで、近鉄最多の乗降客数を誇り(約16万人/日)、JR天王寺駅とあびこ筋を挟んでがっぷり四つに構える姿は、「アベノ」のランドマークにふさわしい風格を備えている。
天王寺駅の真隣にあるにも関わらず、駅名が異なることが良く話題に上がり、理由は所在区が違うことによるとの説が有力(あびこ筋を区境に、天王寺駅は天王寺区、大阪阿部野橋駅は阿倍野区に所在する)。
しかし、実は開業当初は何と「大阪天王寺駅」として開業しており、翌年の1924年に現在の「大阪阿部野橋駅」に改称されたという経緯がある。国鉄(当時)との差別化を図るために敢えて駅名を変更したというのが実情のようだ。
外観
あべの筋とあびこ筋が交差する近鉄前交差点。横を走っているのがあびこ筋、縦があべの筋。
真ん中奥の丸囲みが阪堺上町線の天王寺駅前駅。左手奥があべのハルカス、右手奥があべのキューズモール。
近鉄によって一気に再開発が進み、大変貌を遂げた区域だ。
その近鉄前交差点を南西角より望む。
あびこ筋を挟んだ向こう側にJR天王寺駅と、南海天王寺駅跡地に建設された商業施設「天王寺ミオ」が見える。
これが近鉄阿倍野ターミナルビル旧本館を建て替えて2014年に誕生した「あべのハルカス」。
高さ何と300mで、日本一高いビルの地位を横浜ランドマークタワーから奪取した。当然日本一高い駅ビルでもあり、「アベノ」の新しいシンボルだ。
そのあべのハルカスの1階に近鉄大阪阿部野橋駅は陣取っている。
あべのハルカスには近鉄百貨店本店も入居しており、大阪上本町駅と同様の近鉄百貨店直結のターミナル駅となっている。
手前の通りはあびこ筋で、この筋から南側(近鉄側)が阿倍野区だ。
あびこ筋を挟んだ向かい側にJR天王寺駅が向かい合っている。あびこ筋より北側(JR側)から天王寺区となる。
真隣にあるのに、両者の駅名が異なる所以。横綱級の両駅が、大通りを挟んでがっぷり四つに構える姿は壮観そのものだ。
改札口・コンコース
天王寺口からあべのハルカスに潜入。大阪阿部野橋はその1階に堂々と陣取っている。広くて綺麗なコンコースだ。
このコンコースを真っ直ぐ進むと、左手に頭端ホームに直結する西改札が姿を現す。
西改札正面。
その西改札を改札内から。改札出て正面が近鉄百貨店あべのハルカス近鉄本店。
大阪上本町駅とそっくりの作りだが、利用客が同駅の2倍以上あるので、賑わいが違う。
時刻表
南大阪線:藤井寺・橿原神宮前・吉野・河内長野方面
南大阪線は、近鉄の他の線と異なり、2000年以降特急除く大きなダイヤ改正は行われていない。
日中昼間は、1時間あたり
吉野行き有料特急:1~2本
吉野行き急行:2本
準急:6本(うち橿原神宮前行き:2本、古市から長野線に乗り入れて河内長野行き:4本)
普通:6本(うち藤井寺行き:4本、古市行き:2本)
の計15~16本/時の体制。
優等は完全な遠近分離型の停車駅となっており、準急は当駅を出ると10キロ先の河内松原まで、急行は何と18キロ以上離れた古市駅まで途中の駅には止まらない。
古市駅を境に利用状況が大きく異なっており、都市部の優等は準急が主体となっているのが特徴だ。
乗り場
西改札を入ってすぐのところにある発車案内掲示板と到着した電車から流れてくる人々。
立派な地上頭端ホームに閑古鳥が鳴いている大阪上本町駅とはうって代わって、終着駅にふさわしい人通り。さすが近鉄最大の乗降客数を誇るだけある。
1・2番のりばからは主に各駅停車が発車。6400系藤井寺行きが停車中。
2番のりばにも同じく6400系の藤井寺行きが停車中。昼間の各駅停車は4~5両編成が主体だ。
今度の2番のりばは6400系の4両編成バージョンである6620系の古市行き。
2番のりばホームから西改札方向を望む。大阪上本町駅に比べると利用客が多いからかホーム幅が広く感じる。
西改札のさらに接近。大阪上本町駅よりも改札機の数も多い。
今度はホーム先端方向を望む。ホームが南寄りにカーブしている。
3番のりばに6000系の河内長野行き準急が到着。昼間は優等の主力準急でも短い5両編成だ。
道明寺以遠は自社路線の大阪線と並行して走る部分が多く、利用客が大阪線と南大阪線で分散されている可能性がある。
かつて南大阪線は大阪線と別会社運営(大阪鉄道)だったが、経営難に陥り、大阪線を運営する近鉄の前身大阪電気軌道(大軌)傘下に入り、同一会社の路線となった。
駅票。実は「大阪天王寺駅」として開業し、開業翌年にこの駅名に変更したという事実は、意外に知られていないトリビアだ。
3番のりばに停車中の6820系シリーズ21の橿原神宮前行き準急。9020系の狭軌仕様。
南大阪線系統は、かつて近鉄と別会社である大阪鉄道が狭軌路線として運行していた経緯から、現在でも他の路線と異なり、狭軌仕様の車両編成となっている。
4番のりばに到着の6400系の河内長野行き準急。他の標準軌路線で使用されている1220系の狭軌バージョンだ。
6400系列は1980年代後半から1990年代前半にかけて一挙に投入された南大阪線の主力系統だ。
4番のりばから西改札方向を望む。前方に駅ナカファミリーマートが見える(通称:近鉄エキファミ)。
近鉄の駅ナカ売店は次々とファミマ化されている。なぜファミマなのかというと、かつて近鉄が運営していたコンビニam/pmがファミマに吸収合併されたという経緯があるからと思われる。
今度の4番のりばは30分に1本の6000系吉野行き急行。これも短い4両編成。
南大阪線の急行は、当駅を出ると18キロ以上離れた古市駅まで止まらず、完全に郊外利用客用の種別となっているのが特徴。
3番のりばと4番のりばに6000系が並んだ。
ホーム先頭付近まで来て、西改札方面を望む。
大阪阿部野橋駅は8両編成まで対応可能だが、日中は最大でも5両編成なので、ホームの東側半分はほぼ使われていない状況。
4番のりばに停車中の6000系吉野行き急行の向こう側5番のりばには、6400系の回送車が停車中。
最後の5線目は、5番のりばと6番のりばの共同使用。有料特急は6番のりばから乗車し、通勤車は5番のりばから乗車する。
6番のりばに折り返し16600系ACEの吉野行き特急が入線。22600系の狭軌バージョン。通勤車よりもさらに短い何と2両編成だ。
最後にホーム先頭付近から河堀口方面を望む。
えきログちゃんねる
2番のりばから発車する藤井寺行き各駅停車。
3番のりばから発車するシリーズ21・6800系の橿原神宮前行き準急。後ろ2両は6400系という新旧コラボ。
4番のりばから発車する6000系の吉野行き急行。ここから18キロ離れた古市までノンストップで突っ走る。