浜寺公園駅[南海]（堺市西区）～国の文化財となった私鉄最古の駅舎だけでなく、独特のホーム構造等駅構内もネタが満載な近畿の駅百選認定駅～

 

南海沿線有数の高級住宅街・浜寺地区の中心に位置する、南海本線の２面４線の地上駅で、栄えある第１回近畿の駅百選認定駅。

1907年（明治40年）に建造された私鉄最古の駅舎は、隣の諏訪ノ森駅と共に大手私鉄初の国の登録有形文化財にも登録された、風情とレトロ感満載の駅舎である。

また、駅舎だけでなく、謎の切り欠き部を有する独特のホーム構造に、構内踏切まで兼ね備えるなど、駅構内も魅力満載な、まさにネタの宝庫である。

しかし、残念ながら、2028年（平成40年）に高架化される予定となっており、この独特の魅力も失われてしまうことになりそうだ。

外観

府道204号・紀州街道沿いにある浜寺公園駅前交差点。

 

 

府営浜寺公園は、1873年（明治6年）に開園した日本最古の公立公園。5,500本もの松林で有名だ。

 

 

その浜寺公園入口から、反対の東方向を望む。阪堺電車の終点・浜寺駅前駅の奥の突き当たりに、浜寺公園駅が見える。

 

これが阪堺線の終点・浜寺駅前駅。あべのハルカス開業後、阪堺電車の主系統の起点となった天王寺駅前駅と同じ１面１線構造だが、こちらは地方のローカル線的なひっそりとした雰囲気だ。

 

この駅前通りの突き当たると、浜寺公園駅が姿を現す。

 

 

これが、1907年（明治40年）に建造され、隣の諏訪ノ森駅と共に、大手私鉄で初めて国の登録有形文化財にも登録された、私鉄最古の駅舎だ。

 

2000年（平成12年）には栄えある第１回近畿の駅百選にも認定され、2002年（平成14年）には、堺市景観賞も受賞している。

 

 

諏訪ノ森駅とこの浜寺公園駅のある浜寺地区は、南海沿線内でも有数の高級住宅街。

 

 

東京駅などを手掛けた辰野金吾博士による設計とのこと。かつて、この周辺はリゾート地として賑わい、当駅は「東洋一の海水浴場」の玄関口として開業したらしい。

 

 

周りに高い建物が少ないのも、この周辺が第１種低層住宅専用地域に指定されていることによるもの。但し、この右側のマンションは例外なのか？？

 

改札口・コンコース

文化財の中に入ってみる。浜寺公園駅の利用は１日4000人程度。高級住宅地の住民の皆様方はわざわざ電車は使わないのかもしれない。

 

 

構内から駅外側方向を望む。時がとまった感覚を覚える。

 

 

改札は１か所。年季の入った壁や天井も経年の味わいを醸し出している。

 

 

一つの階段を改札内移動と改札外移動の両方で共有するという面白い構造も特徴の一つ。

 

時刻表

南海本線・空港線：和歌山市・関西空港方面

１日4000人程度の利用しかないため、魅力満載の駅だが、残念ながら優等はいっさい止まらない。

 

南海本線：なんば方面

なんば方面も原則普通車しか止まらないが、朝ラッシュ時に堺まで各駅に止まる準急が３本運行されている。

 

乗り場

【１・２番線】南海本線・空港線：和歌山市・関西空港方面

駅票。

 

 

 

駅舎だけでなく、ホーム構造も特徴的な浜寺公園駅。諏訪ノ森駅同様、千鳥式配置のホーム構造にも見えるが、謎解きはこの後で。そして、構内踏切が存在する。

 

和歌山市・関空方面行きの１・２番線ホーム。

 

 

２番線を通過する泉北高速から譲渡された3000系の空港急行・関西空港行き。

 

駅舎同様レトロ感満載のホーム。そして、何とも不思議な切り欠き式のホームが姿を現す。

 

 

これまた洋風の洒落たデザインの待合室。

 

 

ホーム堺寄りから。ここから見ると、千鳥式ではなく、切り欠き部分を備えた島式２面４線ホームであることがわかる。

 

３番線を通過する7100系の空港急行・なんば行き。

 

１番線に、同じ7100系の普通車・和歌山市行きがやってきた。

 

【３・４番線】南海本線：なんば方面

改札口は、３番線ホーム横にある。

 

 

日中の電車は、３番線から発車する。この部分は単式ホームに見える。

 

 

これまた7100系の普通車・なんば行きがやってきた。本線だが短い４両編成。しかも、１時間に４本しかないところに、現在の需要状況が現れている。

 

そして、この３番線からなんば方面を向くと、、、

 

 

謎の切り欠きホームの４番線が姿を見せる。

 

 

そして、この切り欠き部分の４番線が待避線。つまり、４番線に停車する列車は、一度３番線を通過してから４番線に入線することになる。こんな珍しい構造の駅は見たことが無い。

 

 

かつて、なんば方面からの当駅折り返し電車が設定されており、４番線はそのための利用するホームだったようだ。それを待避線に改造したというのが種明かしらしい。

そして、さらに４番線の同じホームの向かい側（写真左側）には、５番線が存在したらしい。こんなにネタの宝庫的な駅もなかなかお目にかかれない。

 

 

切り欠き部分には車止めがあったのだろうか。朝夕ラッシュ時以外は使用されずにロープがかけられている。

残念ながら、諏訪ノ森駅と共に、この駅も2028年（平成40年）に高架化される予定となっている。貴重な鉄道文化がまた一つ姿を消すことになる。

 

えきログちゃんねる

[近畿の駅百選南海浜寺公園駅発車風景]南海本線7100系普通車なんば行き201508

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