明治時代から路線があったものの、昭和の高度成長期まで長らく駅が存在しなかった、京阪東福寺駅に隣接する奈良線の相対式2面2線の地上駅。
長らく京阪に駅業務を委託する寂しい単式1面1線ホームだったが、奈良線の輸送改善に伴って、橋上駅舎化・ホーム増設・複線化と格段の進化を遂げている。
さらに2001年(平成13年)からの快速停車化も奏功し、利用客数が直近10年で5割増しと大幅な増加を記録する大躍進を遂げた駅である。
外観・駅周辺
府道143号線・九条通り高架上から北西方向を望むと、京都駅ビルの巨大建造物がはっきりと見て取れる。
同じ場所から東方向を望むと、坂を下ったところにある東福寺交差点。ここから道路は北に進路を変え、通りの名前も東大路通(東山通)と変わる。
南方向を望むと、左側から大きく西にカーブして陸橋を渡る京阪電車と、、
右側を直進するJR奈良線とのダイナミックな立体交差の光景が楽しめる。
その高架を下って、南北に走る本町通(伏見街道)を北方向に望む。11月の観光シーズンであることもあってか、平日昼間なのにこの人通り。
そこから少し北に向かった左手に東福寺駅がある。長らく京阪の駅しかなかったので、看板等が京阪仕様。
JR奈良線(当時:奈良鉄道)の開業自体は、京阪より約30年早い1879年(明治12年)と相当古いが、1957年(昭和32年)までJRの駅は存在しなかったという経緯がある。
その駅入口から、本町通を南方向に望む。奥に見えるのが、最初に見た九条通りの高架橋。
その高架橋をくぐって南下して、京阪電車が西にカーブする地点を通過し、、
さらに南に進むと、東福寺中門に到着。実は東福寺駅へは、当駅よりも京阪鳥羽街道駅の方が近いという、知られざるトリビアがある。
その東福寺中門を入ったところから西方向・本町通方面に望む。ここから東福寺駅へは徒歩8分、鳥羽街道駅へはその半分の4分で行ける。
中門を入って本堂の入り口にある日下門。その日下門から中門方向を望む。観光シーズン真っ盛りなので、平日昼間でもこの人出だ。
日下門を入って本境内。奥に見えるのが本堂。右手は禅堂。
その本堂を北西方向から。紅葉で有名な通天橋に行くには拝観料が必要となる。今回は取材できなかったが、通天橋からの紅葉は、京都でも1・2を争う絶景らしい。
日下門入り口から北方向には、旅情を引き立てる小道が通っている。東福寺駅はこちら方面。
その反対側の南方向には、竹林の美しい魔訶阿弥の森が。本当の東福寺の最寄り駅である京阪鳥羽街道駅は、こちら方面になる。
改札口・コンコース
駅入口だが、正面改札は京阪東福寺駅の東改札。JRの入り口に行くには、ここを左に曲がって、、
奥にある階段を上って、、
京阪電車のホームを眺めながら、、
橋上改札口まで行く必要がある。長らく京阪の駅しかなく、狭隘な敷地の関係上、地上に降り立つことができなかったのだろう。
上の写真の反対方向を見ると、右手がさきほど上ってきた階段に続く通路。そして、左側の階段は、京阪東福寺駅の1番線ホームにある西改札に直結する連絡階段だ。
その橋上改札口を改札内より。1993年(平成5年)に橋上駅舎化された。それまでは、駅業務は京阪電車に委託する形をとっていたらしい。
奈良行きホームの京都寄りにある京阪電車との乗換改札口。
2011年(平成23年)に設置され、7時~19時までの間であれば、橋上改札を経由せず、ここから平面乗り換えが可能となった。
時刻表
奈良線:宇治・奈良方面
1984年(昭和59年)に電化されるまでは、完全なローカル線で、競合の近鉄京都線には全く歯が立たない状況だったJR奈良線も、電化・一部複線化で大幅に輸送改善がなされた。
日中は221系によるみやこ路快速、奈良行き普通、城陽行き普通が毎時2本ずつの計毎時6本の体制で、並列する京阪本線と同様の輸送密度となっている。
みやこ路快速は、近鉄京都線急行のライバル的存在となっており、奈良までの所要時間は近鉄急行を上回る(みやこ路快速:44分、近鉄急行:48分)。
奈良線:京都方面
奈良線の終点京都駅は、当駅の次の駅だが、京阪からの乗換客等で、当駅から京都行きの利用も結構多い。
乗り場
ホームは相対式2面2線。かつては右側ホームのみの単式1面1線構造だったが、1994年(平成6年)に1番のりばが新設された。
その真隣には、JRより40年先に開業している京阪東福寺駅が並んでいる。
なので、JRの駅を発車する221系みやこ路快速奈良行きと、京阪の駅を通過する8000系特急出町柳行きのようなコラボレーションが楽しめる。
当駅はかつて快速の通過駅だったが、2001年(平成13年)より一部複線化を機に快速停車駅に昇格した。
駅は京阪の40年後だが、路線は京阪より30年早く開業していたJR(国鉄)は、線形が良くまっすぐ直進している。
踏切の名称板が駅構内にあるのも、なかなか珍しいかもしれない。
京阪の駅が真隣のあるので、JRの駅から京阪電車の姿がリアルに楽しめる。
やってきたのは1000系の準急出町柳行き。このあと、三条で後続の特急の待ち合わせを行う。
奈良線仕様の駅票。日本の古都(京都と奈良)を結ぶクラシックな落ち着いたイメージを表す茶色がラインカラー。
もともと駅が存在しなかった敷地内に何とかこしらえた駅なので、ホーム幅はかなり狭い。
当駅の1日の利用客数は京阪東福寺駅と同レベルの1日約16000人。奈良線の輸送改善、当駅への快速停車化により、2004年比5割増の大幅増加となっている。
観光シーズンには大混雑を見せることから、京阪が敷地を貸与してホーム幅を拡げる措置を取っている。
かつてJRが京阪に駅業務を委託していた時代は、1番のりばホームと両駅を隔てる壁がなく、実質的に2面3線構造の駅だったらしい。
2番のりばの京都寄りに設置された京阪電車との乗換改札口を、1番のりばホームから撮影。
そんな中、1番のりばにまだまだ現役で活躍中の往年の名車103系・普通京都行きが姿を表した。
奈良線仕様のウグイス色に染まった103系のコラボ。地元民にはおなじみだろうが、鉄にはシビれる光景だ。
今やJR西日本のアーバンネットワーク中に配備されている快適革命の先駆者221系は、奈良線の普通にも使用されるようになってきている。
ホーム端から京都方面を眺める。ここから終点京都駅まではたったの1キロほど。かつては単線だったが、今は立派な複線となっている。
えきログちゃんねる
[JR奈良線と京阪本線のコラボ@東福寺駅]JR103系普通奈良行き発車&京阪1000系準急出町柳行き入線201511
JR103系が普通奈良行きとして発車直後、京阪1000系が準急出町柳行きとして入線。東福寺駅ならではのコラボレーションです。
[まだまだ現役国電車103系@東福寺駅]JR奈良線普通京都行きと奈良行きの同時入線風景201511
JR奈良線・大和路線仕様のウグイス色に染まった往年の名車が東福寺駅で並びました。