滋賀県大津市の中心市街地にあり、琵琶湖に面した大津港を擁する交通の要所に位置する、京津線・石山坂本線の島式1面2線の地上駅で、第3回近畿の駅百選認定駅。
明治時代に国鉄東海道本線の初代大津駅として開業したが、同線のルート変更の影響で支線化され、大津電気軌道(現京阪電車)が継承したという異色の歴史を有する。
日本で唯一、地下鉄車両のダイナミックな路面走行が見られる場所として有名で、両線の電車が路面を行き交う駅前交差点の姿は、鉄道ファンのみならず魅了される光景である。
また、大津線の拠点たる風格ある駅舎と、駅東側に広がる開放的な琵琶湖の眺望も圧巻で、滋賀県最大の観光名所の一つと言っても過言ではない、魅力満載のターミナル駅である。
目次
外観・駅周辺
琵琶湖が一望できる長等山のふもとにある上栄町駅から、国道161号線に入って併用軌道を北に1キロほど進むと、、
京阪大津線の拠点・浜大津駅の堂々たる駅舎が姿を現す。
この浜大津駅前交差点は、電車が路面を走る姿が堪能できるという全国でも珍しい場所として有名だ。
その浜大津交差点から、南の国道161号線方向を望む。上栄町駅にかけての緩やかな上り坂の併用軌道が、旅情感を醸し出す。JR大津駅はこの方向に徒歩15分ほどだ。
浜大津駅全景を浜大津駅前交差点北東角より望む。実は浜大津駅は、1880年(明治13年)に国鉄東海道線の初代大津駅として開業したという異色の歴史を持っている。
大津線の拠点の風格にふさわしい、ペデストリアンデッキを備えた立派な駅舎。
その後、東海道本線のルート変更により、支線となった膳所ー当駅間を1913年(大正2年)に電化・三線軌条化して開業したのが、石山坂本線の前身である大津電車軌道である。開業3か月後に現駅名に改称された。
駅舎東側のペデストリアンデッキから北方向に見える商業施設「明日都」は、1981年(昭和56年)まで京津線の浜大津駅の頭端式ホームのあった場所。
京津線の前身は京津電気鉄道で、同線の浜大津駅乗り入れは京阪との合併直後の1925年(大正14年)。別会社だったゆえに、別駅舎となっていたようだ。
その4年後の1929年(昭和4年)に琵琶湖鉄道汽船となっていた石山坂本線を京阪が合併し、両線が京阪の路線となった。
ペデストリアンデッキの北側より駅舎を望む。この堂々たる六角形の駅前広場の下はバスターミナルとなっている。近畿の駅百選に認定されたのも納得の、堂々たる風格の駅舎だ。
同じ場所から東方向を望む。目に前に迫る琵琶湖に迫る大きな建物が、駅構内放送でも案内される複合型アミューズメント施設である浜大津アーカス。
かつては飲食店やシネコンも入居していたが、今はラウンドワンスタジアムに成り代わった。
ペデストリアンデッキの北端は、琵琶湖に望む大津港に直結している。
東海道本線建設当初は、大津ー長浜間は鉄道ではなく船による連絡とされたことから、大津港のあるこの場所が、初代国鉄大津駅とされたようだ。
ペデストリアンデッキからは、開放的な琵琶湖の風景が一望できる。
浜大津駅前交差点でのダイナミックな路面走行
浜大津駅最大の見どころが、この浜大津駅前交差点で繰り広げられる京阪電車のダイナミックな路面走行風景だ。
まずは、浜大津駅を出発して南に大きくカーブする京津線800系。
4両編成の車輌が京阪山科・御陵を経て、旧京津三条駅を通る京都地下鉄東西線方面に向かう。路面を走る地下鉄車両見られるのは全国でもここだけだ。
そして、石山坂本線の2両編成同士の離合。今では京阪本線系統では見られなくなってしまった旧京阪標準塗装車や、、、
2016年(平成28年)3月で引退となってしまう、往年の京阪特急塗装車も堪能できる。
浜大津駅は、滋賀県最大の観光名所の一つと言っても過言ではない。
改札口・コンコース
改札口は橋上に1か所。
かつて別の場所にあった京津線と石山坂本線の駅舎が1981年(昭和56年)に統合され、現在の形になった。
駅舎西側からコンコースを望む。開放的な空間だ。
改札口を改札内より撮影。駅構内はシンプルな作りだ。
プラットホームに降りる階段も1か所。
壁には江戸時代からの地元の名産として親しまれている「大津絵」が飾られている。
時刻表
京津線:三条京阪・太秦天神川(地下鉄東西線)方面
当駅を起点とする京津線は、山科・御陵を経由して地下鉄東西線に入って京都市内に向かう。
日中は4両編成の電車が15分間隔。本数が倍の石山坂本線の電車が行きかう間を縫って運行されている。
石山坂本線:石山寺方面
石山坂本線は2両編成だが、本数は京津線の倍の日中毎時8本が運行されている。
ここから東に向かい、JR琵琶湖線との接続のある膳所・石山方面が最も利用されている区間で、大津市の中心市街地内をきめ細かく走っている。
石山坂本線:坂本方面
坂本方面は、当駅より琵琶湖の西岸をJR湖西線方面に向かう路線で、中心市街地からは離れていく。
そのため、大津市役所・JR大津京駅を過ぎた近江神宮前駅までは、毎時8本体制だが、同駅以北は本線が半減する。
乗り場
立派な駅舎とは裏腹に、ホームは島式1面2線のシンプルな構造。
大津線仕様の駅票。京阪本線は2008年(平成20年)の中之島線開業を機にデザインが一新されたが、大津線(京津線・石山坂本線)は変更されていない。
当駅の利用客数は1日約6000人だが、京津線と石山坂本線の乗り換え客を含めると、1万人くらいは利用がありそうな感じだ。
島ノ関方面にある、不自然に曲がりくねった引上げ線。
かつて2両編成が基本だった大津線だが、1997年(平成9年)の京都地下鉄東西線開通を機に4両編成化された京津線に対応させるための苦肉の策のようだ。
その引上げ線に、当駅始発の京津線800系が停車中。
元々軌道線であったためカーブが多い石山坂本線だが、当駅ー京阪膳所間は初代・東海道本線ルートの名残を残す綺麗な直線となっている。
その800系が京都市役所前行きとして1番のりばに入線してきた。
これが日本で唯一、地下鉄と路面区間を直通する電車だ。
また京津線内の急カーブ・急こう配も走行するために様々な仕掛けが施されており、日本一コストのかかる車両とも揶揄されているらしい。
2番のりばにやってきたのは、石山坂本線の坂本ケーブル塗装600系の石山寺行き。
そして、1番のりばには700系鉄道むすめ号の坂本行きが入線。
石山坂本線のラッピング車同士が並んだ。シンプルな1面2線構造なので乗り換えに便利な機能的なプラットホームだ。
今度の1番のりばは、600系ちはやふる塗装の近江神宮前行き。
そして、2番のりばには、京阪標準塗装600系の石山寺行き。もう京阪本線では見られないこの塗装を見ると、自分のような世代はほっとさせられる。
次の近江神宮前行き600系もうれしい標準塗装だ。
そして、1番線には京津線800系が入線。京都地下鉄東西線の終点太秦天神川まで向かう。
かつては三条京阪の一つ先の京都市役所前止まりだったが、利便性向上のため30分の1本は太秦天神川行きとなった。
ホーム端から浜大津交差点方向を望む。左に大きくカーブするのが京津線。
たびたび廃止が取りざたされる大津線だが、数々の営業努力が実を結び、この偉大なる鉄道文化が継承されることを切に願いたい。
えきログちゃんねる
[日本唯一路面を走る地下鉄]京阪京津線800系浜大津駅入線風景(上空から撮影バージョン)201510
この光景はいつ見ても萌えっとさせられます。
[路面を走るきかんしゃトーマス号2015w/独特の警笛音@浜大津駅]京阪石山坂本線700系201510
2016年3月まで期間限定で運転されるトーマス号です。浜大津駅を出発してすぐの路面の交差点で坂本方面から来る600系と独特の警笛音を鳴らしながら行違う姿は見ものです。
[日本唯一路面を走る地下鉄]京阪京津線800系浜大津駅発車風景201510
[路面を走る京阪電車浜大津駅]石山坂本線600系近江神宮前行き201510
路面電車と本線から姿を消した旧京阪塗装が残っているのが京阪浜大津駅の素敵なところです。
[日本唯一路面を走る地下鉄車両]京阪京津線800系浜大津行き(上栄町⇒浜大津)201510
地下鉄車輌が路面を走る姿が見れるのは、日本ではここだけです。