全国3万社ある稲荷神社の総本宮・伏見稲荷大社の表参道に直結する最寄駅である、奈良線の相対式2面2線の地上駅で、第1回近畿の駅百選認定駅。
1879年(明治12年)に、東海道本線の駅として開業するも、現大津駅を経由する短絡ルート開設により奈良線に所属変更されたという異色の経緯を持つ。
シンプルな構造ながら、伏見稲荷大社最寄駅であることと、日本最古のランプ小屋が現存することが決め手となり、栄えある第1回近畿の駅百選に選定されており、神社と共に駅自体も魅力満載である。
外観・駅周辺
JRと京阪のダイナミックな立体交差が見られる東福寺駅から、本町通(伏見街道)を南に2キロほど進んだところにある稲荷駅を北方向から望む。
今度は南方向から望む。狭い本町通だが、名刹の参道が並ぶこともあり、終始人と車でごった返している。
すると、駅南側に何やらレンガ仕立ての小さな小屋を発見。
実はこれ、国鉄最古のランプ小屋。
当駅の現在の所属は奈良線だが、1879年(明治12年)の開業当時は、東海道本線の駅として開業し、同線は東山・逢坂山を迂回する、現京阪京津線に近いルートを通っていた。
上の写真からさらに南に下ったところにある踏切から、まだまだ現役で頑張る国電車103系を望む。
1921年(大正10年)に現・山科駅・大津駅を経由する現在の短絡ルートに切り替えられ、東海道本線は当駅を経由することがなくなった。
上の踏切から西方向に進んだところにある、琵琶湖疎水上に1925年(大正14年)に架けられたススハキ橋。
その後、旧・東海道本線は、奈良-桃山間で開業した奈良線と接続され、所属線が変更になったという異色の経歴がある。
ススハキ橋から琵琶湖疎水を北方向に望む。疎水百選にも選定された、伏見の観光資源の一つだ。
そのススハキ橋の一つ南にかかる深草橋。
その名の通り、同橋は京阪深草駅の真ん前にある。稲荷駅から京阪深草駅までは徒歩5分とかからず、実は伏見稲荷駅よりも近い。
また、深草駅は京阪電車の初代・稲荷駅であったというのも、ちょっとしたトリビアである。
外国人が選ぶ日本の観光地第1位:伏見稲荷大社
稲荷駅の名物は、何といっても駅出口に直結する伏見稲荷大社。
711年(和銅4年)に鎮座された、全国に3万社あるとも言われる「お稲荷さん(稲荷神社)」の総本宮である。
その一の鳥居前から稲荷駅方面を望む。まさに伏見稲荷大社の表参道に直結している。
トリップアドバイザーによる「外国人に人気の日本の観光スポット」で2年連続1位を獲得した通り、周辺は日本人よりも外国人の姿の方が多い。
長らく「稲荷神社」を名乗っていたが、1946年(昭和21年)の宗教法人化と共に、社名を「伏見稲荷大社」に改称した。
青空に映える朱色が美しい大鳥居が堂々と構える。伏見稲荷大社は、初詣参拝客でも全国トップ3に入る人気を誇っている。
その奥に聳える楼門は、本殿と共に国の重要文化財に指定されている。
当社のもう一つの最寄駅である京阪伏見稲荷駅は、この場所から左に折れた裏参道(神幸道)を下ったところにある。
稲荷山までつながる壮大なスケールも、伏見稲荷大社の魅力。
参拝で日本の文化を感じるだけでなく、欧米人が好むウォーキングが出来ることも、高評価の理由とされているらしい。
本殿横からは稲荷山参道への入り口となる大鳥居が出迎える。
「お稲荷さん」の愛称で親しまれる稲荷大明神は、元々「イネが生った」ことから来る穀物の実りの神様であったが、その後「実り」が派生して商売繁盛や家内安全等の守護神としても信仰を集めるようになったらしい。
そして、これが伏見稲荷大社名物の「千本鳥居」。
信者からの奉納された鳥居は、本殿から稲荷山まで実に1万基もあるらしく、ここでしか見られない実に壮観な体験ができる。
改札口・コンコース
改札口は1か所。伏見稲荷大社の最寄駅を示すため、柱が朱色に塗られている。
京都駅発の電車から、伏見稲荷大社めがけて雪崩のように人が流れてくる。ちなみに平日の昼間の光景である。
乗り場
ホームは相対式2面2線。
奈良線仕様の駅票。
京都・奈良の古都同士を結ぶ路線であることから、クラシックな落ち着いたイメージを表す・茶色がラインカラーとなっている。
シンプルな構造の駅だが、伏見稲荷大社最寄駅であることと、日本最古のランプ小屋が現存することが決め手となり、栄えある第1回近畿の駅百選に選定されている。
京都方面行きの電車を待つ人々。
当駅の利用客数は1日約14000人。奈良線に輸送改善に加え、伏見稲荷大社への参拝ブームから20世紀末から約倍増している。京都駅からたったの2駅という利便性も後押ししているものと思われる。
1番のりばから、2番のりばと直結する改札口方面を望む。
決して広くない構内なので、初詣時は殺人的な混雑ぶりを見せるらしい。普段は快速通過駅だが、正月は臨時停車する。
手前が京都行きの1番のりば。さきほどのランプ小屋は、向かいの2番のりば後方の丸囲みの場所にある。
1番のりばに普通京都行きが、普段は快速で使用されている221系でやってきた。
列車内から、後方の桃山・奈良方面を望む。
えきログちゃんねる
[伏見稲荷大社最寄のJR稲荷駅接近メロディ]奈良線普通京都行き@1番のりば201511
運行管理システム未使用線の標準バージョンですが、当駅は観光客利用が多いためか、行先案内放送があります。
[JR稲荷駅入線発車風景]まだまだ現役国電車103系普通奈良行き201511
稲荷駅から奈良方面はしばらく単線になります。
[伏見稲荷大社最寄のJR稲荷駅入線風景]まだまだ現役国電車103系普通京都行き201511