京都オフィス街の中心、四条烏丸にある京都市バスのバス停で、馴染みのない人はおそらく「しじょうからすま」と読めない難読バス停。
阪急京都線烏丸駅と京都地下鉄烏丸線四条駅との乗換駅でもあり、京都駅・四条河原町と並ぶ、京都市内交通における最重要拠点の一つである。
かつて、四条通裏手にある、操車場を備えた大規模バスターミナル(四条烏丸市バスセンター)からバスを発着させていたが、現在は廃止され、四条通と烏丸通にバス停を分散させている。
現在は廃墟となったバスセンター跡地が、秘境感を漂わせながらも、かつての栄華を彷彿とさせる魅力を醸し出しており、表通りの賑わいとのギャップが楽しめるバス停となっている。
目次
外観・停留所周辺
京都のオフィス街の中心である四条烏丸。日本の三大メガバンクであるSMBCとMUFJが互いに威厳を競いあうかのような風格のビルが双璧をなす、四条烏丸交差点より四条通東方向を望む。
ここから四条河原町までが、京都随一の繁華街となっている。
四条烏丸交差点北東角に君臨する、三井住友銀行京都支店(旧三井銀行)の入居する京都三井ビル。
一方の南東角には、三菱東京UFJ銀行京都支店(旧三菱銀行)が入居する京都ダイヤビル。
そして、同交差点の北西角には、旧三和銀行京都支店のビルがあったが、三菱銀行と合併になって不要となって売却された。
現在は建て替えられてビジネス街ならではの「上質な大人」向けの商業施設・ラクエ(LAQUE)四条烏丸となっている。
乗り場
市内縦横無尽に路線が走る京都市バスの重要拠点である四条烏丸停。
1989年(平成元年)までは四条烏丸バスセンターなるバスターミナルが存在したが(後述)、現在は廃止され、四条通と烏丸通にのりばが点在している。
【Aのりば】四条通東行き:祇園・百万遍・修学院方面
Aのりばは、四条烏丸交差点から烏丸通を北へ徒歩数分を有するやや不便な場所にある。
ここから発着するのは、31系統が1時間に1本だけで、祇園・百万遍方面へは、より交差点に近いFのりばから頻発しているので、そちらを利用した方が便利だ。
このAのりばの南側には、京阪バスが運行する関西空港行きリムジンバスも発車している。
【Bのりば】烏丸通南行き:京都駅方面
四条烏丸交差点南東角付近にあるBのりばは、主に京都駅に向かう便が発車する。この烏丸通の地下を地下鉄烏丸線が通っている。
四条烏丸停は、観光客にわかりやすいように、今世紀に入って「地下鉄四条駅」という副停留所名が設定されている。
烏丸通を南北に走る地下鉄烏丸線の四条駅と、四条通を東西に走る阪急京都線の烏丸駅が接続する、京都駅に次ぐ交通の要所となっている。
そのBのりばに、二条城・金閣寺・北野天満宮と京都駅とを結ぶ急行バス101系統がやってきた。
営業係数(100円の収入を得るためにどれだけ費用が掛かるか)が62しかない市バス第2位の超ドル箱路線だ。
【Cのりば】四条通東行き:平安神宮・銀閣寺・岩倉方面
Cのりばは、地下鉄四条駅の南端6番出入口の直結している。
ここからは、京都駅から四条河原町を経由して、市内東側の観光密集地帯(平安神宮・南禅寺・銀閣寺等)を経由して市北部の岩倉にある烏丸線の終点・国際会館駅に向かう銀閣寺線が発車する。
営業係数74のドル箱路線の一つで、京阪バスに運行を委託している路線だ。
しかし、停留所は四条烏丸交差点からかなり南に離れている。
京都駅から直接観光地に向かう利用が多いためか、当系統における四条烏丸停の利用はあまり想定していないのかもしれない。
【Dのりば】四条通西行き:二条城・金閣寺・東寺・立命館大学方面
D・Eのりばは、四条烏丸交差点南西角付近にある京都産業会館ビル前に並列して存在する。左側の烏丸通寄りがDのりばだ。
大阪の北浜に並ぶ、西日本を代表する金融街である四条烏丸。2001年(平成13年)まで存在した京都証券取引所も、この地に存在していた。
このD・Eのりばは、市内北西部の有名観光地への便が頻発するのりばであり、観光客を中心に利用客が最も多い。
利用客の多さを反映してか、かなり気合の入った造りの乗り場だ。
フルカラーLEDの到着案内板。路線網が複雑で有名な京都市バスだが、観光客向けに様々な工夫がなされている。
祇園・三条京阪・四条河原町から堀川通を経由して金閣寺・立命館大学を結ぶ12系統(堀川・四条線)がやってきた。
15分間隔で運行され、営業係数78の黒字路線だ。
次にやってきたのは、旧京都市電の7号系統を継承した循環路線である207系統(南部循環線)。
四条大宮から大宮通⇒九条通⇒東山通⇒四条通に戻ってくる。京都駅を通らない系統だが、営業係数は62と、循環系統の中でもかなり高い収益性を有している。
今度は、二条城・北野天満宮・金閣寺を経由して北大路バスターミナルに向かう急行101系統が到着。
外国人観光客の利用が多く、2005年(平成17年)から外国人観光客誘致推進事業の一環として運行されている「洛バス」系統の一つだ。
次の46系統は、千本通を経由して北区大宮地区と上賀茂神社を結ぶ千本・四条線。毎時5本の高頻度運行がなされている。
【Eのりば】四条通西行き:松尾橋・嵐山・高雄・北野天満宮方面
EのりばはDのりばの西隣、写真では手前にあるのりばだ。
こちらもフルカラー多言語使用の発車案内板が設置されている。日本語よりも外国語の方がよく聞かれるようになった。
まずは、左京区北白川地区から四条通を経由して、右京区西院・梅津地区に向かう3系統・北白川線。
四条大宮ー松尾橋間は、1964年(昭和44年)まで運行されていたトロリーバス・梅津線の代替の役割を果たしている。営業係数は78と高い。
上の写真は途中の京都外大前までだったが、今度は終点の松尾橋まで向かうバスがやってきた。8~10分間隔の高頻度で運行されている。
この8系統は、四条烏丸始発で右京区高雄地区とを結ぶ高雄線で、西日本JRバスに委託している路線。
1997年(平成9年)までは三条京阪始発だったが、地下鉄東西線開通により三条京阪ー四条烏丸間が廃止された。1時間に1本程度の運行だ。
次は、これも当停留所始発で、四条通から天神川通を通り、地下鉄東西線の終点・太秦天神川駅に向かう27系統。
右京区の生活路線で30分間隔で運行されている。
203系統(四条・今出川循環線)は、錦林車庫前を起点に、四条通以北の旧市街地を東西に広く循環する路線で、旧市電の12号系統と20号系統の代替路線となっている。
【Fのりば】四条通東行き:祇園・平安神宮・銀閣寺・清水寺・三条京阪・出町柳駅方面
Fのりばは、D・Eのりばを四条通を挟んで向かい側の、四条烏丸交差点北西角付近にある。そこから四条大宮方面を望む。
今度は、Fのりば後方から四条烏丸交差点方向を望む。京都のオフィス街の中心なので、人通りが多い。
Fのりばには電光掲示板は設置されていないようだ。
やってきたのは、さきほどの207系統南部循環線の外回り線。四条通を東に向かった突き当たりの祇園から南に折れて、東山通を清水寺・東福寺方面に向かう。
46系統(千本・四条線)の東行きは、四条河原町・四条京阪を経由して、祇園から東山通を北上して平安神宮に向かう。
203系統(四条・今出川循環線)の東行きは、これも祇園まで四条通を東進後、東山通・白川通を北上して今出川通と交わる銀閣寺道方面に向かう。
201系統(中部循環線)は、京都市電1号系統の代替路線で、祇園から東山通を北上し、今出川通と交わる百万遍(京都大学)方面に向かう。
1日1万人以上が利用するドル箱路線の一つだ。
11系統(太秦線)は、嵐山からほぼ全区間で嵐電と並走して、四条河原町・三条京阪に向かう路線。
長らく整理券車だったが、2014年(平成26年)より全区間均一区間料金に値下げとなった影響で、利用客数が増えているようだ。
【Gのりば】左京区総合庁舎・松ヶ崎・岩倉方面
Gのりばは、四条烏丸交差点からやや北上した、烏丸通の西側にある。Aのりばよりは、交差点から遠くない場所にある。
ここを走るのは、65系統の修学院線が1時間に1本だけだが、その割には立派なのりばとなっている。
おりば・旧四条烏丸バスセンター跡地
D・Eのりばの西、京都産業会館ビル横を走る室町通を奥に進んでみると、、、
表の四条通の賑わいと裏腹に、シャッターで締め切られた秘境感漂う空間が姿を表す。
実は、ここは当停留所が終点となっている系統のおりばとなっている。そして、その締め切られたシャッターの向こう側は、、、
何と、ここは市バスの操車場だった場所らしい。京都産業会館ビルの建て替えによって、2014年(平成26年)に廃止されたとのこと。
そして、その北側にあるもう一つのシャッター空間は、四条烏丸市バスセンター跡地。奥に見える階段で地下の地下鉄四条駅と阪急烏丸駅につながっていたらしい。
かつては、ここを拠点となってバスの起終点となっていたようだが、現在の秘境空間の中にもかつての栄華がよみがえってくるようだ。
その市バスセンター跡地を南側より望む。四条烏丸終点の8系統のバスが乗客を降ろしている。
当停留所終点のバスが続々と入ってくる。まずは立命館大学から今出川通・千本通を経由してくる55系統(四条・衣笠線)。
次は、京都市西部の洛西ニュータウンから遠路はるばるやってきた29系統・苔寺線。近鉄バスの運営委託されている路線だ。
市バスセンター跡地前のおりばに2台が並んだ。
京都随一の繁華街で、こんな秘境空間に出くわすとは思わなかった。
おりばで客を降ろしたバスは、そのまま裏手の綾小路通から烏丸通に出て、四条通南側のD・Eのりばから始発として運行される。