京都市中西部、かつて比叡山延暦寺の飛び地寺領であった場所に位置する、嵐山本線の相対式2面2線の地上電停。
当電停は、かつて市電が隆盛を誇った京都に唯一残る路面電車の電停であり、これぞ路面電車のある風景を堪能することが出来る。
一方、道幅が狭く交通量の多い三条通りに挟まれた安全地帯は、京都随一のスリリング感が味わえる場所でもあり、乗降車の際はそれなりの覚醒と覚悟が必要である。
外観・駅周辺
三条通上を走る、かつて市電が隆盛を誇った京都に唯一残る路面電車・嵐電の併用軌道。
その起点である西大路三条駅からしばらくは三条通りもかなり広い道幅が確保されているが、、、
さらに西に進むと幅員が大幅に減少され、、、
山ノ内駅付近は、安全地帯の外側のギリギリの幅を車が通り抜けていく。
そこからさらに西に進む。モボ631形夕子号・四条大宮行きが狭い三条通りの真ん中を堂々を駆け抜ける姿は、これぞ路面電車のある風景である。
上の写真の場所から東の山ノ内電停方面を望む。
当駅周辺一帯は、かつて比叡山延暦寺の飛び地寺領であり、その山門内に属していたことから「山ノ内」という地名がついたらしい。
そこからさらに西に進むと、次の嵐電天神川駅までの約400mほどの間、再び専用軌道に入る。
上の写真の場所から専用軌道と分かれて右に向かうと、三条通り南側に猿田彦神社の存在を発見。
当社は「山ノ内庚申(やまのうちこうしん)」と呼ばれる京洛中三庚申の一つとして知られる歴史ある神社。
文字通り「サル」の姿をした猿田彦大神が、道ひらきの神・人生の道案内の神として開運除災・除病招福をもたらすとして崇められている。
本殿を覆う壮大なクスノキは、「庚申楠」と呼ばれ樹齢700年を超える右京区民誇りの木と称されている。
「見ざる・言わざる・聞かざる」の三神猿は世の諸悪を排除して開運招福をもたらす崇高な御新教を示すものらしい。
乗り場
三条通りの併用軌道上にある当電停は、実は京都府内に唯一残る路面電車の電停である。
そして、同時に狭い三条通り上に存在する安全地帯が幅60cmほどしかないという、京都随一のスリリング感が味わえる駅でもある。
当電停は現嵐電(京福)の前身である嵐山電車軌道により、1910年(明治43年)に開業した歴史ある電停だ。
三条通りは京都市内の東西幹線道路の一つなので車通りが絶えない。電車に乗るためにはそれなりの覚醒状態と覚悟が必要なようだ。
当駅から400m北を走る御池通り上を2008年(平成20年)から地下鉄東西線が並走しているが、しかし歴史と風情の点では年季の入った当電停が勝っている。
そのスリリング感満点の山ノ内電停に、モボ621形の嵐山行きがやってきた。
かつて市電が隆盛を誇り市内中に電停があった京都だが、安全地帯だけの「電停」が残存するのはもはやここだけになってしまった。
(隣の西大路三条駅は下りがプラットホームとなっているので、完全な電停は当地だけである)
えきログちゃんねる
[京都唯一の路面電車電停・嵐電山ノ内駅]モボ621形嵐山行き発車風景201601