大阪梅田と神戸三宮のほぼ中間に位置し、阪急第3位の利用客数を誇る、神戸線・今津線が接続する特急停車駅。
駅周辺は、長らく古い建物が密集する地帯であったが、震災復興による再開発により、関西住みたい街ランキングNo.1を獲得するほどの大変貌を遂げ、西宮では競合となるJR・阪神西宮駅を圧倒する実質的な中心駅となっている。
また、阪急では梅田駅に次ぐ8面7線の規模を誇り、神戸線の通過式ホームと今津線の2つの頭端式ホームに加え、両線間の渡り線や車庫も楽しめ、駅の外も中も魅力あふれた見どころ満載の駅となっている。
目次
外観・駅周辺
【震災復興再開発による変貌を遂げた駅北側】
阪神・淡路大震災で大きな被害を受けたと言われている西宮北口駅周辺だが、その後の復興再開発により大変貌を遂げた。
古い木造建築が密集し、震災で壊滅的打撃を受けた駅北東側には、震災発生から6年後の2001年(平成13年)に地上19階建ての大型複合施設・アクタ西宮が建設された。
そのアクタ西宮には、駅からペデストリアンデッキでのアクセス可能で、広大な西宮北口駅のホームの姿が堪能できる。
阪急電車の西宮車庫は、この左奥方向に存在する。
そのペデストリアンデッキから見える神戸線と今津線との渡り線は、今津線から神戸線に乗り入れるラッシュ時の準急が通過していく。
駅北西側は、震災の被害が少なかった地区で、駅前は関西有数の学習塾の激戦区となっている。
また、その奥には高級住宅街として有名な西宮七園の一つである甲風園・昭和園の閑静な住宅街が拡がっている。
【西日本最大級のショッピングセンター・阪急西宮ガーデンズ控える駅南側】
震災前は駅南東側にあったバスターミナルは、再開発で駅南西側に移設され、シェルター型のバスターミナルが整備された。
そして、ロータリーの入り口付近、写真の右側には、中央公民館やホールが入った再開発ビル「プレラにしのみや」が建設された。
また、上の写真の場所から少し南に向かったところには、震災発生から10年の節目となる2005年(平成17年)に、震災復興のシンボルとして開館された兵庫県立芸術文化センターの姿が。
指揮者の佐渡裕氏が芸術監督を務め、全国の公共劇場が不振の中でも圧倒的な稼働率と入場者数を誇っているらしい。
そして、そこから東に進んで駅南東側に向かうと姿を表すのが、2008年(平成20年)に誕生した西日本第3の広さを誇る大型ショッピングセンター・阪急西宮ガーデンズ。
実はこの場所は、かつて阪急が保有していた球団・阪急ブレーブスの本拠地であった西宮球場の跡地なのだ。
さらに、駅の南北間を結ぶアンダーパスも整備され、これまで大型車の通行が困難を極めた劣悪な道路事情も大幅に改善された。
駅南西側に存在した老朽化した公団住宅は取り壊され、阪急の手によって高層分譲マンション街へと大変貌を遂げた。
この一連の復興策が奏功し、西宮北口駅周辺は、住宅情報サイト・SUUMOが発表した「関西住みたい街ランキング」で堂々の2年連続第1位に輝いている。
「駅からはじまる街づくり」が見事に体現された納得の第1位である。
競合となるJR西宮駅は当駅南口から徒歩20分程度の距離にある。
民営化後、数々のサービス向上策で私鉄王国に殴り込みをかけているJR西日本だが、こと西宮に関して言えば、阪急の優位は揺るいでいないようだ。
バスターミナル
復興再開発で駅南東側から南西側に移設されたバスターミナルは、シェルターも整備された立派な作りだ。
そのバスターミナル後方には、今津(南)線5号線高架ホームの下に、同線から神戸線・神戸三宮方面への渡り線が通っており、、、
今津(南)線車両の入出庫で使用されており、普段はほとんど電車は通らない。
この踏切は、今津方面行きホームの5号線が高架化された2010年(平成22年)に設置されたものだ。
改札口・コンコース
今津線の2つの頭端ホームと神戸線の島式ホームの全7線を有する当駅は、梅田駅に次ぐ阪急第2位の規模を誇る大ターミナル駅だ。
ペデストリアンデッキを環状に整備することで、直交する神戸線・今津線によって分かれた駅周辺の4エリアを自由に行き来できるようになっているのが当駅の大きな特徴だ。
駅北側に広がる今津(北)線のホームを眺めながら、そのペデストリアンデッキをぐるっと回ると、、、
東改札にたどり着く。そして、その東改札からは、、、
「にしきた」の新たな名物となった動く歩道が伸びており、、、
今津(南)線の5号線ホーム南端にある南東改札を横目に見ながら、、、
当地の新たなランドマークとなった、阪急西宮ガーデンズに直結している。
土地柄を反映した高級志向のショッピングセンターで、開業当初は動く歩道が停止になるほどの人出となったようだ。
そして、バスターミナルに近い南改札。
これらがすべて一つの大コンコースを取り囲むという、シンプルかつ効率的ながらスケールの大きい駅構造となっている。
その改札内大コンコースの中央には、待ち合わせスポットとして有名な「カリヨンの鐘」が堂々と君臨している。
現在のような橋上駅舎となったのは、ダイヤモンドクロス廃止後の1987年(昭和62年)のことだ。
時刻表
神戸線:神戸三宮・新開地方面
神戸線の日中ダイヤは新開地行きの特急と、神戸三宮行きの普通の2本立てのシンプルなダイヤとなっている。
当駅で緩急接続を行い、特急の1分後に発車する普通は終点の神戸三宮まで先着する。
また、平日の夕ラッシュ時は普通が当駅止まりとなるため、当駅以遠の各駅へは急行が代替され、22時以降は特急停車駅に六甲を加えた快速急行が最優等として運行される。
神戸線:大阪梅田方面
梅田方面も当駅で緩急接続を行い、特急の2分後に発車する普通は終点梅田まで先着する。
朝ラッシュ時は特急停車駅に塚口を加えた通勤特急と急行が特急の代わりに運行され、当駅始発の普通も大増発される。
今津線:宝塚方面
1984年(昭和59年)のダイヤモンドクロス廃止後に南北に分断された今津線。
そのうち、当駅ー宝塚間を結ぶ今津(北)線は、6両編成の電車が、日中10分間隔、ラッシュ時は6~8分間隔で運行されている。
今津線:今津方面
一方、当駅ー今津間を結ぶ今津(南)線も日中10分間隔での運行だが、こちらは短い3両編成の電車で運行されている。
乗り場
【1・2号線】神戸線:神戸三宮・新開地方面
1920年(大正9年)に神戸線開通と同時に開業した神戸線ホーム。
長らく大阪方面行きホームと神戸方面行きホームは、現ホームの中央を境に千鳥式配置された構造となっていた。
ホーム東端より撮影。外側の1号線ホームは両側をホームで挟まれた構造となっており、外側ホームは降車専用として使用される。
上の写真の場所から東方向の武庫之荘・梅田方面を望む。左奥にある西宮車庫の様子が見える。
当駅では普通と特急(通勤特急)との緩急接続が行われ、先に到着した5000系普通神戸三宮行きが、後からやってきた9000系通勤特急新開地行きを待ち合わせている。
かつては特急系統は両側のホームが使える1・4号線に入線していたが、特急のスピードアップに合わせ、日中は内側の2・3号線を使うことが多くなっている。
登場から半世紀近く経つベテラン戦士の5000系だが、リフレッシュされて今も現役で頑張っている。
この時間帯は内側の2号線に停車し、外側1号線にやってきた9000系通勤特急を待ち合わせていた。
通勤特急は塚口に停まる以外は、特急と同じ停車駅となっている。
ホーム西端から夙川・神戸三宮方面を望む。引上げ線がある関係で、神戸方面への出発側は外側の1号線が本線の配線となっている。
【3・4号線】神戸線:大阪梅田方面
今津線開通から1984年(昭和59年)までの約60年間に渡り、このホーム中央付近を分断される前の今津線が平面交差するという、高速鉄道としては日本唯一のダイヤモンドクロスが見られた。
それが、神戸線特急の10連運転を目的としたホーム延伸を目的として、1987年(昭和62年)にホームの移設・延伸と駅の橋上化を行い、名物だったダイヤモンドクロスも廃止された。
しかし、神戸・今津ダイヤモンドクロス廃止の今でも、名物となる見ものがこの駅には残っている。
それが、4号線ホーム北側にある、今津(北)線から神戸線大阪方面への渡り線。
朝ラッシュ時に宝塚方面からの準急が使用し、急カーブでホームに停車出来ないため、通過していく姿が見られる。
朝時間帯は、かつてのように内側・本線の3号線で特急系統を待避する1000系普通梅田行き。
梅田・神戸三宮のちょうど中間に位置する当駅での緩急接続により、シンプルでわかりやすいダイヤ形成が可能となっている。
昼間時間帯は内側の3号線に停車することが多いが、この日は朝ラッシュ時間帯終了直後であったため、外側4号線にやってきた9000系特急梅田行き。
神戸線普通の主力であるベテラン戦士5000系と緩急接続を行っている。
【5号線】今津線:今津方面
1984年(昭和59年)のダイヤモンドクロス廃止によって南北に分断された今津線。
その南行き、今津方面行きの発車する5号線ホームへは、大コンコース南東奥にある乗り換え口を進んでいく。
5号線は、当駅唯一の高架ホームとなっており、スムーズな乗り換えが可能となっている。
しかし、今津線分断後も長らくは5号線も地上ホームとして存在し、高架化されたのは2010年(平成22年)のことだ。
当駅から阪神線との乗換駅となる今津駅に向かう今津(南)線は、1926年(大正15年)に開通した。
計画当初は、当駅から南西方向にある西宮市街地を結ぶ予定だったらしい。
5号線の車止め方向を望む。阪神電車との接続線であることもあってか、結構な数の人が流れてくる。
その5号線に、6000系の今津行きがやってきた。
今津線・甲陽線用に改造された3両編成のワンマンカーで、自動放送装置も備えられている。
同ホーム南端側は、阪急西宮ガーデンズに直結する南東改札口となっている。
全列車が当駅ー今津間の往復運転なので行先案内掲示板は無く、到着時の放送でも種別・行先は案内されない。
ホーム端から阪神国道・今津方面を望む。当駅構内は単線となっているが、構外に出ると複線となる。
この高架5号線ホームの横は、震災復興後に移設・リニューアルされたバスターミナルのある南口広場となっている。
【6・7号線】今津線:宝塚方面
1日10万人近い、梅田・神戸三宮に次ぐ阪急線内第3位の利用客数を誇る当駅構内は、人通りが絶えない。
当駅から宝塚方面に向かう今津(北)線頭端ホームからは、神戸線に負けず劣らずの人通りが流れてくる。
終着駅にふさわしい、立派な頭端形式をした6・7号線ホーム。
今津(北)線は、1921年(大正10年)に西宝線(さいほうせん)として開業したが、60年経過して開通時の状況に戻ったことになる。
宝塚までは全列車各駅に止まるが、宝塚線急行よりも、神戸線特急と今津線を乗り継いだ方が宝塚に早く着くという珍事も発生している。
往年の名車3000系は、今も現役バリバリで活躍中。
新車を続々と投入できない経営状況からはいえ、良いものを長く使っていくことには大きな価値がある。
阪急沿線らしい高級な住宅街を通る今津(北)線は、有川浩氏の小説「阪急電車」の舞台ともなり、2011年(平成23年)には映画化もされた。
往年の名車3000系が停車する7号線の車止め方向を望む。奥の階段を上った2階の大コンコースを経由して、神戸線・今津(南)線と乗り換える。
7000系は線内折り返し普通電車のほか、朝ラッシュ時の梅田行き準急としても使用されている。
ホーム先頭部の開放的なスペースが、終着駅の風格をいっそう引き立てている。
普段は7号線のみが使用されており、6号線は朝夕ラッシュ時のみ使われる。
その6号線の車止め方向を望む。壁を隔てた南側にある神戸線ホームが見える。
その6号線を、今度は神戸線4号線の降車ホームへ向かう階段から撮影。
通常の通過式ホームに加えて2つの頭端式ホームも楽しめる当駅は、駅の外も中も見どころ満載となっている。
ホーム先頭部分はかなり開放的な空間であったが、宝塚寄りに向かうにつれてホーム幅は狭くなり、、、
宝塚寄りの先頭部分まで来ると、ここまで狭くなる。
その狭くなったホーム端から、門戸厄神・宝塚方面を望む。駅前の再開発地域の向こうは、西宮の高級住宅街が拡がる。
上の写真の場所から、今度は反対側のコンコース方向を望む。両ホームが大きくハの字形になっていることがわかる。
ダイヤモンドクロス廃止によって南北が分断されてしまったが、逆にそのことで旧・西宝線である今津(北)線の増発が可能となり、所要時間も短縮される等利便性向上というメリットももたらされた。
そして、6号線降車ホームの東側には、神戸線との渡り線があり、朝ラッシュ時に運行される宝塚発大阪梅田行きの準急は、この渡り線を経由して当駅に停まらずに神戸線に入る。
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