阪神本線の中核駅である西宮駅の一駅西に位置し、阪神間有数の景勝地・夙川に架かる相対式2面2線の高架駅で、第4回近畿の駅百選認定駅。
駅名はかつて付近に存在した「香櫨園遊園地」に由来するが、同園は開園からわずか6年で廃園となり、その後高級住宅街へと変貌を遂げる。
2001年(平成13年)に高架化されたが、新駅舎には開業時の明治時代を思わせるレトロな装飾が施されており、ホーム内の通称「お立ち台」と呼ばれる展望デッキからは、夙川の優雅な眺望が堪能できる魅力的な駅となっている。
外観・駅周辺
阪神本線の中核駅・西宮駅の一駅西に位置する香櫨園(こうろえん)駅。
明治時代を思わせるレトロな装飾の駅舎は、第4回近畿の駅百選に選定されている。
このレトロな駅舎が跨いでいる川は、阪神間有数の景勝地である夙川。
当駅周辺の地域名である「香櫨園(こうろえん)」とは、元々当駅開業と同じ1907年(明治40年)に、大阪の商人・香野蔵治と櫨山慶次郎が開設した遊園地に由来している。
「香櫨園」という名は、その二人の姓から1文字ずつ取って名づけられたものらしい。
駅北側から東方向・西宮方面を望む。
その香櫨園遊園地は、当初は活況を誇ったものの、次第に人気は陰りを見せ、開園からわずか6年後の1913年(大正2年)に廃園となった。
その後、1920年(大正9年)に当駅の北を走る阪神急行電鉄(現・阪急神戸線)夙川駅が開通したことで、当駅周辺も高級住宅地として開発された。
戦前に当駅から当時温泉観光地であった北の苦楽園までトロリーバスを運行させる計画が立てられたが、かつてのライバル阪急に甲陽線を建設されたことでその計画は頓挫したという歴史を持つ。
当駅と阪急夙川駅の間を東西に走る国道2号上近くには、2007年(平成19年)にJRさくら夙川駅が開業し、阪神香櫨園・阪急夙川駅の強力なライバルとして出現した。
改札口・コンコース
開業から長らく地上駅であった当駅だが、2001年(平成13年)に高架化された。
駅舎は明治時代の面影を残すものの、高架化の際に新築されたもののため、目新しさが残っている。
改札口は夙川西岸の1階に1か所ある。
下町風情が特徴的な阪神沿線の中では珍しい高級住宅地に位置する駅のため、コンコースも高級感が漂う雰囲気となっている。
当駅の利用客数は1日約10000人弱。付近に開業したJRさくら夙川駅の影響でやや劣勢を余儀なくされているようだ。
時刻表
本線:大阪梅田・難波・奈良・神戸三宮・姫路方面
運行上の境界駅であり、中核駅でもある西宮駅の一駅西にある当駅は、長らく優等の停車しない駅であったが、2007年(平成19年)に開業したJRさくら夙川駅への対抗措置として、朝ラッシュ時の梅田方面に限り、区間特急が停車するようになった。
青木駅(2016年3月より御影駅)始発の区間特急は、当駅まで各駅に止まり、その後何と西宮駅を通過して、今津・甲子園・野田(2016年3月以降は尼崎も)という、特急とは異なる千鳥停車が特徴となっている。
それ以外の時間帯は各駅停車のみが10分間隔で停車し、梅田行きは次の西宮で、高速神戸行きは御影で後続の特急系統と接続する。
乗り場
ホームは相対式2面2線構造。
「櫨」が難文字となっている「香櫨園」だが、何と開業から高架化までの90年以上もの間は、その「櫨」の簡体字である「枦」が駅名として使用されていた。
駅東寄り・西宮方面は大きく北にカーブしている。
隣の西宮駅まではわずか1.1km。全国3500社ある「えびす神社」の総本社である西宮神社を囲う「えびすの森」がはっきりと確認できる。
そして、駅北側の閑静な高級住宅地とは裏腹に、駅南側は国道43号と阪神高速3号神戸線が間近に迫っている。
そして、当駅の名物となっているのが、このホーム中央にある展望デッキ。
通称「お立ち台」と呼ばれるこの場所には、誰でも自由に出入りが出来る。
これも阪神沿線の駅には珍しい粋な計らいとなっている。
そして、ハイライトとなるのは、この駅北側・梅田方面行きホームにある方の「お立ち台」だ。
ここからは、阪神間有数の景勝地・夙川の姿が一望でき、春になると堤防に植えられた桜並木の絶景を堪能することが出来る。
かつて存在した遊園地が駅名の由来となっている香櫨園駅だが、実は同遊園地の所在地は当駅周辺ではなく、何と阪急夙川駅付近にあったというトリビアも残されている。
この地は、香櫨園遊園地が廃園された後に、一部施設が移ってきた場所らしい。
今度はホーム西端から神戸三宮方面を望む。ここから隣の打出駅にかけて線路は地上に降りていく。
神戸方面行きの2番線に到着したジェットカー5550系の各停・高速神戸行き。種別・行先幕が液晶となっている、1編成しか存在しない貴重な遭遇だ。
そして、その2番線を、西宮方面から大きくカーブをしならせて、8000系須磨浦公園行き特急が通過していく。
次にやってきた各停・高速神戸行きは往年の名車・5001形。
各停は長らく梅田ー元町間の運行だったが、阪神梅田ー山陽姫路間直通特急が運行を開始した1998年(平成10年)より高速神戸まで延長運転されるようになった。
今度は1番線ホームに、5001形の後継ジェットカー・5500系の各停・梅田行きが入線。
次の西宮駅で、特急系統(直通特急・特急)と急行系統(快速急行・急行)の連続待避を行う。
また、往年の名車・5001形も驚異的な起動加速度を発揮しながら、短い駅間距離を限りなく高速で駆け抜けていく。
えきログちゃんねる
[日本一の起動加速度・阪神ジェットカー]5001形各駅停車大阪梅田行き入線発車風景@香櫨園駅201602
区間特急のみ停車する難読駅である香櫨園駅の案内放送は、種別・行先の案内の無い固定放送です。