戦前までの神戸の中心市街地であった場所に位置する、神戸高速線の島式2面3線(阪神・阪急)と頭端式2面3線(神鉄)の混合駅で、第3回近畿の駅百選認定駅。
当時の国鉄の反対と財政事情等により、当初高速神戸駅となるはずだった民鉄4社(阪神・阪急・神鉄・山陽)の集結駅として、神戸市内最大規模を誇るターミナル駅となっている。
戦後、政治経済の中心が東の三宮に移ったが、駅を含む街全体を包む昭和のレトロな雰囲気が、珍しい構造のホームと共に何とも味わい深い趣きを醸し出している。
目次
外観
神戸市内を東西に走る国道28号線と南北に走る市道・湊町線が交差する新開地交差点を南東方向に望む。
多聞通りの地下を阪神・阪急線が、市道湊町線の地下を神鉄線が走る。
その新開地交差点から、国道28号線を西方向に望む。阪神大開駅、JR兵庫駅はこちら方面だ。
変わって北方向は、その地下を神鉄が走る市道・湊町線。かつて神戸市電湊川線が地上を走っていた通りでもある。
その湊町線を北に400m進むと、1968年(昭和43年)の神戸高速線開通前まで神鉄の終着ターミナルであった湊川駅がある。徒歩にしても5分の距離だ。
交差点近辺には、地下駅である新開地駅への入り口が点在している。
1968年(昭和43年)の開業から長らく神戸高速鉄道の駅だったが、2010年(平成22年)に神戸高速鉄道が路線の運営・管理受託を止めて他の第三種鉄道事業者と同じ形となり、第二種鉄道事業の区分に基づいて管理を行う体制に変わったため、阪神管理の当駅は阪神仕様の標識に変更された。
かつて神戸一の繁華街の栄華を極めた新開地商店街。
戦後、進駐軍に接収された期間が長く復興が遅れたこと等で、神戸の政治経済の中心が東の三宮に移ってしまったことにより一時寂れてしまったが、それがかえって昭和のレトロな雰囲気を今に残す味のある商店街として見直されてきている。
その新開地商店街の北端、大人の歓楽街「福原」のはずれにある、これもレトロ感満載の名画座・パルシネマしんこうえん。
1971年(昭和46年)に新公園劇場として開館し、1983年(昭和58年)に現館名に改称している。
そのパルシネマ・しんこうえんの後ろには、山手幹線を挟んで、戦前の神戸一の繁華街であった「湊川新開地」のもう一方の雄である湊川商店街の姿が。
地下鉄西神・山手線の湊川公園駅は、この山手幹線の地下にある。写真は湊川公園から撮影。
改札口・コンコース
阪神・阪急新開地駅(旧・神戸高速東西線)の神戸三宮寄りにある東改札口。
隣の高速神戸駅、JR神戸駅とは、地下街で繋がっており、新開地ー高速神戸間は500mほどしかない。
その東改札口の改札内コンコース。神鉄の新開地駅は反対の西改札側にある。
阪急・阪神(旧・東西線)の東改札と神鉄の西改札を繋ぐ新開地タウンなる地下街。
ここも昭和のレトロな雰囲気満載の味のある空間だ。
そして、神鉄のりばのある西口へ。
神戸市内に点在する民鉄4社(阪急・阪神・山陽・神鉄)のターミナル駅をつなぐ目的で1968年(昭和43年)に開業した神戸高速鉄道。
当初は、隣の高速神戸駅に集結させる予定だったが、当時の国鉄の反発と予算の都合であえなく断念し、当駅が接続駅となった。
西改札の改札内コンコース。奥に神鉄(旧・神戸高速鉄道南北線)の頭端ホームが見える。阪神・阪急(旧・東西線)との乗換えは改札内で可能だ。
この路線図からも昭和の香りが漂ってくる。当駅の利用客数は1日約28000人。
神戸高速線内では、幻のターミナル駅である高速神戸駅を凌ぐ線内最多の利用客数を誇る。
時刻表
阪急・阪神神戸高速線
三宮・尼崎・梅田(阪神・阪急)・難波・奈良方面
当駅は阪神管理の駅なので、時刻表も阪神仕様。
日中は山陽姫路・須磨浦公園方面から来る阪神梅田行き(直通)特急と、当駅始発の阪急梅田行き特急が毎時6本ずつに、山陽姫路からやってくる阪急神戸三宮行き普通が毎時2本の計14本/時の体制となっている。
明石・山陽姫路方面
反対の明石・姫路方面は、阪急電車が当駅止まりとなるため、山陽姫路行きの直通特急が毎時4本(うち2本は須磨まで各駅停車)と、普通が毎時4本(うち2本が山陽姫路行き、残り2本が須磨浦公園行き)の計8本/時と、並行するJR神戸線の半分程度の本数となっている。
かつては、阪急車も須磨浦公園まで乗り入れていたが、阪神梅田ー山陽姫路間直通特急開通を機に、8両限界の終点となる当駅までの乗り入れに短縮された。
神鉄神戸高速線:三田・粟生方面
阪神管理の駅であるが、神鉄の時刻表は神鉄仕様となっている。
粟生線系統と三田線系統は、鈴蘭台まで一体運用されているが、時刻表は両系統で分かれているようで、これは廃止が取りざたされている粟生線の時刻表。
日中は毎時4本体制(三田線の鈴蘭台接続を入れると、時刻表通りの毎時6本)。
日中よりもラッシュ時の方が本数が少ないのが特徴的で、粟生方面は通勤にはあまり使われていない状況が推察される。
乗り場
【神鉄のりば:地下1階】三田・粟生方面
神鉄神戸高速線の頭端ホームは、西改札口からの緩やかな下り坂の先にある。
ホームは島式2面3線で、中線は2番線と3番線で共有している。1・2番のりばから有馬・三田線、3・4番のりばから粟生線の電車が発車する。
神戸高速のそば屋ということから来ている、昭和の似合う新開地駅にのみ存在する「高速そば」。
上の写真の場所から西改札方面を望む。右奥に、阪神・阪急(旧・東西線)の地下2階ホームへの連絡階段があり、この付近にはかつて中間改札があったらしい。
ホーム真ん中のハイカラのフルカラーの発車案内板と、神戸高速時代から残るレトロな番線案内板とのギャップが面白い。
阪神管理の駅になったが、神鉄のホームには、今でも神戸高速鉄道仕様の駅票が残っている。
一方、一部は神鉄仕様の駅票に変更されている。さすがに神鉄だけが乗り入れるホームは阪神仕様にはしないらしい。
1番のりばに停車中の新型車両6000系の三田行き・普通ワンマンカー。
廃止が取り沙汰されている粟生線活性化のためのマスコットキャラクター「しんちゃん」が車掌として乗車している。
レトロ感満載のホームを尻目に、発車案内板は綺麗にリニューアルされている。
4番のりばには、1時間に1本に削減された5000系の粟生行き急行。急行ではあるが、通過するのは5駅だけだ。
その横顔と神鉄仕様の駅票。当駅ー湊川駅間の400mだけが神戸高速線となっている。
2番のりばから車止め方向を望む。1時間に1本の粟生行きだが、速くて割安な高速バスに押され、乗客は少ない。
活性化委員会による懸命の努力がなされているが、粟生線は存続の危機を迎えている。
2番のりばには、三田方面からのレトロ感満載な1000系が入線してきた。
現役50年戦士で、2扉なのにロングシートの3両編成だ。
今度は、1番のりばと2番のりばに3000系が並んだ。これも神鉄独特のフォルムを有するベテラン車だ。
神鉄新開地駅は、かつてのターミナル駅であった湊川駅同様、2面3線の構造となっている。
50年戦士の1000系が、今度は粟生線の志染(しじみ)行き急行として4番のりばに到着。
2番のりばの3000系の三田行き普通と、4番のりばの1000系志染行き急行の横並び。三田行きが先に発車し、鈴蘭台で志染行き急行の待ち合わせを行う。
神戸高速時代のレトロな案内板が、まだ随所に残っている。
【阪急・阪神のりば:地下2階】三宮・梅田・明石・山陽姫路方面
地下2階の阪神・阪急線(旧・東西線)ホームは、駅票も阪神仕様に変更されている。
こちらもホームは島式2面3線だが、中間駅なので頭端式ではなく通過式。
頭端式ホームと通過式ホームが混在する珍しいターミナル構造は、近鉄大阪上本町駅やJR天王寺駅、京都駅でも見られる。
阪急・阪神線ホームもレトロ感では負けていない。
4番のりばに阪神8000系の姫路行き直通特急がやってきた。当駅以遠は6両編成が限界となる。
その横顔。阪神梅田ー山陽姫路間の直通特急の運転は、震災後にいち早く復旧したJRへの対抗策として1998年(平成10年)に開始された。
2・3番のりばに到着した、当駅折り返しの阪急1000系の阪急梅田行き特急。
阪神梅田ー山陽姫路間直通特急運転により、それまで須磨浦公園まで乗り入れていた阪急はすべて当駅までの乗り入れに変更された。
次の2番のりばの折り返し阪急梅田行き特急は、ベテラン車7000系。レトロなホームに今でもピカピカのマルーンが一層光って見える。
その横顔。到着後しばらくは両側の扉が開き、反対側のホームへの通行が可能となる。
そして、2番のりば側の扉が閉まる。
1・2番のりばからは、神戸三宮・梅田方面行きの電車が発車する。
2番のりばは、阪急9000系の阪急梅田行き特急。
1番のりばからは、阪神8000系の阪神梅田行き特急だ。
その横顔。1番のりばは6両編成が限界だ。
次に1番のりばにやってきたのは、山陽5000系の直通特急・阪神梅田行き。
新開地駅は、神戸高速悲願の民鉄4社(阪神・阪急・山陽・神鉄)が一堂に会する、神戸市内最大のターミナル駅だ。
中線(2・3番のりば)端から山陽姫路方面を望む。高速神戸駅同様、構内踏切が存在する。
えきログちゃんねる
[神鉄新開地駅入線放送:神戸高速ver]有馬線三田行き準急@2番のりば201510
新開地駅だけ旧神戸高速線のため、入線放送も神戸高速仕様となっています。途中駅の乗換案内が分断されているのが特徴的です。
[50年戦士神鉄1100系発車風景]神戸高速線新開地駅・志染行き急行@4番のりば201510
[阪神・阪急新開地駅入線放送:神戸高速仕様]姫路行き直通特急@4番のりば201510
30分に1本の全区間特急運転の直通特急です。「次は○○まで止まりません」の案内が昔の阪急電車を思い起こさせてくれます。
[阪神・阪急新開地駅入線風景]阪急9000系折り返し阪急梅田行き特急@2・3番のりば201510
新開地駅中線(2・3番のりば)に入線する折り返し阪急方面の特急梅田行きです。2番のりばで停車駅案内放送が流れる傍ら3番のりばで通過案内放送とブザーが流れます。