2008年(平成20年)にJR島本駅が開業するまでの70年もの間、大阪府島本町唯一の鉄道駅であった、京都線の相対式2面2線の高架駅。
当初ライバル京阪の路線として、駅周辺の史跡に因み「桜井ノ駅駅」として開業したが、戦時統制による阪急との合併により、先に開業した箕面線・桜井駅との混同防止のため現駅名に改称された経緯を持つ。
大阪府下唯一の名水百選・離宮の水有する「水無瀬神宮」の最寄駅であると共に、並走する東海道新幹線の爆走風景も楽しめる魅力の詰まった駅となっている。
外観・駅周辺
2008年(平成20年)のJR島本駅開業までの約70年もの間、大阪府島本町唯一の駅であった水無瀬駅。その北側を望む。
1939年(昭和14年)に阪急京都線を敷設したライバル京阪の手によって、上牧ー大山崎間に「桜井ノ駅」駅として開業した。
駅名そのものに「駅」が付くのはとても珍しい例である。
上の写真の場所から北西方向に伸びる目抜き通りを徒歩5分ほど進むと、2008年(平成20年)に開業したJR京都線の新駅・島本駅にたどり着け、、、
同駅の駅前には、水無瀬駅の旧駅名の起源となった「桜井駅跡」が存在する。
古代律令時代の駅家(駅馬に乗ることが許された公的な使者である駅使向けに宿泊・食料を提供した施設)があった場所で、1921年(大正10年)に国の史跡に指定されている。
一方、水無瀬駅の南口からは、並走する東海道新幹線が爆走する様子が堪能出来る。
また、上の写真の場所から後ろを振り返ると、大阪・京都間の大動脈である国道171号線(通称・イナイチ)がすぐそばを走っており、交通の要所となっている。
大阪府唯一の名水百選「離宮の水」有する水無瀬神宮
当駅の現駅名の起源ともなった水無瀬神宮は、駅北口を出て線路沿いを京都方面に進む。
東海道新幹線との並走区間である当駅周辺は、阪急電車の高架部分の防音壁も新幹線仕様となっている。
水無瀬神宮参道の入り口は、阪急京都線とJR京都線に囲まれた住宅街のど真ん中に存在する。
現在は住宅地に変貌したが、かつては景観美しい自然豊かな地域で、この地をこよなく愛した後鳥羽上皇がこの地に水無瀬離宮を造営した。
その参道の先にある鳥居。水無瀬神宮は、承久の乱で隠岐に流された後鳥羽上皇の違勅に基づいて、1240年(仁治元年)に水無瀬離宮の跡地に建立されたものだ。
鳥居をくぐった先にある、桃山時代に造営された薬医門造であり、大阪府の重要文化財に指定されている神門。
門の右側には、祀られている名刀を盗みに入ろうとした石川五右衛門の残した手形と言われるものの跡がある。
そして、拝殿の左側には、豊臣秀吉が家臣の福島正則に命じて造営し、寄進したとされる「客殿」が見える。
桃山時代末期の美しい入母屋造が特徴的で、国の重要文化財に指定された立派な建造物だ。
そして、境内の西側、神門に近い場所には何やら人だかりが出来ているが、、、
実はこの場所は大阪府下で唯一名水百選に認定された涌水「離宮の水」が取水できる場所で、平日昼間でもこの水を求める人たちで賑わっている。
この離宮の水が豊富に採れる島本町の水道水の90%は、この涌水が使用されている。
改札口・コンコース
当初「桜井ノ駅」駅として開業した当駅は、1948年(昭和23年)に現駅名に改称されているが、その経緯は当駅の所属する阪急京都線の歴史とも関係がある。
駅の南北を繋ぐ自由通路を駅北口より望む。
当初、ライバル京阪の手によって新京阪線として開通した現・阪急京都線だが、1943年(昭和18年)に戦時統制によって阪急と合併したことで阪急の路線となった。
その自由通路の中央から高架下に存在するレトロ感あふれる商店街であり、長らく当駅が島本町の中心であったことを占めるネーミングの「島本センター」。
阪急と合併後、先に開業していた箕面線・桜井駅と混同するとのことで、当駅の駅名が水無瀬駅に改称された。
その島本センターの南隣、並走する東海道新幹線の高架下は「みなせモール」と呼ばれる、これまたレトロ感のある商店街となっており、、、
東海道新幹線の高架下ということで、JR東海の管轄となっているようだ。
阪急水無瀬駅の改札口は、南北自由通路の中央、「島本センター」の真向かいにある。
2011年(平成23年)のバリアフリー化対応工事によって、構内は綺麗に改装されている。
開業当初は地上駅であったが、並走する東海道新幹線開業と同時の1963年(昭和38年)に高架化された。
時刻表
京都線:大阪梅田・京都河原町方面
当駅からは、京都方面・大阪方面共に、高槻市以東各駅に停車する準急が日中10分間隔で運行されている。
梅田方面は、高槻市で各駅停車に、茨木市で後続の特急と連絡する。また、河原町方面は、途中の桂で後続の特急の連絡待ちを行う。
乗り場
ホームは相対式2面2線の構造。
当駅含む阪急京都線が、実は京阪電車の路線だったという事実は、今となっては知る人ぞ知るトリビアとなっている。
ホーム端から、北西方向を望むと、天下分け目の天王山の美しい眺望が開け、、、
北東側には、並走する東海道新幹線が爆走する光景も堪能できる。
当駅高架化工事の間は、線路幅が同じ東海道新幹線の線路を借用し、何と阪急電車が新幹線の線路を走行するという世にも珍しい現象が見られたらしい。
京都方面ホームにやってきた7300系・準急河原町行き。
のんびりと出発する阪急電車の隣を、東海道新幹線のN700系が爆速で通過していく。
島式ホームである隣の上牧駅では、この並走風景をよりダイナミックに楽しむことができる。
そして、その準急を9300系特急河原町行きが追いかけ、途中の桂で追いつく。
今度は、梅田方面行きホームに新型車両1300系の準急梅田行きがやってきた。
その準急を追いかける9300系特急梅田行き。途中の茨木市で準急に追いつく。
改札へ繋がる階段は、ホーム河原町寄りにある。
そして、梅田方面に行くにつれてホーム幅は狭くなっていき、、、
ホーム西端は、もはや黄色い線の内側が存在し得ないほどの狭隘ぶりを発揮している。
当駅の利用客数は1日約11000人。長らく島本町唯一の駅として存在感を誇っていたが、2008年(平成20年)に開業したJR島本駅に近年逆転を許している。
その狭隘部に停車する7300系準急梅田行き。
平日の準急はすべて梅田行きだが、土休日は半分が淡路から千里線・地下鉄堺筋線に入る天下茶屋行きとなる。
ホーム端から西方向を望むと、並走する東海道新幹線の線路がより間近に見ることが出来、、、
かつ800mしか離れていない隣の上牧駅の姿も、肉眼ではっきりと確認することが出来る。
特急の停車駅増加により、2扉の6300系に代わる京都線特急の顔として活躍する9300系が通過していき、、、
2300系引退の今、京都線最古参となった3300系の準急が入線してくる。独特の走行音がいつ聞いても魅力的である。
えきログちゃんねる
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