大阪府摂津市と吹田市の市境に位置し、駅北西に阪急最大の車庫・正雀車庫を有する、京都線の島式2面4線の地上駅。
駅下を直交する正雀川に因んで名づけられた難読駅であり、駅舎・正雀車庫のある摂津市側は、地名に「阪急」が冠された珍しい立地にある。
2010年(平成22年)の摂津市駅開業等の影響により、競合となるJR岸辺駅には駅前の賑わい及び利用客数で劣るものの、阪急最大の車庫から入出庫する様々な電車の姿や、1号線が存在せず場内信号機や架線柱が大胆に設置されたホーム等、見どころ満載の魅力あふれる駅となっている。
目次
外観・駅周辺
大阪府摂津市と吹田市の市境に位置する難読駅である正雀駅(しょうじゃくえき)。
この写真を撮っている場所がちょうど市境にあたり、右の駅舎側が摂津市、左のホーム側が吹田市となっている。
ここは東口の摂津市寄りにある阪急正雀駅前交差点。
実は当駅のある地名は「摂津市阪急正雀」という、鉄道会社名が冠された珍しい地名となっている。
その阪急正雀交差点から東に伸びる正雀駅前商店会(正雀駅前商店街)。
競合となるJR岸部駅前のオープンしたスーパーマーケット等の影響で、苦戦を強いられているようだ。
そして、その阪急正雀駅前交差点から少し南西方向に進んだ地点。この辺りが摂津市と吹田市に市境である。
そこからさらに西に進んだホーム側は、もう完全に吹田市域に入っている。
そして、さきほどの市境付近の駅寄りには、駅北側に向かうアンダーパスが通っている。
実は、ここは1981年(昭和56年)に橋上駅舎化されるまで改札口のあった場所で、その構内地下道跡を車道に転用したもの。
そのため、1車線分の幅でかつ歩道も無いため、朝ラッシュ時間帯は車両通行止めとなるらしい。
その地下道を抜けて駅の北側に出る。
実はこのアンダーパスの下には駅名の由来となった正雀川が流れており、当駅はその正雀川を跨ぐ格好となっている。
そして、そのアンダーパスの西側に隣接する駅前駐輪場のど真ん中に突如現れた、「大東亜戦詔書渙発記念」と記された石碑。
言うまでも無く、天皇陛下による先の太平洋戦争開戦の詔書発表を記念した碑であるが、なぜこの場所に存在しているのだろうか。
その謎の駐輪場の先にある駅北口。駅北西側にある正雀車庫から入出庫する様々な電車が楽しめる無料鉄道見物スポットでもある。
そして、この場所も摂津市と吹田市の市境に位置しており、競合のJR岸辺駅とは450mしか離れていない。
そのJR岸辺駅は、阪急正雀駅の南西徒歩6本の場所に位置しており、こちらは完全に吹田市域にある。
2012年(平成24年)に橋上化された真新しい駅舎がまぶしく、正雀駅より1万人以上多い利用客数を誇っているが、その開業は正雀駅より約20年遅い1947年(昭和22年)である。
改札口・コンコース
摂津市側にある駅舎。「阪急正雀」という地名にある当駅だが、実は1928年(昭和3年)に開業させたのは、阪急ではなく何と今はライバルの京阪であった。
橋上コンコースからホーム方向を望む。
当駅含む阪急京都線は、元々淀川左岸に路線を走らせていた京阪が、他社による右岸での京阪間高速路線建設を懸念し、新京阪線として自ら敷設した京阪本線防衛のための路線であった。
駅北側に正雀工場を有するため、社員専用入口が設置されているのが当駅の特徴となっている。
当初新京阪線だった路線は、1943年(昭和18年)に戦時統制下で阪急と合併されて京阪神急行となり、戦後まもなくの1949年(昭和24年)に再度分離された際に、建設元の京阪ではなく、何と阪急の所属となった。
戦後再分離の際に京阪ではなく阪急の路線となった理由は、新京阪線の電車が1945年(昭和20年)から宝塚線に乗り入れて梅田発着となっていたことが公式の理由となっているらしい。
当駅は優等が一切停車しない駅であるが、2008年(平成20年)のバリアフリー工事によって、改札内コンコースにはフルカラーの液晶発車案内板が設けられた。
時刻表
京都線:京都河原町方面
当駅は優等が一切停まらない駅で、普通のみが日中10分間隔で運行されている。
日中の普通がすべて高槻市止まりとなっており、高槻市へは茨木市で準急に、河原町方面には同駅で特急への乗換えを要する。
京都線:大阪梅田方面
大阪方面行きも同様に、日中は普通が10分間隔で運行される。
大阪梅田行きと、淡路から千里線・地下鉄堺筋線方面に乗り入れる天下茶屋行きが交互に運行されている。
普通は当駅で特急・準急のダブル通過待ちを行ったのちに発車するため、終点まで先に到着するダイヤとなっている。
乗り場
【2・3号線】京都線:京都河原町方面
当駅の乗り場番号は、なぜか2号線から始まる。
その2・3号線ホームの北西側には、阪急電鉄正雀工場と正雀車庫が拡がっている。
阪急と能勢電鉄の全営業車両の検査・修理を行う阪急最大の車庫・工場で、年2回開催される阪急レールウェイフェスティバルでは、動態保存されている貴重な旧式車両も公開される。
駅舎はホーム東端に位置している。
2号線の先端は、隣の3号線と比べて南側にずれており、、、
ホーム上のかなり大胆な位置に場内信号機が設置され、この位置にある分岐器は車庫への入出庫に使用される。
そして、この2号線の外側を走るホームの無い車庫線が、実は1号線としてカウントされているのだ。
2号線ホームは先端が南に寄っているため、末端も南に伸びており、、、
その末端部は切り欠いた感じの独特の構造となっている。
隣接する車庫の関係で、当駅始発の列車が数本設定されているが、配線の関係で大阪方面行きの始発電車もこのホームから発車する。
ちなみに、難読である駅名の由来は、駅下を流れる正雀川に因んでいる。
しかし、その正雀川は吹田市にある「正尺」と呼ばれる地点から流れる川であり、実は「雀」という文字は当て字らしい。
ホーム南端には、乗務員用の構内踏切が設けられている。
そして、車庫から1号線のさらに外側の線路はA号線と呼ぶらしく、忙しい営業運転の合間の束の間の休息を取る1300系と遭遇出来た。
日中の京都方面行きは、本線の3号線が使用される。
京都線最古参となった独特の走行音が魅力の3300系高槻市行きは、リニューアルが施され、まだまだ現役で活躍を続けている。
その普通を8300系の準急河原町行きが爆速で追いかけ、茨木市で緩急接続を行う。
【4・5号線】京都線:大阪梅田方面
大阪方面行きの日中は、待避線の5号線が使用される。
当駅の利用客数は1日約19000人。
20世紀末ごろは3万人近い利用があり、競合となるJR岸辺駅と互角の戦いを繰り広げていたが、2010年(平成22年)に当駅東に約1.5kmのところに開業した摂津市駅の影響もあり、現在は岸辺駅に大きく水をあけられている。
その5号線に停車中の3300系普通梅田行き。当駅で特急・準急のダブル待避を行うため、約5分ほど停車する。
4・5号線ホームから駅舎方向を望む。優等が停車しない駅であるためか、ホーム幅をそれほど広くない。
そして、本線の4号線を9300系・特急梅田行きが爆速で通過していく。
5号線ホーム側からは、かつて改札口であった地下道を望む絶妙のアングルが開ける。
停車中は改造版7300系の天下茶屋行き。淡路から千里線を経由して地下鉄堺筋線に乗り入れる。
阪急の正雀車庫は当駅北西側にあるが、大阪地下鉄の東吹田県検車場も実は当駅南に存在し、当駅終着の大阪地下鉄の車両が同検車場に向けて入庫していく姿が見られる。
2・3号線側には場内信号機がホームの大胆な位置に君臨していたが、4・5号線側には何と架線柱がホームのド真ん中に堂々と聳え立っている。
当駅は優等が一切止まらない駅であるが、液晶フルカラーの発車案内板が備えられ、駅構内放送も種別・行先・乗換案内含めた詳細なものが流れる。
そして、日中は梅田行き(写真は3300系更新車)と、、、
天下茶屋行き(写真は7300系更新車)がそれぞれ20分間隔で運行され、淡路で北千里始発の普通と接続を行う。
元々高速輸送目的で敷設された路線だけあって、まっすぐ伸びる線形が美しい。
えきログちゃんねる
[阪急正雀駅]9300系特急梅田行き爆速通過風景201602
[阪急京都線正雀駅]普通高槻市行き接近放送(詳細版)201602
[阪急京都線正雀駅]普通天下茶屋行き接近放送(詳細版)201602
[阪急正雀駅]独特の走行音3300系普通同士の離合風景201602