叡電名物「もみじのトンネル」の南側にある、鞍馬線の単式1面1線の地上駅。
1928年(昭和3年)の開業当初は相対式2面2線のホーム構造をする複線の駅だったが、戦時中の資材提供で単線化されて以降、周辺人口は増えているものの、現在まで再複線化に至っていない。
伊勢神宮と同じ天照大神を祭り、立派な神明造の本殿を有する大神宮社の参道を跨ぐダイナミックな鉄橋と、戦前の複線時代の痕跡が見られるホーム等、シンプルながら見どころ満載の駅である。
外観・駅周辺
二ノ瀬ー当駅間にある叡電名物「もみじのトンネル」。11月初旬の色づき始めた緑赤混合のトンネルを抜けてきた800系鞍馬行き。
そこからさらに鞍馬街道を南に下ると、右に見える「龍田天神」と記された鳥居。風の神様として有名な奈良の龍田大社とは、何か関係があるのだろうか。
さらに下ると、二ノ瀬までの山間の雰囲気から、だんだんと住宅街になっていく。
上の写真からさらに南下して出た広い交差点は、狭隘な鞍馬街道と2015年3月に新設された二ノ瀬バイパスとの合流地点。
鞍馬街道旧道の上市原橋からの階段を上ったところが市原駅の鞍馬寄りの出入口。
市原駅の出町柳駅寄りの出口を出たところにある鞍馬街道。奥の交差点が、先ほど見た二ノ瀬バイパスとの合流地点。
上の写真から東方向は、実は参道となっており、奥に見える叡電の市原陸橋をくぐって続いている。神社の参道を電車の鉄橋が跨ぐとは、何ともダイナミックな構造だ。
その陸橋をくぐった先にある大神宮社の鳥居。
伊勢内宮と同じ天照大神を祭った神社らしいが、伊勢神宮との関係性や由来については今もって不明という謎多き神社だ。
その境内。本殿は、伊勢神宮と同じ神明造りだが、人気がほとんどなく、秘境的な雰囲気。奥に見える住宅街とのコントラストが何とも不思議な感じを醸し出している。
その大神宮の真北にある市原駅。ここは出町柳寄りの出入口。ワンマン運転の車内改札方式なので、改札口は存在しない。
大神宮に続く東側側道より。敷地が不自然に空いているのにはワケがある。
時刻表
鞍馬線:出町柳・鞍馬方面
鞍馬線は、隣の二軒茶屋から単線となり、本数が半減するが、市原駅周辺は宅地開発によって人口が増えているため、朝・夕は始発・終着列車が多数設定されている。
乗り場
鞍馬線仕様の駅票。沿線観光の目玉である紅葉をイメージした赤色だ。
ホームは単式1面1線。
そして、東側に不自然に空いていた敷地の正体がこれ。この植え込みがされているのはプラットホーム跡。実はこの駅はかつて複線の2面2線構造の駅だったのだ。
1928年(昭和3年)の開業当時は、当駅まで複線だったが、戦時中に資材提供のために単線化された。奥の鉄橋にも複線化の跡が見て取れる。
ホーム上から北西方向を望む。近年宅地開発が進み、周辺人口が増加している。
単線の駅を出発する900系きらら号鞍馬行き。
戦時中に宝ヶ池ー当駅間が単線化され、1990年(平成2年)に一つ手前の二軒茶屋駅までの再複線化がなされたが、残念ながら当駅には現在も至っていない。
現在の市原駅の利用客数は1日約400人。周辺人口が増えているとはいえ、車社会化が進んでおり、電車の利用につながっていない可能性がある。
その単式ホームに電車が入線。ホームの人々が一斉にシャッターを切るという、観光路線ならではの光景。
やってきたのは800系の出町柳行き。
たくさんの乗客を乗せて出発。彼らは何の集団だったのだろうか。
ホーム端から出町柳方面を望む。かつて複線だった痕跡が残された敷地の左奥が謎多き大神宮社だ。
えきログちゃんねる
[秋の叡電鞍馬線・市原駅]900系きらら号鞍馬行き発車風景201511
[秋の叡電鞍馬線・市原駅]800系出町柳行き入線・発車風景201511
叡電名物もみじのトンネルに突入する800系[鞍馬線:市原ー二ノ瀬間]201511