信貴山下駅[近鉄](奈良県三郷町)~廃止された東信貴ケーブルの名残が印象的な、「信貴山口駅」を名乗ったトリビアも有する元祖・信貴山観光の玄関口~

奈良県有数のターミナル・王寺駅から一駅北の信貴山東麓に位置する、生駒線の相対式2面2線の地上駅。

西信貴ケーブル併設の信貴線の終着駅・信貴山口駅と混同されやすいが、当駅からも1983年(昭和58年)までは西信貴ケーブルよりも10年程先に開業した東信貴ケーブルが運行され、実は元祖・信貴山観光の玄関口であり、一時期「信貴山口駅」を名乗ったこともあるというトリビアも残されている。

広いコンコースと駅西側から伸びる絶妙な勾配の上り坂に、60年の歴史を培ったケーブル線の名残が感じられ、三郷町の中心駅としての役割も有する等、シンプルながら魅力の詰まった駅となっている。

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外観・駅周辺

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奈良県有数のターミナル駅である王寺駅から一駅北に位置する信貴山下駅。

大阪府にある信貴線の終点・信貴山口駅と混同しやすいが、あちらは信貴山西麓、こちらは奈良県側の東麓に位置する生駒線の駅である。

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そして、信貴山口駅からは信貴山に向かうケーブル線(西信貴鋼索線)が連絡しているが、この信貴山下駅にはケーブルカーは存在しない。

かと思いきや、駅西側から信貴山に向かって何とも絶妙な勾配の坂が伸びているのが気になるが、、、

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実は、何と1983年(昭和58年)までは信貴山下駅からも信貴山へのケーブルカー(東信貴鋼索線)が走っており、この絶妙な勾配の登り坂は、その廃線跡だったのだ。

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その登り坂の途中から、信貴山下駅方面を望む。

しかもそのケーブルカーの歴史は1922年(大正11年)で、現存する西信貴ケーブルよりも8年古く、実はこの東麓側が元祖・信貴山観光の玄関口だったのである。

改札口・コンコース

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現在は近鉄生駒線の駅となっているが、1922年(大正11年)に当駅を開業させたのは、生駒線の前身である信貴生駒電気鉄道であった。

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改札内コンコースは、1983年(昭和58年)までケーブルカーの駅が存在していた名残を感じさせる広い構内となっている。

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生駒線を開通させた信貴生駒電気鉄道は、その名の通り、信貴山への参詣客を運ぶ目的で創立された会社で、1922年(大正11年)に王寺駅ー当駅間の鉄道線と、当駅ー信貴山間の鋼索線(旧・東信貴ケーブル)を開通させ、当駅は信貴山下駅ではなく「山下駅」として開業された。

改札内コンコースには、その東信貴鋼索線で使用されたいた車両・コ10形の車輪とレールが保存されている。

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元祖・信貴山観光のルートとなったこの東信貴ケーブルだが、開業から8年後の1930年(昭和5年)に、近鉄の前身である大阪電気軌道(大軌)の子会社・信貴山急行電鉄によって、現在の近鉄信貴線及び西信貴ケーブルによる西側ルートが確立されると、大阪からより便利な同ルートに乗客が流れていった。

その結果、元祖である東側ルートの乗客は減少し、周辺宅地化に伴う開発の支障となった東信貴ケーブルは、1983年(昭和58年)にその60年余りの歴史に幕を閉じることとなった。

時刻表

生駒線:生駒・王寺方面

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生駒線は原則王寺生駒間の全線通し運行が基本となっており、4両編成のワンマンカーがほぼ毎時4本運行されている。

生駒側は朝ラッシュ時に区間運転も行われているが、王寺側は終日に渡ってラッシュの概念のないダイヤとなっている。

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乗り場

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ホームは相対式2面2線。

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1922年(大正11年)の開業当初は「山下駅」を名乗った当駅だが、何と1951年(昭和26年)から5年間は現・信貴線の終着駅と同じ「信貴山口駅」を名乗ったことがあるというトリビアも残されている。

現・信貴山下駅へは1956年(昭和31年)に改称された。

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ホーム北端から勢野北口・生駒方面を望む。線路はここから大きく東にカーブしていく。

生駒線の前身・信貴生駒電気鉄道だが、程なく経営難に陥ってしまい、1925年(大正14年)に当時三重の電力会社であった三重合同電気傘下で信貴生駒電鉄として再出発を果たすこととなった。

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その信貴生駒電鉄が近鉄の吸収合併されたのは、1964年(昭和39年)のことである。

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王寺行きの1番のりばホームから西側の改札口方向を望む。

生駒線の前身であった信貴生駒電鉄だが、実は現・京阪交野線を敷設した鉄道事業者でもあったという、驚きのトリビアも残されている。

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現在の生駒線の運用は、1021系の4両編成ワンマンカーが就いており、駅構内放送でおなじみの淑女の美声による車内放送を楽しむことが出来る。

その車内放送では、当駅到着前に「信貴山へはバスにお乗換です」と案内されるが、そのバスは毎時1本程度の運行となっている。

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そして、当駅のもう一つのトリビアとなっているのが、この1番のりばホーム。

何と1973年(昭和48年)から約10年余りの間、この1番のりばから線路が撤去され、2番のりばだけの棒線駅となっていた時代があるらしい。

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しかし、1985年(昭和60年)に行き違い設備が復活し、現在ではこのように列車の交換が行われるようになっている。

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当駅の利用客数は、1日約3000人。信貴山観光の玄関口を信貴山口駅に譲ったものの、利用客数は現在でも同駅の倍近くに上っている。

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ホーム南端から王寺方向を望む。左奥に見えるのが、当駅属する奈良県三郷町の町役場。

当駅は信貴山観光への元祖・玄関口というだけでなく、実は三郷町の中心駅としての役割も果たしているようだ。

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[近鉄生駒線車内放送]生駒行き(王寺⇒信貴山下)201603

[近鉄生駒線車内放送]王寺行き(信貴山下⇒王寺)201603

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