国宝・石清水八幡宮表参道の門前町に位置する京阪本線八幡市駅に併設する、鋼索線(男山ケーブル線)の頭端式2面1線の地上駅。
男山山上に鎮座する石清水八幡宮へのアクセス線として開業し、戦時中に資材供出のため11年に渡って廃止の憂き目に合うが、その後京阪の手によって復活を果たすという波乱の歴史を有する。
全長400m・所要時間3分という極めて短い路線ながら、そのわずか3分間の車内から開ける京都洛南の絶景は、筆舌尽くしがたい魅力を有している。
外観・駅周辺
「やわたのはちはんさん」で親しまれている石清水(いわしみず)八幡宮の門前町として発展した、京都府八幡市(やわたし)の玄関口である京阪八幡市駅。
ケーブル線の駅は、広い駅前広場の西端にある京阪本線の八幡市駅の奥にある。
上の写真の場所からさらに奥に進んだ場所にあるのが京阪鋼索線・通称男山ケーブル線の八幡市駅だ。
1969年(昭和44年)までは、今は広い駅前広場にあるバスターミナルが、このケーブル線の駅前に存在していたらしい。
ケーブル線の駅先端から京阪八幡市駅方面を望む。地域の拠点駅の座を樟葉駅に譲った後に残るちょっとしたレトロな情景が哀愁感を漂わせている。
改札口・コンコース
男山ケーブル線は、京阪が運営するケーブル線だが、元々は1926年(大正15年)に男山索道という会社によって開通されたものだった。
そして、開業当初の当駅は、京阪本線と同じ八幡市駅ではなく、「八幡口駅」を名乗っていた。
ケーブル線の改札口からは、京阪八幡市駅の3番線ホームが見える。
京阪の子会社として運営されていた当ケーブル線だが、実は戦時中の1944年(昭和19年)に資材供出のための不要不急線として一旦廃止された。
改札内コンコースより改札口方向を望む。
しかし、廃止から11年後の1955年(昭和30年)に、同じ京阪の手によって復活再開業を果たすという異色の経歴を有しているのだ。
2016年(平成28年)は、廃止されていた11年間も含め、男山ケーブル誕生から60年の節目の年であり、改札内コンコースにはそれを記念した写真パネルが展示されていた。
時刻表
鋼索線(男山ケーブル線):男山山上方面
男山ケーブル線は立派な京阪の路線であるため、時刻表や案内板等もすべて京阪仕様のデザインとなっている。
通常は30分間隔での運行だが、乗客がいる場合は15分間隔での運転となる。
また、大晦日と石清水祭前夜は終夜運転が行われ、1年の利用客の約半分が訪れる正月三が日は5分間隔で運行される。
乗り場
ホームは立派な頭端式2面1線の構造だ。
京阪仕様の駅票。
当初八幡口駅として開業した当駅は、その後京阪本線の八幡市駅と平仄を合わせ、1957年(昭和32年)に八幡町駅に、そして1977年(昭和52年)に現駅名に再改称された。
この車両は2001年(平成13年)に更新されたものらしい。かつての京阪特急を彷彿とさせるカラーリングだ。
男山ケーブル線では、スルッとKANSAI対応カードの仕様は可能だが、ICOCA・PiTaPa等のICカード乗車券は使用できない。
乗り場側ホームから車止め方向を望む。電車の駅には無いケーブルカー独特のダイナミックなアングルが美しい。
当ケーブルの利用客の何と半分が1月に集中するらしく、平日昼間ということもあるが、国宝指定の翌日ながらほとんど乗客はおらず、、、
ほとんどというか、自分以外人がいないという、完全貸切状態を堪能させてもらった。
ホーム端から男山山上方面を望む。高低差は82m、最大勾配は20.6%の単線2両交走式のケーブル線だ。
出発直後の最後部からホーム全景を望む。
終着駅の男山山上駅までの距離はわずか400m、所要時間3分の短い行程だが、、、
その3分間で目にする光景はあまりに素晴らしく、、、
反対方向に向かうケーブルカーとの行き違いを経ると、、、
全長108mのトレッスル橋である男山橋梁からは、言葉が不要なこの素晴らしい京都洛南の絶景が堪能できる。