播州赤穂駅[JR西日本](兵庫県赤穂市)~山陽本線ルートから外れた悲運の歴史に新快速の運命を変えらえた、「忠臣蔵」ゆかりの近畿の駅百選認定駅~

言わずと知れた赤穂事件・忠臣蔵ゆかりの地・赤穂城の城下町に位置する、赤穂線の2面3線の地上駅で、第3回近畿の駅百選認定駅。

本来は幹線の山陽本線のルートとなるはずだったが、不利な地形と地元の反対によってそのルートから外れ、戦後まで軽便鉄道(赤穂鉄道)で代替されるという波乱の歴史を有する。

大阪・神戸方面から新快速が乗り入れていたが、ローカル線の単線区間ゆえに発生する遅延防止のため、2016年(平成28年)3月をもって原則廃止となり、路線敷設の悲運の歴史の影響が今に及んでいる。

しかし、「忠臣蔵」ゆかりの地である駅周辺は、赤穂城・大石神社を代表にその風情を今に残しており、姫路での乗換えを要しても訪れたくなる素晴らしい景観を保持している。

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外観・駅周辺

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言わずと知れた赤穂事件・忠臣蔵ゆかりの地・赤穂城の城下町であり、兵庫県赤穂市の代表駅でもある播州赤穂駅。

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駅前広場には、その赤穂四十七士のリーダーであった大石内蔵助良雄の銅像が堂々と掲げられている。

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2000年(平成12年)の橋上化の際に建設された、黒瓦をモチーフとした切妻屋根が特徴的な駅舎は、第3回近畿の駅百選に選定されている。

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その橋上コンコースから駅前広場を望む。正面奥から南に伸びる通りが、忠臣蔵の舞台となった赤穂城に繋がる「お城通り」と呼ばれる目抜き通りである。

忠臣蔵ゆかりの赤穂城跡・大石神社

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その「お城通り」を南に進むと、道路脇に見えてくるのが赤穂藩・旧上水道のモニュメント。

江戸時代初期の1616年(元和2年)の池田藩時代に整備され、何と戦時中(1944年(昭和19年))までの320年もの長きに渡って城下町を潤していたらしい。

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そこからさらに南下した「お城通り」交差点から先は、まさに城下町の雰囲気満載の趣深い通りが展開される。

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その風情あるお城通りを突き当たりまで進むと、忠臣蔵の舞台となった赤穂城がその堂々たる姿を現す。

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忠臣蔵ゆかりの地の代表観光スポットとなっているこの赤穂城跡は、国の史跡や日本100名城にも選定されている。

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その赤穂城大手門前から、お城通り・播州赤穂駅方向を望む。晴天も幸いし、言葉も不要な素晴らしい情景が拡がる。

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そして、赤穂城から北西方向に、何と山腹に「赤」の字が刈り込まれた山を発見。

これは、高山と呼ばれる山で、「赤」の字は木を並べて作ったものらしく、夜になるとライトアップされて赤の文字が浮き出てくるらしい。

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赤穂城は大坂の陣後の平和な時代に本格築城された城だが、江戸で兵学を教えていた軍学者・山鹿素行を招聘し、銃撃戦を想定した実践的な城へと改築した。

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そして、その赤穂城に隣接しているのが、この赤穂大石神社。文字通り赤穂四十七士を祀る神社で、参道には彼らの石像が並べられている。

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神ではなく藩祖を祀るというこの珍しい神社形態は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて流行したものらしい。

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赤穂事件以降は、江戸幕府に憚り、旧赤穂城内で密かに弔われていた四十七士だが、明治天皇による弔いを行われたことで、表立っての顕彰が出来るようになった。

この大石神社は、その流れを受けて1900年(明治33年)に創建が許可され、1912年(大正元年)に社殿が完成したという比較的歴史の浅い神社である。

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四十七士のリーダーであった大石内蔵助良雄は、赤穂城改築のアドバイザーであった山鹿素行の門弟の一人であった。

赤穂事件以降、山鹿流は「実践的な軍学」との評判が立ち、その教えは明治維新の精神的指導者であった吉田松陰にも影響を与えたらしい。

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赤穂大石神社は、赤穂事件の四十七士を祀る神社だが、戦後赤穂事件の発端となった松の廊下の刃傷事件で取り潰しとなった浅野家と、浅野家の後に赤穂藩主となった森家を合祀している。

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拝殿の左には、四十七士の遺品を陳列する義士宝物殿が設置されている。

討ち入りを果たした12月14日には、毎年赤穂義士際が催されており、1903年(明治36年)から続く赤穂市最大のイベントとなっている。

国鉄赤穂線開通前日まで運行されていた旧・赤穂鉄道播州赤穂駅跡地

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JR赤穂線の前身である国鉄赤穂線が開通したのは、何と戦後になったからの1951年(昭和26年)。

歴史ある城下町にしては鉄道敷設が随分遅い印象を受けるが、その謎を解くカギが加里屋交差点付近に位置するバス会社・ウエスト神姫の赤穂営業所にある。

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JR播州赤穂駅から南に約700m。ウエスト神姫赤穂営業所前の千鳥ヶ浜ロード沿いに建てられている一本の何気ない杭には、、、

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何と「赤穂鉄道 播州赤穂駅」の文字が書かれている。

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実は国鉄赤穂線敷設前、この赤穂の地には山陽本線・有年駅から南下する軽便鉄道・赤穂鉄道が、国鉄赤穂線開通前日まで通っていたのだ。

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古くから発展する街であり、塩田擁する一大製塩地でもあり、かつ姫路ー岡山間の短絡ルート上に位置するこの赤穂の地には、幹線である山陽本線は通らなかった。

そのために、鉄道ネットワークから外れてしまったこの地を山陽本線と結ぶために敷設されたのが赤穂鉄道であったのだ。

改札口・コンコース

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2000年(平成12年)に橋上化された駅舎。コンコース内も「忠臣蔵」に染まっている。

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「播州」赤穂駅を名乗る当駅。国鉄赤穂線開業当時の1951年(昭和26年)に、同じ国鉄の飯田線に赤穂駅(あかほ)が存在したため、混同回避のために「播州」を冠したと解説されている。

しかし、実は国鉄とは何の関係もない赤穂鉄道時代から「播州赤穂駅」の名称が用いられており、これを国鉄が引き継いだとみる方が真相としては正しそうだ。

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当駅属する赤穂線は、船坂峠(上郡ー三石間)の難所を抱える山陽本線の短絡ルートとして開業した路線であり、当初は新幹線まで並走させるという壮大な計画の路線だったらしい。

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橋上コンコースから、東の坂越・相生姫路方面を望む。

元々姫路ー岡山間の短絡ルートであった赤穂の地に山陽本線が通らなかった理由の一つに、急こう配を避けるという旧・山陽鉄道の方針から、東に山地のある赤穂はルートとして存在し得なかったとの説がある。

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今度は西方向の天和・岡山方面を望む。

一方で、当地を通るルートが計画されていたが、地元の猛反対によって山側へ迂回する現ルートへと変更されたという説も根強く、真相は良くわかっていない。

時刻表

赤穂線:相生・姫路・日生・岡山方面

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当駅は赤穂線の中間駅だが、運行上の境界駅となっており、全ての電車が当駅始発となっている。

西行きの岡山方面は2~3両編成のワンマンカーがほぼ毎時1本運行されている。

一方、東行きの相生姫路方面は30分間隔でうち1本は三ノ宮大阪方面に直通する新快速電車となっているが、2016年(平成28年)3月のダイヤ改正で当駅に乗り入れる新快速はほぼ全廃される。

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乗り場

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ホームは2面3線構造となっている。

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混同回避のために旧国名を冠するのであれば「播磨」赤穂となるはずが、「播州」赤穂となっている当駅は、旧・赤穂鉄道の駅名を引き継いだゆえの例外なのであろう。

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日中は、単式1番のりばに新快速、島式2番のりばに岡山方面行きの電車、そして向かいの3番のりばに姫路行きの普通電車が停車しているが、ダイヤ改正後はどのようになるのだろうか。

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2番のりばに停車中の115系普通福山行き。当駅から西行きはほとんどが岡山行きだが、1日2本だけ福山行きが運行されている。

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そして、単式1番のりばには、当駅から姿を消してしまう223系新快速敦賀行きが、折り返しまで約30分停車している。

利用状況よりも、新快速唯一の単線閉そく区間となっている赤穂線への乗り入れを取りやめることで、遅延防止を図る目的があるようだ(利用状況だけでいえば、敦賀駅の方が当駅よりも利用客数は少ない)。

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当初は山陽本線の短絡ルートとして、新幹線の乗り入れ実現の可能性もあった当駅。

しかし、山陽本線の複線・電化が完了した後での赤穂線開通であったことから、単線のまま現在に至っている。

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一方で、山陽本線ルートよりも、当駅までの赤穂線ルートの方が利用客数は多いため、姫路からの電車は原則相生から赤穂線に乗り入れる運用となっている。

従って、新快速の当駅乗り入れが廃止となっても、姫路駅での対面乗換は可能であることから、そこまで利便性が劣化するわけではないが、イメージ上の打撃はあるのだろう。

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上の写真の場所から、西方向の天和・岡山方面を望む。

とはいえ、幹線の山陽本線がこの赤穂の地を通っていたのであれば、新快速の存廃問題は起こらなかったのかもしれない。

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次に2番のりばにやってきた2両編成ワンマンカーの岡山行き。断崖絶壁な顔面が印象的だが、実はこれも115系である。

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その1両目は115系のそれだとわかる顔立ちだ。編成短縮化により、中間車に運転台を設置した興味深い顔面が続々と登場している。

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3番のりば北側のある空間は、かつて側線が存在していたことを示す形跡だろうか。

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当駅の利用客数は、1日約8000人。

山陽本線ルート上の智頭急行との乗換駅である上郡駅よりも利用客数は多く、旧赤穂藩領域の中心としての地位は保ち続けている。

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ホーム東端から、坂越・相生方面を望む。

まもなく当駅への乗り入れが廃止となる新快速が見つめる先は、悲運の歴史を醸し出す単線の哀愁感なのだろうか。

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