JR西日本と東海との会社境界駅である東海道線・北陸線(琵琶湖線)との接続駅で、滋賀県内唯一の新幹線の駅も併設された、島式3面6線の地上駅。
東海道本線開通当時は、当駅には路線が通っておらず、県内の陸上ルート開設に伴い駅が設置されたという興味深い歴史を持つ。
県内有数の交通の要所ながら、駅周辺は目立った商業施設や高層建造物がほとんど存在しないが、だからこそ得られる開放的な眺望は一見の価値を有する。
駅構内は、交通の要所にふさわしい広大なホームが拡がっており、JR西日本・東海の在来線に加え、新幹線や近江鉄道も含めたバラエティ豊かな車両群が楽しめる魅力満載の駅となっている。
目次
外観・駅周辺
JR3線と近江鉄道線が乗り入れる滋賀県有数の交通の要所である米原駅を東口より望む。
その東口駅前広場を、2009年(平成21年)に橋上化された2階コンコースより望む。
交通の要所たる地位とは裏腹に、駅東口周辺は商業施設も無く、かなり落ち着いた様相を呈している。
当駅周辺は、かつて琵琶湖の内湖があった場所で、江戸時代の1603年(慶長8年)には湊が開かれ、湖上交通の中継地として、また宿場町として栄えたらしい。
その米原湊跡のモニュメントの真横には、近江鉄道米原駅のホームが見える。
近江鉄道本線は、東海道本線のルートから外れた湖東平野内陸部を縦断する滋賀県下最古の私鉄で、1931年(昭和6年)に全通した歴史ある路線だ。
その近江鉄道米原駅に隣接する広大なJR米原駅。周辺の高層建造物がないため、その存在感は際立つ。
駅東口広場から、南方向を望む。
交通の要所ながら乗換客中心で当駅で下車する人が少ない所以なのだろうが、この開放的な眺望はそう味わえるものではない。
今度は新幹線米原駅側に近い西口。北陸本線の起点でもある当駅には、滋賀県内唯一の新幹線の駅が併設された。
その西口に聳え立つ格安ホテルチェーン・東横INNの建物が、高層建造物が無い当駅周辺のシンボル的存在となっている。
琵琶湖側に近い西口も交通の要所とは思えない落ち着きぶりで、滋賀を本拠地とするスーパー・平和堂の店舗があるくらいだ。
改札口・コンコース
在来線の改札口は2階中央に一か所。かつては地上改札であったが、2009年(平成21年)にリニューアルされ橋上化された。
駅を東西に結ぶ米原市管理の自由通路。
かつて新幹線ホームには一旦在来線改札内を経由する必要があったが、在来線改札の西側に新幹線用の改札口が設けられた。
JR西日本が管理する在来線ホームと異なり、新幹線ホームはJR東海の管理となっている。
そして、東口を入ってすぐのところには、近江鉄道米原駅への入り口がある。2012年(平成24年)に駅周辺の整備工事に伴い移転新築された。
米原市が管理する東西自由通路コンコースには、米原をアピールする素材に満ち溢れている。
せっかくの交通の要所たる地位を活かそうとする努力が垣間見える。
当駅の利用客数は在来線で1日約1万人、新幹線で約1万2千人。
この数値には新幹線・在来線間の乗換客を含むため、駅構外に降りたつ人は駅周辺の状況からかなり少ないと推察される。
在来線の改札内コンコース。
在来線はJR西日本管理となっているので、構内設備は同社仕様となっている。
JR東海の管轄となる、当駅以東の東海道線と新幹線への乗換口は、上の改札内コンコースのやや奥まった場所に存在する。
時刻表
琵琶湖線:草津・京都・大阪方面
京都・大阪方面に向かう琵琶湖線の日中は、北陸線方面(長浜・近江塩津)から直通する新快速と当駅始発の普通(高槻から快速)が毎時2本ずつ運行されている。
琵琶湖線内の普通電車は原則新快速の追い抜きを受けず、新快速の10分後の発車する普通電車は京都まで先着するダイヤとなっている。
北陸線(琵琶湖線):長浜・敦賀方面/東海道線:大垣・名古屋方面
当駅以北は、北陸線方面がJR西日本、東海道線がJR東海の路線となる。両方面共に30分間隔での運行に加え、特急しらさぎ号が毎時1本程度運行される。
北陸線方面は輸送改善により、新快速電車が1991年(平成3年)より長浜駅まで、2006年(平成18年)より近江塩津・敦賀駅までの乗り入れを行っている。
新快速は当駅以遠各駅に停車するが、種別自体がブランド化していることもあってか、終点まで「新快速」のまま走る抜ける。
乗り場
ホームは島式3面6線の構造だが、1番のりばと4番のりばが存在しない興味深い付番となっている。
管理主体であるJR西日本仕様の駅票。当駅は1889年(明治22年)に東海道本線の駅として開業した。
【2・3番のりば】琵琶湖線:草津・京都方面
2・3番のりばホーム端から北方向を望む。ここから東海道線は右の東方向に、北陸線はまっすぐ北方向に進む。
上の写真の場所からホーム中央方向を望む。交通の要所にふさわしい広大な規模のホームだ。
2番のりばの東側、近江鉄道米原駅との間にあるホームの無い線には、かつて1番のりばが存在したらしい。
現在は交通の要所となっている当駅だが、東海道本線開通時には当駅は存在しなかった。
当時の東海道本線は、関ケ原から当駅を経由せずに琵琶湖に面する長浜駅に至るルートを通り、現・京阪浜大津駅となっている初代・大津駅との間は、何と鉄道ではなく水運で代替されていた。
3番のりばに北陸線方面から223系新快速姫路行きがやってきた。当駅で5分ほど停車し、京都まで1時間弱で駆け抜ける。
6番のりばホームから2・3番のりばホームを望む。
東海道線大垣方面からやってきた当駅止まりのJR東海313系普通電車は、当駅2番のりばに停車し、京都・大阪方面に向かう琵琶湖線との接続を行う。
【5・6番のりば】北陸線(琵琶湖線):長浜・敦賀方面
5・6番のりばからは、北陸線方面に向かう電車が発車する。
かつては全線交流電化のため東海道本線とは分断された運用だったが、直流化によって大阪・京都方面から直結する琵琶湖線に組み入れられ、大幅な輸送改善を遂げた。
当駅西口に本社を有する地場の弁当屋・井筒屋。新幹線ホーム含む構内5か所に売店・飲食店を展開している。
かつて当駅を経由せず長浜駅に向かっていた東海道本線だが、1889年(明治22年)に関ケ原ー馬場(現・膳所)及び長浜ー当駅間が開通したことに伴い、両線の接続駅として米原駅が設置された。
5番のりばに停車中の681系・特急しらさぎ号金沢行き。1964年(昭和38年)の東海道新幹線開業に合わせて同新幹線と北陸方面を結ぶ特急として運行開始された。
当駅始発と名古屋始発合わせて毎時1本が運行されている。
かつては現・サンダーバードの前身である雷鳥も当駅を発着していたが、1975年(昭和50年)に短絡となる湖西線経由に変更されている。
大阪・京都方面からの新快速が停車する6番のりばは、最大12両の電車が入線するため、ホームが北側に延びている。
その6番のりばに、225系新快速長浜行きが12両で到着。長浜行きは当駅で後ろ4両を切り離し、当駅以遠は8両で運転される。
5番のりばと3番のりばの間にある中線は、ホームの無い4番のりば。かつてはホームが存在し、北陸線の折り返し普通電車が発着していたらしい。
【7・8番のりば】東海道線:大垣・名古屋方面
7・8番のりばからは、JR東海の路線となる東海道線の電車が発車する。
1955年(昭和30年)に改良工事されてから半世紀以上の年季が入ったホーム屋根と柱が、交通の要所たる風格を漂わせている。
7・8番のりばは、南に長い構造となっており、ここまでくるとオタクな自分以外ほとんど人気がなくなる。
8番のりばからは新幹線の発着風景も楽しむことが出来る。新幹線米原駅は新幹線の駅にしては珍しい地上駅だ。
当初新幹線の駅は、より人口の多い隣の彦根駅に設置される予定だったが、北陸線との接続駅であるという地の利が奏功し、この場所での設置となったらしい。
上の場所から南方向の彦根・大津方面を望む。ここから南方1キロのところに、JR貨物の米原操車場がある。
駅周辺に何もないと揶揄されがちな当駅だが、だからこそ得られるこの開放的な眺望自体が、実はこの駅の名物たり得るのではないだろうか。
そして、この広大な交通の要所たる米原駅は、実は2005年(平成17年)まで「町」であり、「町」にある新幹線の駅として有名な存在だった。
5番乗り場と7番のりばに681系特急しらさぎ号が並んだ。
5番乗り場の電車は北陸線に入って金沢に向かい、7番のりばの電車は東海道線に入って名古屋に向かう。
8番のりばに、JR東海車の313系・当駅始発の普通大垣行きが入線。
JR東海313系の電車が見られるJR西日本の駅は当駅のみ。
JR西の221系シリーズに匹敵する快適3扉クロスシート車で、名古屋圏内では新快速としても活躍する。
その313系が大垣に向けて出発。
今度は7番のりばから681系の特急しらさぎ号名古屋行きが発車。
そして、JR東海の383系特急ワイドビューしなの・長野行きが8番のりばから発車。
2016年(平成28年)3月のダイヤ改正で、同列車の名古屋以西が廃止となるため、貴重な遭遇が出来た。
上下線の間に操車場を抱き込む形となっているため、東海道線上り方面は、大きく西側にカーブしていく。
えきログちゃんねる
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