京都市中西部の西大路四条交差点にある阪急西院駅の約300m東に位置する、嵐山本線の相対式2面2線の地上駅で、「さい」と読む難読駅。
四条通を挟んだ駅北側には西院車庫が存在し、嵐電の路線を利用して集配を行うヤマト運輸の荷物の積み下ろしが行われる。
当駅ー四条大宮間は阪急京都線と並走するが、開業は当駅の方が約20年早く、四条通を横切る踏切には電車が通るたびにレトロなチンチン音が鳴り響き、喧騒感のある阪急西院駅とは異なる「癒しの嵐電」の風情が味わえる。
外観・駅周辺
京都市の中西部、西大路通りと四条通が交差する西大路四条交差点南西角にある阪急西院駅。
1928年(昭和3年)に当駅を開業させたのは阪急でなく、ライバルである京阪が新京阪線の終着駅と開業させた。
その西大路四条交差点から、京都の東西方向のメインストリートである四条通を東に進むと、、、
四条通北側に、平安時代に淳和天皇の離宮があったと言われている高山寺が見える。
当離宮が御所から見て西にあったこと(西の院)が地名の由来であり、当時この地は「さいいん」ではなく「さい」と呼ばれるのが一般的であったようだ。
その高山寺を少し東に進むと、四条通を横切る併用軌道の先に嵐電の西院駅がある。
阪急西院駅より約20年早く開業し、同駅の読み方はかつての地名の読みにあわせた「さい」となっている。
当地の読み方は正式には「さい」が正しいが、阪急西院駅の方は、開業させた京阪が難読性排除のために「さいいん」を採用したらしい。
その嵐電西院駅から阪急西院駅方向を望む。両駅間は約300mほどの距離があるが、嵐電から阪急への乗換客は多い。
上の写真の場所から、四条通の向こう側へ50mほど進むと、、、
嵐電(京福)の西院車庫がある。
2011年(平成23年)から宅急便の集配業務に嵐電の路線が使用されており、荷物の積み下ろしがこの西院車庫で行われている。
時刻表
嵐山本線:帷子ノ辻・嵐山方面
原則は四条大宮ー嵐山間の全線通し・10分間隔の運行が基本だが、西院車庫との入出庫を兼ねた当駅始発・終着の電車も数本設定されている。
興味深いのは「特別休日」ダイヤの存在。京都の観光地を走る路線なので、観光客で賑わう春・秋の休日は日中が毎時2本増発される。
乗り場
当駅は起点となる四条大宮の次の駅だが、ナンバリングは「A1」である四条大宮の次の「A2」ではなく「A3」となっている。
1971年(昭和46年)まで、両駅間に存在した壬生駅復活の兆候なのだろうか。
ホームは相対式2面2線。
当駅から四条大宮までは阪急京都線と並走するが、路線の開通は嵐電の方が約20年も先輩だ。
四条通上の踏切には遮断機はなく、電車が通るたびにレトロなチンチン音が鳴り響く「癒しの嵐電」の風情が味わえる。
その四条通を横切ってやってきたのが、モボ101形の「嵐電パトトレイン」。
文字通りパトカーをイメージしたラッピングで、右京区制80周年記念事業の一環として、地元有志の応援団が寄付を出し合って運営してきた地元密着トレイン。
当初は2012年度で運行終了する予定だったが、好評のため現在でも運行が継続されている。
反対側ホームには、レトロな吊掛け駆動音が魅力のモボ631形「夕子号」の嵐山行きがやってきた。
「夕子」は小説「五番町夕霧楼」の主人公・片桐夕子に因んだ有名な生八つ橋で、当商品を展開する井筒屋は嵐電が走る右京区に本店をおく老舗である。
当駅の利用客数は阪急との乗換客を中心に1日約3500人。
後から開業した阪急西院駅に賑わい面では譲るも、レトロな風情が「癒しの嵐電」を感じさせる魅力的な駅となっている。
えきログちゃんねる
[嵐電パトトレイン]モボ101形四条大宮行き入線風景@西院駅201601
[レトロな吊掛け駆動車・嵐電夕子号]モボ631形嵐山行き発車風景@西院駅201601