大阪市南部の紀州街道と南港通が交差する塚西交差点に位置する、阪堺線の千鳥式2面2線の電停。
南港通を挟んで上下線で電停が分かれており、北の西成区側は安全地帯が設置されているが横断歩道と繋がっておらず、ややスリリングな経験が味わえる。
そして、南の住吉区側の乗り場は、激しい車通りにも関わらず何と安全地帯すら設置されておらず、大阪で一番スリリングな駅と言っても過言でなく、大阪下町のディープさが体現されたような一種のアナーキズムの香りが、見るものを引き付けて離さない魅力を有している。
外観・駅周辺
阪堺線と上町線の擬似ダイヤモンドクロスで有名な住吉電停から、紀州街道上を走る阪堺線を北上した2つ目の電停である塚西電停。
当電停の位置する塚西交差点は、南北を走る紀州街道と東西を走る南港通が交差する交通量が激しい交差点となっている。
その塚西交差点から南方向、住吉電停方面を望む。
隣の東粉浜電停までは紀州街道の中央を走っていた線路が、この付近になるとなぜか道路の西端に寄っている。
今度は同交差点から南港通を西方向に望む。南海本線の高架の向こう側に、地下鉄四つ橋線の玉出駅があり、ここから徒歩5分程度でたどり着ける。
次は、同じ南港通を東方向に望むと、これまでの下町のレトロな雰囲気とは違った光景が目に入る。
実はここは、大阪市内屈指の高級住宅街・帝塚山への入り口なのだ。
その塚西交差点南東角には、大阪市バスの東粉浜一丁目停があり、南港通を西に地下鉄住之江公園へ向かうバスが通っている。
そして、同交差点北東角にある壽光寺。
住職は、数少ない節談説教(落語・浪花節の源流ともなったと言われる、抑揚とジェスチャーを交えた法話の形態)の継承者らしい。
時刻表
阪堺線:我孫子道方面
阪堺線は長らく阪堺電車の基幹路線であったが、あべのハルカス開業に伴いダイヤ改正で、日中は1時間当たり3本へと大減便された。
また、運行経路もかつては恵美須町ー浜寺駅前間がメイン路線だったが、同ダイヤ改正により天王寺駅前ー浜寺駅前間がメイン路線となり、恵美須町始発の電車は全列車我孫子道行きに変更された。
乗り場
【西成区側】阪堺線:我孫子道方面
南港通が区境となっており、北の西成区側にある我孫子道方面行きは安全地帯が設置されている。
その安全地帯から南方向を望む。しかし、この安全地帯は横断歩道とつながっておらず、ここにたどり着くには多少のスリリングな経験が要求される。
今度は同じ場所から、北の新今宮駅前・恵美須町方面を望む。線路が道路の西に偏った状態は次の東玉出電停の先の併用軌道終点まで続く。
その電停からモ351形の我孫子道行きが出発した。ここまでは多少スリリングだが、まだ普通の電停の光景である。
【住吉区側】阪堺線:恵美須町方面
この電停の目玉は、南港通南の住吉区側にある恵美須町方面行き乗り場にある。
何とこの乗り場、駅票と時刻表が交差点の電柱に巻き付けられている。なぜこのようなことになっているのかと言うと、、、
線路が端に寄り過ぎて、安全地帯すら設置できない状態にあるのだ。
一応停留所を示すものらしき枠囲みは存在するが、交差点を左折する車も多く、枠内での電車待ちは、別世界への片道切符となる可能性を秘めている。
その極めてスリリングな併用軌道上を阪堺電車同士が離合する様は、大阪下町のディープさが体現されたような一種のアナーキズムの香りが漂っている。
その恵美須町方面のりばに、モ701形が到着した。
扉を開いて乗客待ちをしているモ701形。
安全・コンプライアンス過剰重視の風潮の中にあって、この一種のアナーキズムの空気が漂う光景は、見るものを引き付けて離さない魅力を有している。
えきログちゃんねる
[大阪一スリリングな阪堺線塚西電停]モ351形我孫子道行きとモ701形恵美須町行きの離合201601
恵美須町行きが停車する塚西交差点南側の電停は、車どおりの多い紀州街道上に安全地帯すら存在しないという、隣の東玉出電停とならぶ大阪一スリリングな駅となっています。
[大阪一スリリングな阪堺線塚西電停]モ701形恵美須町行き発車風景201601
[大阪に唯一残る路面電車阪堺電車車内放送](住吉⇒恵美須町)201507