安治川口駅[JR西日本]（大阪市此花区）～併設された大貨物ターミナルの雄大な光景が魅力的な、大阪環状線のルーツ・旧西成鉄道の初代終着駅～

 

JR２線と阪神電車との接続駅である西九条駅から一駅西に位置する、JRゆめ咲線（桜島線）の島式１面２線の地上駅。

大阪環状線のルーツ一つである旧・西成鉄道の終着駅として開業し、戦前に栄華を誇った「西六社」の大工業地帯にあるため、駅南側に現役の大貨物駅が併設されている。

普段じっくりと観察できない機関車が佇む雄大な貨物駅の光景はもちろん、新大阪駅と関係ない「新大阪郵便局」や北港鎮守・産土神社（うぶすなじんじゃ）等、見どころの詰まった魅力的な駅となっている。

外観・駅周辺

JR大阪環状線・JRゆめ咲線（桜島線）と阪神電車が接続する大阪市西部のターミナル駅・西九条駅から一駅西に位置する安治川口駅。その駅北口を望む。

 

上の写真の歩道橋から西方向を望む。線路の奥にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン（USJ）擁するユニバーサルシティが拡がる。

そして右手にある巨大な郵便局は、新大阪駅とは何に関係もないにも関わらず、なぜか「新大阪郵便局」と名付けられている。

 

その「新大阪郵便局」をホームから望む。

ここは、当駅開業と同時の1899年（明治31年）に開設された蒸気機関車製造の名門・大阪汽車製造会社の工場があった場所だったが、1972年（昭和47年）に川崎重工業と合併し工場は移転されたらしい。

 

 

そして、上の写真から目を左に転じると、安治川口駅ホームの向こう側に拡がる大貨物駅の光景を見ることが出来る。

貨物駅を備え、西六社（住友電気・住友金属・住友化学・日立造船・汽車製造・大阪ガス）の大工場が集積していた当駅周辺は、戦前は大阪随一の工業地帯として栄華を誇った。

 

 

今度は、駅東側にある踏切上からホーム方向を望む。

しかし、工場集積地帯であることによって戦時中の大空襲で狙い撃ちされ、当駅属する此花区の人口は終戦間際に約13万人から約2万人へと激減してしまったらしい。

 

 

その安治川口駅から北に進むと、北港通に面する島屋交差点南西角に、産土神社（うぶすなじんじゃ）が姿を現す。

 

 

その産土神社面する島屋交差点から、北港通を西方向に望む。この北港通上は1969年（昭和44年）まで大阪市電が通っており、この付近には島屋町電停が存在していた。

また、安治川口駅手前（西九条寄り）から分岐して大阪北港駅に向かう貨物支線の線路が、1985年（昭和60年）までこの北港通を横切っていたらしい。

 

この産土神社（うぶすなじんじゃ）は、1762年（宝暦12年）に大坂の島屋こと浅田市兵衛が新田の鎮守神として創建した神社である。

 

 

創建当時は当地よりさらに北にある正連寺川左岸（北港大橋南西詰）に存在していたが、度重なる水害のため、1938年（昭和13年）にこの地に遷宮された。

 

 

当社は、大工業地帯のオアシスとして此花区の名所に一つに挙げられていたらしいが、1999年（平成11年）に北側を走る北港通拡張のため、境内の一部を大阪府に譲渡したらしい。

 

改札口・コンコース

当駅は1898年（明治31年）に開業した非常に歴史にある駅だが、駅舎が橋上化されたのは1999年（平成11年）のことである。

 

 

当駅属する桜島線は、大阪環状線の盲腸線的な存在となっているが、実は桜島線は大阪環状線よりも歴史が古く、その前身である西成鉄道は大阪ー当駅間で敷設されたものである。

 

改札内コンコースから、ユニバーサルシティ・桜島方面を望む。

当駅は当初西成鉄道の終着駅として開業したが、その7年後の1905年（明治38年）に現・桜島駅の前身にあたる天保山駅開業により、途中駅となった。

 

上の写真の場所から目を左に転じると、南側に併設された大貨物駅の姿を見ることが出来る。

その貨物駅の向こう側には、駅名の由来となった安治川と同川に架かる天保山大橋の雄大な姿も見渡せる。

 

 

貨物駅が併設されているため、普段はなかなかじっくり見ることが出来ない、「桃太郎」の愛称で親しまれているEF210形電気機関車や、日本初のハイブリッドディーゼル機関車であるHD300形の姿も堪能することが出来た。

 

時刻表

JRゆめ咲線：西九条・大阪・京橋方面

桜島線はUSJ開業を機に「JRゆめ咲線」の愛称が付けられ、以降旅客案内ではほとんどその名称が使用されている。

出身母体である大阪環状線とは一体運用されており、朝夕時間帯を中心に西九条から大阪・京橋・天王寺方面への乗り入れが行われており、旧・西成線の運行ルートが踏襲された格好となっている。

 

JRゆめ咲線：桜島方面

反対の西行きは全列車終点の桜島まで向かうが、ほとんどの人がUSJ最寄駅である次のユニバーサルシティで下車していく。

 

乗り場

ホームは敷地北端にある島式１面２線の構造となっている。

 

 

桜島線時代は工業地帯を走行する哀愁感溢れるローカル線の雰囲気であった。

しかし、USJ開業を機にJRゆめ咲線に改称されてからは、USJへのアクセス路線としてイメージが一新され、車両もUSJ関係のラッピング車が多数運行されている。

 

 

旧・西成鉄道の終着駅として開業した当駅だが、開業から１年間の旅客輸送は大阪駅ではなく、一つ手前の福島駅までであったらしい。

 

ホーム東端から西九条方面を望む。

1982年（昭和57年）まではこの踏切の向こう側から、左（北）に折れる貨物支線が存在し、先ほどの産土神社の西側を通って大阪北港駅方面に向かって線路が伸びていた。

 

貨物駅が併設されているため、１面２線のホームながら気持ちの良い開放感が味わえる。

当駅を開業させた旧・西成鉄道は、その後国有化されて国鉄西成線は、高度成長期の大阪環状線開通を機に、西九条から西側が分離された桜島線（現・JRゆめ咲線）となった。

 

USJラッピング仕様の201系ユニバーサルシティ方面・桜島行きが２番乗り場にやってきた。

USJ開業によって昼間は閑散とした工業地帯のローカル線から、USJへのアクセス線へと大変貌を遂げたことにより、終日賑わいを見せるようになった。

 

その２番のりばホームから貨物駅方向を望む。

当駅は大阪近郊の貨物駅の中では近代的な設備を持つ機能的な駅らしく、佐川急便と共同開発した東京ー当駅間の高速貨物列車「スーパーレールカーゴ」が１日１便運行されている。

 

 

かつては、写真右側（駅北側）に隣接していた汽車製造会社（現・新大阪郵便局の場所）や住友金属製鋼所への専用線が敷かれていた時代もあり、大工業地帯の中核駅としてその栄華を誇っていた。

 

 

今度は１番のりばに、これもUSJラッピングの201系電車が、線内折り返しの西九条行きとしてやってきた。

旧・西成線から分離された桜島線（現・JRゆめ咲線）は、全長4.1kmとJR西日本管内では最も短い路線となっている。

 

今度は同じラッピングの201系が西隣のユニバーサルシティ駅に向けて発車。

現在はここから高架を駆け上がっていくが、USJ開業までは前方に見える高層マンションを突き抜けて、USJの敷地のど真ん中を通るルートを走行していたが、開業に合わせて南に移設された。

 

在来線は右側の高架線を登っていくが、貨物線の駅は左側の地上線にまだ続いており、終点はユニバーサルシティ駅付近まで伸びている。。

 

えきログちゃんねる

[JRゆめ咲線安治川口駅]201系普通桜島行き入線風景201605

 

[JRゆめ咲線安治川口駅]普通西九条行き接近放送201605

 

[JRゆめ咲線安治川口駅]201系普通桜島行き発車風景201605