明智光秀と羽柴秀吉との「山崎の戦い」の舞台となった「天下分け目の天王山」ふもとに位置する、JR京都線(東海道本線)の島式2面4線の地上駅。
ホームが京都府と大阪府の府境を跨ぐという珍しい立地にあり、通称・サントリーカーブと呼ばれる「鉄道撮影のメッカ」としても有名で、ファンのみならずとも興奮必至の鉄道風景が楽しめる。
また駅周辺は、大阪と京都を結ぶ大動脈であるJR京都線沿線とは思えない自然豊かな癒しの情景が拡がっており、天王山からの大眺望のみならず、豊富な観光資源を抱える魅力的な周辺環境を有している。
目次
外観・駅周辺
【製油発祥の地・阪急大山崎駅方面の駅南側】
大阪府島本町と京都府大山崎町の府境に位置するJR山崎駅。
駅名が「やまざき」だからか、駅前にあるコンビニは他でもない「デイリーヤマザキ」が堂々と君臨している。
大阪・京都間を結ぶ大動脈であるJR京都線(東海道本線)沿線の駅とは思えない、のどかな感じが魅力的な駅前だ。
その駅前広場の東端には、日本最古の茶室でありかつ千利休作と信じ得る唯一現存の茶室である国宝・待庵(たいあん)擁する仏教寺院・妙喜庵が居を構え、、、
その駅前広場から南に下った西国街道との交差点北西角には、、、
離宮天満宮が控えるという、歴史の重みを感じさせる周辺環境となっている。
当宮は伊勢神宮と並ぶ二所宗廟でもある国宝・石清水八幡宮の元社にあたり、その名の通り八幡大神を祭神とする由緒ある神社である。
さらにこの離宮八幡宮は、貞観年間(859年-877年)に当社の神官によって発明された搾油器によってエゴマ油の製造が始まったことから、日本における製油発祥の地としても知られている。
その後、朝廷より「油祖」の名を賜った当社は「大山崎油座」として油の独占販売権を獲得し、中世日本最大規模の油座として栄華を誇り、一時は「西の日光」と呼ばれるほどの壮大な社殿を構えていたらしい。
その離宮八幡宮面する西国街道を東に200mほど進むと、京都府大山崎町の代表駅である阪急大山崎駅にたどり着く。
JR山崎駅と阪急大山崎駅は、大阪・京都間においてJRと阪急が最も近接している駅である。
【天下分け目の天王山聳える駅北側】
そして、山崎駅最大の醍醐味は、駅北側に聳える「山」にある。
駅前広場北東から駅東側の踏切を渡って北上すると、、、
「天王山」への登り口が見える。
この「天王山」とは何を隠そう、織田信長を討った明智光秀とその敵討ちを果たそうとする羽柴秀吉との「山崎の戦い」で有名な、あの「天下分け目の天王山」である。
その登り口からは、ありえないくらい急な坂道を登らされる。
ちょっと登っただけで、石清水八幡宮が鎮座する男山の展望が開けるくらいの急な上り坂。その男山と天王山で形成された地峡である当地は、古くから交通・軍事上の要地であった。
その登り坂を300mほど登ると、724年(神亀元年)に聖武天皇の勅命を受けた行基が建立したとされる真言宗智山派の寺院である宝積寺(ほうしゃくじ)にたどり着く。
上の写真の山門から後ろを振り返ると、このような絶景が堪能できる。
当寺院は、聖武天皇が夢で龍神から授けられたという「打出」と「小槌」を祀っていることから、通称「宝寺」の別名があり、「大黒天宝寺」として商売繁盛のお寺としても知られている。
これが1604年(慶長9年)に建立された重要文化財・三重塔。
「秀吉一夜之塔」とも呼ばれ、「山崎の戦い」で亡くなった人を弔うために一夜で建立したという逸話も残されている。
この宝積寺は、天王山が舞台となった「山崎の戦い」における秀吉の本陣となった場所でもある。
そして、上の写真の階段を登って本堂に上がる。重要文化財である「木造十一面観音立像」が本尊された入母屋造の本堂は、京都府の登録文化財に指定されている。
その本堂の左奥にある「小槌堂」には、大黒天と共に「打出」と「小槌」が祀られている。
そして、本堂と小槌堂の間には、この地に本陣を構えた秀吉が腰かけたとされる「出世石」も拝めるという、見どころ満載の寺院となっている。
そして、本堂の右奥からは天王山頂上に向かう山道が伸びている。中年の私の足はここで燃え尽きてしまったが、是非頂上からの絶景を生で味わってほしい。
改札口・コンコース
当駅は1876年(明治9年)に官設鉄道(東海道本線)の向日町ー高槻間の新駅として開業した歴史ある駅だが、この味のある木造平屋建ての駅舎は、1927年(昭和2年)に竣工されたものだ。
改札口は、その木造駅舎に1か所ある。
2008年(平成20年)に島本駅が出来るまでは、長きに渡って当駅ー高槻駅間はJR京都線で最長の駅間距離を誇っていた。
当駅の利用客数は1日約11000人。大山崎町の代表駅の座は阪急大山崎駅に譲るも、利用客数では同駅を上回っている。
大阪・京都間の大動脈にある駅とは思えない、癒しの雰囲気満載の魅力的なコンコースとなっている。
時刻表
JR京都線:大阪・三ノ宮方面
大阪方面行きは、高槻以西快速運転されるクロスシート3扉車と、終点まで各駅に止まる普通電車が毎時4本ずつ運行される。
競合の阪急大山崎駅との比較では、大阪・梅田まではJRの方が圧倒的な速さを誇る。昼間時間帯は3扉の快速のみの運転となる時間帯がある。
乗り場
ホームは島式2面4線。線形抜群のJR京都線にしては珍しくカーブ上に位置する駅である。
ホーム東端から長岡京・京都方面を望む。このカーブの存在こそが、当地を一大撮影スポットの地位に君臨させており、、、
駅北西側からは、カーブをしなって外側線を通過する223系新快速電車や、、、
内側線を走る普通電車の姿を間近で見ることが出来る。
JR西日本の基幹路線であることを示すコーポレートカラー仕様の駅票。大都会と豊かな自然の両方を満喫できるのがJR京都線の魅力の一つだ。
そして、当駅にはちょっとしたトリビアが存在し、駅舎含むホーム東寄りは京都府大山崎町なのだが、、、
ホーム中央やや西側から越境し、大阪府島本町に入る。
当駅はホーム上が府境になっているという珍しい駅であり、大阪方面行きホームには、府境を示す標識が掲げられている。
駅南側には、競合の阪急大山崎駅が肉眼ではっきりと確認できる。
ホームが府境にあるため、大阪府島本町民の利用も多い当駅だが、隣の島本駅開業により、一部利用客は同駅に流れている模様だ。
日本初のモルトウイスキー蒸留所として知られるサントリー山崎蒸留所は、当駅が最寄り駅だ。
但し、サントリーオールドのCMで使われているメロディは、隣の島本駅の接近メロディとして使用されている。
内側2番のりばに、高槻から快速となる223系普通姫路方面網干行きがやってきた。
当駅は内側線にしか電車が停車しないため、ホームの外側線側は柵で閉鎖されている。
その外側線のさらに外側にある側線に、289系の特急電車がおもむろに停車したが、その理由は、、、
外側線を通過する新快速を待ち合わせるためだった。そして、内側線には新快速に追い抜かれたばかりの223系普通電車が停車した。
その側線のさらに外側にも2本線路が並んでいるが、これはかつて存在した貨物施設があった場所のようだ。
ホーム西端より中央方向を望む。12両対応の長いホームだが、屋根は中央の短い部分にのみかけられている。
今度の普通姫路方面網干行きは、221系でやってきた。私鉄王国関西の地にJRが攻勢をかける先駆けとなった快適3扉転換クロスシート車だ。
向かい側の3番のりばには、223系の普通京都方面野洲行きが長い12両編成で到着。
そして、ホーム西端から島本・大阪方面のまっすぐの方向に見えるのが、サントリー山崎蒸留所。
その蒸留所付近から左に折れるカーブは、通称・サントリーカーブと呼ばれる鉄道写真撮影のメッカとなっている場所だ。
そのサントリーカーブを抜けた683系の特急サンダーバード号が、外側線を減速して通過していった。
えきログちゃんねる
[JR山崎駅・サントリーカーブ]223系新快速京都方面行き通過風景201602
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