大阪万博の開催地であった万博記念公園擁する千里丘陵の南東麓に位置し、大阪府摂津市最多の利用客数を誇る、JR京都線(東海道本線)の2面4線の地上駅。
その位置関係から、1970年(昭和45年)開催の国鉄側の大阪万博最寄り駅としての再開発候補となるも、隣の茨木駅に敗れたことで、再開発が10年遅れるという悲運の歴史を有する。
しかし、その後の再開発で整備された駅前は摂津市の代表駅にふさわしい風格を備え、2010年(平成22年)に開業した阪急摂津市駅の影響等で利用客数が減少傾向にあるものの、跨線橋からの開放的な眺望やホーム西側の貨物線を走行する往年の電気機関車の光景も堪能できる魅力的な駅となっている。
外観・駅周辺
千里ニュータウンや万博記念公園擁する千里丘陵の南東麓に位置するJR千里丘駅。その東口を望む。
駅名に「丘」が付くが高台には無く、千里丘陵から南東に外れた麓の平地に位置している。
当駅は、1938年(昭和13年)に茨木ー吹田操車場(現:岸辺駅隣に位置する吹田貨物ターミナル駅)間に開業した駅である。
1983年(昭和58年)に橋上化された駅舎。
本来は万博記念公園擁する千里丘陵南東麓にある位置関係から、国鉄(現・JR)における大阪万博の最寄駅として1970年(昭和45年)に再開発が行われる予定だったが、より近距離にある隣の茨木駅に敗れてしまい、再開発が10年以上遅れることとなった。
当駅は大阪府摂津市に最北端に位置しており、駅のすぐ南側を通るアンダーパスを西に抜けると、隣に吹田市域に入る。
上の写真の場所から東方向を望む。2010年(平成22年)に開業したばかりの競合となる新駅・阪急摂津市駅はここから500mほどの距離にある。
このアンダーパスは「産業道路」と呼ばれ、以前は交互信号を有する片道1車線の狭隘道路であったが、2009年(平成21年)より2車線通行が可能となった。
そして、東口再開発の象徴として堂々と君臨するのが、阪急百貨店系のスーパー「阪急オアシス」が入居フォルテ摂津。
1992年(平成4年)に開業し、千里丘駅とは屋根付きのペデストリアンデッキで連絡している。
そして、産業道路を南下してところの少し奥まった場所にある勝久寺。
1580年(天正8年)に織田信長の焼き討ちにあって、多数の門徒衆が命を落とした場所であり、寺の前を流れる境川が血の色に染まったことから「流れの馬場」と呼ばれるようになった。
さらに産業道路を南下すると、2010年(平成22年)に開業したばかりの阪急京都線の新駅・摂津市駅にたどり着く。千里丘駅からは約500mほどの距離にある。
摂津市駅は、元々重電8社の一角であるダイヘンの摂津事業所跡地に位置し、摂津市が進める「南千里丘まちづくり構想」の目玉事業として開業した新駅。
日本初の「カーボン・ニュートラル・ステーション」であり、CO2実質排出量ゼロにするための様々なエコ技術が結集され、シンプルながら時代の要請に沿った新しいコンセプトの駅舎となっている。
一方、こちらは駅西口。駅舎は橋上化されたが、道路等の区画は当駅開業当時の状況が続いており、今後再開発が行われることになるらしい。
その橋上駅舎から駅北西方向を望む。こちらも駅から徒歩数分で吹田市域に入り、駅西口の利用客のほとんどは吹田市民と推察される。
改札口・コンコース
駅東口にあるこの立派な連絡通路は、1992年(平成4年)のフォルテ摂津開業時に設置された。
その連絡通路を駅側より望む。この連絡通路のおかげで、摂津市に代表駅にふさわしい風格が備わった。
今度はその連絡通路から、駅南東側を望む。
ペデストリアンデッキが交通量激しい産業道路を跨ぐ形で伸びており、歩行者にもやさしい設計となっている。
今度は、駅北東側を望む。実はここから北東方向に徒歩数分進むと、茨木市域に入る。
当駅の利用客数は1日約4万人と、摂津市最多の利用客数を誇る駅だが、駅の位置関係上隣の吹田市・茨木市からの利用も多い。
改札口は橋上駅舎の東口に近い場所に1か所ある。
ホーム西側を貨物線の線路が通る関係で、全長110mに及ぶ岸辺駅ほどではないものの、東西に長い跨線橋を有している。
その跨線橋からは、貨物列車の走行風景も楽しむことが出来る。
上の写真の場所から今度は反対の南方向を望む。この長大な貨物線が、隣に岸辺駅に隣接する吹田貨物ターミナル駅につながる。
改良工事によって広く綺麗に整備されたコンコース。1日4万人の需要を捌くのに充分な広さに拡張された。
その改札内コンコースから改札口方向を望む。
かつては1日5万人を超える利用客するを誇っていたが、大阪モノレール宇野辺駅や阪急摂津市駅開業等の影響により約1万人減少している。
今度は、コンコースから跨線橋方向を望む。JR岸辺駅の大跨線橋よりは短いが、跨線橋としての歴史は当駅の方が圧倒的に長い。
そして、その改札内コンコースから北方向を望むと、ホームを行き交う電車の姿も堪能できる絶景スポットとなっている。
時刻表
JR京都線:高槻・京都方面
当駅は優等が一切停車しない駅となっており、4扉のロングシート普通車が、日中毎時8本運行されている。
原則は京都行きと高槻行きが交互に運行されるが、昼間一部時間帯はすべて高槻どまりとなるため、京都方面に向かうには高槻での乗り換えを要する。
JR京都線:大阪・三ノ宮方面
大阪方面行きも同様に、4扉普通電車が日中毎時8本、JR神戸線の須磨・西明石方面行きと、JR宝塚線の新三田行きが交互に運行されている。
競合となる阪急摂津市駅との比較では、本数はJRが2本多く、所要時間は大阪・梅田まで阪急普通が27分に対し、JR普通は13分と圧倒的な差となっている。
乗り場
ホームは島式2面4線だが、外側線は通過列車専用で柵で閉鎖されているため、実質的には相対式2面2線構造となっている。
ホーム西側には貨物線が走っており、貨物列車や休憩を取る電気機関車の光景も見ることが出来る。
かつてブルートレイン牽引の代表格であったEF65形電気機関車も、ブルートレインが60年の歴史に終止符を打った今、貨物列車として余生を送っている。
外側1番のりばを通過する281系関空特急はるか号京都行き。
京都方面行きは在来線と同じ線路を走るが、関西空港方面行きは新大阪から梅田貨物線に入るため、1番のりばの一つ西側の貨物線を走行する。
ちなみに、現在は「せんり」と呼ばれる当地域だが、元々は「ちさと」と呼ばれており、駅西側にある吹田市域は吹田市への合併前は「千里村(ちさとむら)」と称されていたらしい。
バリアフリー対応のため、2015年(平成27年)にホームと電車の段差をなくすための嵩上げ工事が実施された。
ホーム南端から、岸辺・大阪方面を望む。ただでさえ複々線の開放的な眺望が魅力のJR京都線だが、貨物線が併設されていることで、さらに開放度が増している。
その開放感あふれる地平線の彼方から、207系普通高槻行きがやってきた。
そして、2番のりばを爆速通過する221系快速電車。朝ラッシュ時以外の快速は、通過運転を行う区間でも内側線を走行する。
そして、向かいの3番のりばには、207系の普通・宝塚方面新三田行きがやってきた。
尼崎からJR宝塚線に乗り入れるため、種別幕のラインが同線のラインカラーである黄色になっている。
そして、その普通電車の後を、223系快速電車が爆速で追いかけ、大阪駅で追いついて緩急接続を行う。
昼間時間帯の京都方面行きは、すべて高槻どまりとなるため、同駅での乗り換えが必要となる。
3番のりばにやってきた207系普通須磨行き。こちらは終点まで東海道本線を走行するため、種別幕のラインカラーは青のままだ。
通常は西明石行きだが、昼間時間帯は利用状況を反映して須磨止まりとなっている。
駅西側の線路沿いにはマンションが立ち並ぶ。こちらはギリギリ摂津市域だが、、、
ホーム端から茨木・京都方面を望むと、当駅から北東に数百メートル進むとすぐに茨木市域に入り、、、
貨物線と在来線が立体交差する撮影スポットで、開かずの踏切としても有名な蔵垣内踏切の姿が肉眼で確認することが出来る。
えきログちゃんねる
[JR京都線千里丘駅]橋上コンコースから眺める普通電車離合の絶景201602
2番のりばから321系高槻行きが発車後、3番のりばに207系新三田行きが入線してきます。
[JR京都線]千里丘駅207系普通電車同士の離合風景201602
茨木駅寄りにある蔵垣内踏切付近で207系の普通電車同士が離合するただの日常風景です。
[JR京都線千里丘駅]内側線を爆速で通過する223系快速電車201602
[JR京都線千里丘駅]地平線の彼方からやってくる207系普通高槻行き201602