残念ながら2016年(平成28年)1月末をもって廃止となる阪堺住吉公園駅に隣接する、南海本線の2面4線の高架駅。
同駅より1年早く開業した歴史ある駅で、長らく阪堺と同じ「住吉公園駅」を名乗ったが、阪堺が南海から分社化される1年前の1979年(昭和54年)に現駅名に改称。
駅東側に徒歩すぐの全国初詣ランキングトップ10常連の住吉大社へのアクセス駅であることを意識した朱塗りのホームが印象的で、見晴しの良い複々線を行き交う電車の姿も堪能できる駅となっている。
目次
外観・駅周辺
阪堺上町線・住吉公園駅の真横に隣接する南海住吉大社駅。
その阪堺住吉公園駅は、100年超の歴史を有し近畿の駅百選にも選定された名門駅の一つだ。
かつては南海・阪堺両駅が地上で横並びに並んでいたが、南海の駅は1980年(昭和55年)に高架化された。
阪堺住吉公園駅からは、1日約200本もの列車の発着があったものの、2014年3月のダイヤ改正で、平日1日5本、土休日4本のみに大減便されるという格下げの憂き目にあう。
そして、2016年(平成28年)1月末をもって、住吉公園ー住吉間の廃止が決まり、残念ながら100年超の歴史に幕を閉じることとなった。
写真奥には1日数本だけ発着していた住吉電停4番のりばが見えるが、それも1月末をもって廃止となる。
駅西側は、浜寺公園と共に1873年に府営公園として指定された、大阪で最も歴史のある住吉公園の入り口となっている。
全国2300社ある住吉神社の総本社・住吉大社
駅東側すぐのところを走る紀州街道上を走る阪堺線の住吉鳥居前電停。
文字通り住吉大社の門前にある電停で、廃止となる住吉公園駅からは徒歩で1分とかからず、南海住吉大社駅の高架駅もはっきりと確認できる。
上の写真を後ろに振り替えると、全国2300社ある住吉神社の総本社である住吉大社の一の鳥居が堂々と待ち構えている。
本殿入り口付近から一の鳥居方向を望む。「すみよっさん」とも呼ばれる当社には、毎年200万人もの人が初詣に訪れ、全国初詣客ランキングトップ10の常連となっている。
住吉の象徴とも言われる反橋(そりはし)、通称太鼓橋。慶長年間に豊臣秀吉の側室として有名な淀君によって奉納されたと言われている。
その太鼓橋を横から眺める。
橋が反っているのは、地上の人の国と天上の神の国とをつなぐ架け橋として虹にたとえられており、本殿に入って神様とお会いする前に罪や穢れを祓い清める意味合いがあるらしい。
その太鼓橋を渡った先にある角鳥居。四角柱の鳥居であることからついた名称で、鳥居としては大変珍しい様式らしい。
その各鳥居をくぐった先にある本殿。
第一本宮から第四本宮にいたる本殿は「住吉造」と呼ばれ、国宝にも指定された、神社建築史上最古の様式の一つである。
改札口・コンコース
現在は住吉大社駅を名乗る当駅だが、1979年(昭和54年)までは廃止となる阪堺の駅と同じ住吉公園駅を名乗っていた。
その住吉大社駅1階にあるショップ南海住吉。通路は石畳仕様となっており、住吉大社の門前町を意識した空間設計となっている。
そのショップ南海住吉を抜けた先の階段を上った2階に1か所ある改札口。
普段は1日約9000人程度の利用客数だが、正月三が日は殺人的な混み具合となるようだ。
改札内コンコースも三が日対応のためか、優等の止まらない駅にしては広く設計されている。
時刻表
南海本線・空港線:和歌山市・関西空港・なんば方面
普段はなんばー和歌山市間通しの普通車が、日中15分間隔で運行されているが、正月三が日は初詣客輸送のため、空港急行及び区間急行が臨時停車する。
乗り場
ホームは島式2面4線の構造。
かつては、隣接する阪堺の駅と同じ住吉公園駅を名乗っていたが、阪堺が南海から分社化される1年前の1979年(昭和54年)に現駅名に改称された。
【1・2番線】南海本線・空港線:和歌山市・関西空港方面
当駅の開業は何と明治時代の1912年(明治45年)。廃止となる阪堺住吉公園駅より1年先に開業している。
ホームの柱や柵は、住吉大社の最寄駅ということで神社を意識した朱塗りが特徴となっている。
1・2番線ホームから北東方向を望む。まもなく廃止となる阪堺上町線の住吉公園ー住吉間の線路が見える。
当駅は南海本線の複々線区間内にあり、600mしか離れていない隣の粉浜駅の姿が肉眼ではっきりと確認できる。
和歌山市・関西空港方面は外側が緩行線となっており、普通車は1番線に停車する。写真は新型車両の8000系だ。
そして、見晴し抜群の複々線の内側・急行線を通過する電車の光景が堪能できるのも当駅の醍醐味。
まずは、50000系特急ラピート・関西空港行きが爆速で通過。
それに3000系の空港急行・関西空港行きが続く。空港急行は普段は当駅を通過するが、三が日は臨時停車する。
おそらくこれが、正月三が日のみ開かれる臨時改札口につながる階段。内側2番線の臨時ホームの鎖と共に普段は閉鎖されている。
ホーム端から、住ノ江・堺方面を望む。ここから線路はやや西にカーブし、この素晴らしい眺望の複々線は次の住ノ江駅で終わる。
【3・4番線】南海本線:なんば方面
なんば方面ホームは外側線が急行線となっており、正月三が日以外は電車が止まらないので、柵と鎖で閉鎖されている。
ホーム北端から粉浜・天下茶屋方面を望む。まっすぐ伸びる複々線が美しい。
駅北西側には、隣の粉浜駅から続く粉浜商店街の入り口が見える。大正時代に発足し、約120もの商店が集まる歴史ある商店街だ。
そして、駅西側に広がる住吉公園の眺望も、ホームから堪能できる。
2・4番線は正月のみ使われる臨時ホームだが、自動放送設備がないため、接近や通過の放送は、写真左側にある放送室で駅員の肉声によって行われるらしい。
その内側3番線に到着した7100系普通車なんば行き。高野線のホームのみが存在する萩ノ茶屋・今宮戎は通過するため、「各駅停車」ではなく「普通車」となっている。
かつて高野線の大運転で活躍した2000系ズームカー。同運転が大幅減便となったため、現在は南海本線の普通車として活躍している。
そして、外側4番線を1000系空港急行なんば行きが爆速で通過していった。
えきログちゃんねる
[南海住吉大社駅]複々線を通過する50000系特急ラピート関西空港行き201601
[南海住吉大社駅通過風景]泉北高速から譲渡された3000系空港急行関西空港行き201601
[南海住吉大社駅]南海線普通車に活躍の場を求める旧高野線ズームカー2000系201601
高野線の大運転で活躍したズームカーは、大運転が大減便された今では南海本線の普通車に活躍の場を求めています。
[南海住吉大社駅]7100系普通車なんば行き・隣の粉浜駅到着まで肉眼ではっきりとわかります201601
わずか600mしかない隣の粉浜駅までの到着模様が肉眼ではっきりと確認できます。