「方除の神様」として知られ、開業当時の駅名でもあった城南宮の最寄駅である、京都地下鉄烏丸線と近鉄京都線の2面4線の地上駅。
昭和初期に開業し長らく近鉄単独の優等通過駅であったが、1988年(昭和63年)の地下鉄烏丸線の乗り入れを機に京都地下鉄管理の駅に移行し、併せて急行停車駅への昇格を果たす。
駅北側で展開される京都地下鉄の大車両基地や地下鉄・近鉄両線のダイナミックな立体交差に加え、京都地下鉄管理の駅ながら、当駅でしか見られない駅票や地下鉄・近鉄双方仕様の構内放送も堪能できる魅力満載の駅となっている。
目次
外観・駅周辺
【旧駅名である城南宮方面の駅西側】
京都地下鉄烏丸線と近鉄京都線との接続駅である竹田駅。その西口を望む。
当駅は1928年(昭和3年)の開業から約12年の間「城南宮前駅」を名乗っていた。
当駅は真上を名神高速道路が通っており、200m先はその名神高速と阪神高速8号京都線が直交しており、その1キロほど先には名神高速の京都南インターへと繋がる道路交通の要衝となっている。
そして、駅の真下は京都府道68号南インター竹田線が走っており、このまま東に進めば、師団街道と交差する藤ノ森交差点に繋がる。
その府道68号を200m西に進んだ、名神高速と阪神高速の高架直交地点の下を南北に走る油小路通を南に進むと、、、
油小路通の西沿いに城南離宮の道標があり、ここから西方向が城南宮への参道である城南宮道となっている。
その城南宮道を西に300mほど進むと、有栖川宮幟仁(たかひと)親王が染筆したとされる扁額を持つ東の鳥居にたどり着く。
城南宮は平安遷都の794年(延暦13年)頃に創建されたと言われる歴史ある神社だが、元々は真幡寸神社(まはたきじんじゃ)と呼ばれ、当初の鎮座場所は当地ではなく、京阪墨染駅・JR藤森駅近くの藤森神社の場所であったらしい。
この朱色が美しく形状が独特の鳥居は城南宮鳥居を呼ばれている。
元々は現・藤森神社の地にあった当社だが、伏見稲荷の地にあった藤森神社が現位置に遷座されたため、その玉突きで真幡寸神社も当地に遷座されたという、非常に興味深いトリビアが残されている。
その城南宮鳥居をくぐった先にある拝殿。
そして、平安遷都の際に平安京の南にあったことから「城南神」と呼ばれ、その後京都御所の裏鬼門を守る神となったことから、方除けや厄除けの神としても信仰されるようになったらしい。
方除の神に加え、当社は社殿を取り巻く約1万坪の広大な神苑を有し、「源氏物語」に登場するほぼ全ての植物を鑑賞できることから「源氏物語 花の庭」と称され、多くの観光客を惹きつけている。
当社西側の大通り・国道1号に面する西の鳥居。
城南宮は、平安時代に白河上皇や鳥羽上皇の院政の拠点となっただけでなく、幕末の鳥羽伏見の戦いの舞台となった場所でもあり、歴史の表舞台に度々登場する神社である。
【名神深草バスストップ・京阪藤森駅方面の駅東側】
こちらは駅東口。平日昼間のせいか、高速道路が間近にあるからかはわからないが、京都地下鉄と近鉄が接続する重要駅でありながら、不思議な静寂と無機質感が漂っている。
当駅は1928(昭和3年)に開業した歴史ある駅だが、駅の真上に名神高速道路が出来たのは1963年(昭和38年)。
日本初の高速国道の建設に沸いたが、当時に周辺の景観も激変させた。
近鉄の駅であるため近鉄バスも乗り入れている竹田駅東口から、名神高速道路に沿って東に1キロほど進み、、、
名神高速道路沿いにある怪しげな階段を登ると、、、
何とこれが名神深草バスストップの入り口となっている。ちょっとした秘境感を漂わせており、このレトロ感のある扉を開けて中に進入すると、、、
名神高速道路脇にある深草バスストップに出る。
実はこのバス停の最寄駅は京阪藤森駅。藤森駅が最寄りなのに、なぜか同駅の北隣の駅名である「深草」となっているのが何とも京都らしいが、駅から500mほどの距離にあるため、利用客は多いらしい。
その深草バス停からさらに東に500mほど進むと、、
京阪本線藤森駅の西口にたどり着く。この駅も頭上を名神高速が走っているが、駅東側は国の史跡にも指定された琵琶湖疎水の美しい情景が堪能できる。
改札口・コンコース
当駅は京都地下鉄と近鉄の共同使用駅だが、京都地下鉄管理の駅となっているため、駅設備は基本的に京都地下鉄仕様となっている。
しかし、当駅は近鉄京都線の前身である奈良電気鉄道が1928年(昭和3年)に開業させており、京都地下鉄が乗り入れる1988年(昭和63年)までの実に60年間は近鉄単独の駅であった。
しかも、開業から1940年(昭和15年)までの約12年間は、竹田駅ではなく「城南宮前駅」を名乗っていたというトリビアも残されている。
1988年(昭和63年)より京都地下鉄・近鉄の共同使用駅となった当駅は、外側線を近鉄電車が、、、
そして、内側線を京都地下鉄が走行するようになった。そして、駅北西側には京都地下鉄の竹田車両基地の姿を見ることが出来る。
近鉄京都線は外側2線を走行し、地下に入る京都地下鉄を跨いで西方向に向かっていく。
改札内コンコースから改札口方向を望む。
当駅は京都地下鉄烏丸線の終点だが、近鉄京都線としては途中駅となっており、途中駅のみ他社管理となっているのは珍しい例かと思われる。
時刻表
近鉄京都線:新田辺・西大寺・近鉄奈良方面
有料特急以外の全列車が停車する当駅は、日中は1時間当たり急行4本、普通6本が運行されている。
うち急行1本(近鉄奈良行き)・普通2本(新田辺行き)は京都地下鉄烏丸線からの乗入れとなっており、京都駅発は急行3本・普通4本となっている。
写真は1番のりばに掲げられている近鉄仕様の時刻表だが、烏丸線から乗り入れる2番のりばから発車する電車は網掛けで表記されている。
そして、興味深いのが、この2番のりばに掲げられている京都地下鉄仕様の時刻表。
京都地下鉄はのりば単位で時刻表が作成されているのが特徴的で、この時刻表は烏丸線から乗り入れる2番のりばから発車する電車のみが記載されている。
京都地下鉄烏丸線:京都・四条・国際会館方面
当駅から京都地下鉄烏丸線に入る電車は、全列車国際会館行きだが、うち日中毎時3本は近鉄京都線から乗り入れる電車となっている。
近鉄京都線:東寺・京都方面
当駅から近鉄京都駅に向かう電車は、日中1時間あたり急行3本と普通が4本の計7本体制。
当駅ー京都間は京都地下鉄烏丸線とほぼ並走しており、両線合わせると毎時15本の高頻度体制となっている。
なお、京都駅へは近鉄利用の方が運賃が安いため、京都地下鉄では当駅出発前に誤乗防止のアナウンスがなされる。
乗り場
ホームは島式2面4線の構造。
当駅は長らく近鉄の単独駅であったが、1988年(昭和63年)の京都地下鉄烏丸線の乗入れ以降、京都地下鉄管理の駅となったため、烏丸線の電車が走行する内側の2・3番のりばの駅票は京都地下鉄仕様となっている。
一方、近鉄京都線の電車が走行する外側線の1・4番のりばの駅票は、京都地下鉄のデザインを基本としながらも近鉄色も織り交ぜた仕様となっている。
このデザインの駅票は当駅でしか見ることのできない貴重な存在である。
【1・2番のりば】近鉄京都線:新田辺・西大寺・近鉄奈良方面
近鉄京都駅からの電車が発着する1番のりばと京都地下鉄烏丸線からの電車が発着する2番のりば。
京都地下鉄のデザインの準じているが、番線案内板の色と表記内容が微妙に異なるのが特徴となっている。
近鉄京都駅からの電車が発着する1番乗り場の発車案内板は、近鉄仕様のパタパタ式(ソラリー式)となっており、、、
京都地下鉄烏丸線からの電車が発着する2番乗り場の発車案内板は、同線仕様の電光掲示板となっている。
当駅の利用客数は、1日約3万人。京都市最大の人口を誇る伏見区内では丹波橋駅に次ぐ利用客数を誇る。
1番のりばに、近鉄京都駅始発の1020系の橿原神宮前行き・各駅停車が到着した。近鉄京都線の普通は短い4両編成で運行される。
そして、京都地下鉄烏丸線からやってくる電車は、内側の2番乗り場にやってくる。日中毎時8本のうち5本は当駅止まりとなっている。
京都地下鉄の車両は顔立ちが異なるものの、系統は全て10系となっている。
地下鉄烏丸線からの電車のうち、日中毎時2本は当駅から先の近鉄京都線に乗り入れる普通・新田辺行きとなっており、、、
「次の停車駅は伏見」という、当駅でしか見られない独特の案内が表記される。
その京都市交10系の普通・新田辺行きが2番のりばにやってきた。
当駅止まりの電車は前面幕は「竹田」表記のみだが、当駅以南の近鉄京都線に乗り入れる電車は前面幕に種別が記載され、構内放送でも種別が案内される。
外側1番のりばに、近鉄京都駅始発の8000系天理行き急行が6両編成で到着した。
天理行きの急行は、朝夕時間帯に毎時1本程度運行されている。
その天理行き急行の近鉄車と、内側線の京都市交10系との並び。
当駅は長らく優等通過駅であったが、地下鉄烏丸線乗り入れを機に、急行停車駅へと昇格した。
今度の外側1番乗り場には、ほぼ終日に渡って毎時2本運行されている、1220系の橿原神宮前行き・急行が到着した。
当駅は京都地下鉄管理の駅だが、外側線の近鉄線ホームの構内放送は、近鉄仕様となっている。
【3・4番のりば】京都地下鉄烏丸線:京都・四条・国際会館方面/近鉄京都線:東寺・京都方面
当駅から近鉄京都駅に向かう電車が発着する外側4番のりばと、京都地下鉄烏丸線かに入る電車が発着する2番のりば。
こちらは行先が明らかに異なるため、表記もしっかり異なっている。
外側4番のりばは、近鉄京都線のホームだが、同線は1963年(昭和38年)までは奈良電気鉄道の路線であった。
奈良電気鉄道は近鉄と京阪が3分の1ずつ株を保有している状態だったが、京都進出を目的とした近鉄の買い占めの応じる形で、京阪が手を引くこととなった。
駅南側には、当駅で折り返す地下鉄烏丸線用の引上げ線が2線設置されており、当駅止まりの電車は、2番のりばで乗客を降ろした後に、一旦同引上げ線に入り、、、
その後、3番のりばに入線してくる。
ホーム南端から伏見方面を望む。
近鉄京都線から地下鉄烏丸線に乗り入れる電車は、引上げ線の外側の近鉄の線路から、内側線の3番のりばに入線してくる。
日中毎時1本運行される、奈良始発の国際会館行き急行は、当駅までは前面幕を「急行・京都国際会館」として運行し、、、
当駅到着後は、幕を回して、、、
当駅始発列車と同じ、種別記載の無い、ただの「国際会館」表記に変更される。
そして、新田辺始発の国際会館行き・各駅停車は、当駅までの前面幕は「普通・国際会館」表記で運行される。
細かいが、新田辺始発の普通の場合は、急行と違って国際会館の前に「京都」の記載は無い。
近鉄京都線の前身であり、京阪との合弁会社であった奈良電気鉄道は、1945年(昭和20年)より約四半世紀の間、現・京阪丹波橋駅から京阪線に乗り入れ、当時の終点・三条駅まで乗り入れを行っていた。
ホーム北端から近鉄線・上鳥羽口、烏丸線・くいな橋方面を望む。
その乗り入れは1968年(昭和43年)に解消され、京都市内中心部へのアクセスルートが途絶えたが、1988年(昭和63年)の地下鉄烏丸線との相互直通運転開始により、京阪への乗入れ解消から約20年ぶりに京都市内中心部へのアクセス権を取り戻している。
えきログちゃんねる
[京都地下鉄・近鉄竹田駅]京都市交10系急行京都国際会館行き入線風景201604
近鉄京都線から地下鉄烏丸線に直通する急行国際会館行きは、竹田駅までは「急行・京都国際会館」の幕表示で運行されます。
[京都地下鉄・近鉄竹田駅]近鉄線・天理行き急行接近放送201604
竹田駅は京都地下鉄管理の駅ですが、近鉄線のりばは近鉄仕様の案内放送が流れます。
[京都地下鉄・近鉄竹田駅]近鉄線・京都行き各駅停車接近放送201604
「京都『へも』この電車が先に到着します」という言い回しが近鉄電車独特です。
[京都地下鉄車内放送]烏丸線国際会館行き(竹田⇒京都)201604
同区間は近鉄京都線との並走区間でかつ地下鉄の方が料金が高いため、近鉄線との誤乗防止のアナウンスが冒頭に流れます。