大阪・京都間のほぼ中間に位置する大阪府高槻市の中心駅である、JR京都線(東海道本線)の島式4面6線の地上駅。
他線との接続の無いJR西日本の駅としては最多の1日約13万人の利用客数を誇り、大阪方面からの普通電車の多くが当駅で折り返す運行上の境界駅ともなっている。
駅北口から徒歩数分の天神山に鎮座する上宮天満宮は、太宰府天満宮に次ぐ日本で二番目に古い「天神さん」として1000年以上の歴史を有する高槻の一大名所である。
これまでは2面4線の駅であり、乗降客数の割に駅のホームが極狭なのが特徴だったが、日本初の実用化となる昇降式ホーム柵を備えた新快速専用の新ホームを新たに設置し、2016年(平成28年)3月より4面6線ホームとなった。
外観・駅周辺
松坂屋擁する古くからの繁華街・南口
大阪市と京都市のちょうど中間に位置する人口35万人を擁する北摂のベッドタウン・高槻市。その中心機能を担うJR高槻駅の南口より駅方向を望む。
駅南口は古くからの高槻の繁華街で、1979年(昭和54年)に開店した名古屋の有力百貨店・松坂屋高槻店が中央に君臨している。
その松坂屋前のペデストリアンデッキから南方向は、高槻市役所方面につながる高槻の目抜き通りだ。
その目抜き通りに面する高槻センター街。
1931年(昭和6年)に「新京町商店街」としてオープンし、「大阪オンリーワン商店街創出事業」にも採択された、大阪を代表する商店街である。
その高槻センター街を東に抜けると、競合となる阪急高槻市駅に出る。
JR高槻駅と阪急高槻市駅の間は距離にして約700m。その間に多数の商店街が形成され、高槻の一大繁華街となっている。
再開発で大変貌を遂げた西武擁する北口
一方、こちらは2005年(平成17年)の再開発で大変貌を遂げた北口。
南口の顔が松坂屋であれば、北口の顔は西武高槻店。松坂屋に先立つこと5年の1974年(昭和49年)に開店。
当時関西では全く無名の西武の出店だったが、直営売場を削って各フロアに専門店を入居させる果敢な試みを行い、モール併設型店舗の先駆け的存在となった。
そして、これが再開発で出来た高さ100mを超える巨大建造物。
1階から6階が商業棟のアクトアモーレ、7階から上がタワーマンション・ローレルスクエア高槻となっている。
北口ペデストリアンデッキから西口方向を望む。商業棟のアクトアモーレには、平和堂が入居。
抜群の立地条件かと思われたが、テナント選定は丸井・十字屋の相次ぐ辞退を受けるという波乱の展開があったようだ。
日本で2番目に古い「天神さん」・上宮天満宮
今度は旧北口バスターミナル方向を望む。通りの奥に何やら鳥居が見えるが、、、
これは通りの突き当たりにある上宮天満宮(じょうぐうてんまんぐう)の一の鳥居。
福岡の太宰府天満宮に次ぐ日本で2番目に古い天満宮で、京都の北野天満宮よりも古いことから「上宮」と冠せられているらしい。
当社は天神山と呼ばれる丘陵上に鎮座しており、社殿まではかなり急な坂を要する。
上の写真の場所から高槻駅北口方面を望む。
毎年2月末には初天神、通称天神まつりが行われ、駅まで続くこの参道では多数の縁日や催し物が繰り広げられるらしい。
その急な上り坂を登った先にある社殿。駅から徒歩数分にあるとは思えない荘厳な雰囲気が漂う、高槻の一大名所である。
1656年(明暦2年)に時の高槻藩主・永井直清によって造営された割拝殿。
その奥にある本殿の外部資材には主に竹が用いられており、当社が保有する約6000坪に及ぶ孟宗竹の整備の再利用によるものらしい。
バスターミナル
高槻市は大阪府下で2つしかない市営バスを運行する自治体としても知られており、中心となるJR高槻駅前には南北に2つの大バスターミナルを有している。
松坂屋擁する駅南口にあるバスターミナルは、JR高槻駅南停と称する。
市内南部に向かう市営バスの路線に加え、京阪枚方市駅に向かう京阪バスのドル箱路線・枚方高槻線のバスも発着している。
一方、「JR高槻駅北停」と称する北口バスターミナル。再開発により、これまでの西口と旧北口のバスターミナルが統合された。
市内北部やJR摂津富田駅に向かう路線が発着し、他社路線が入線しない市営バス一色のバスターミナルとなっている。
コンコース・改札口
【すべてのホームに連絡可能な中央口】
駅南口から中央コンコースを望む。市内北部に名勝・摂津峡等を擁する自然豊かな都市でもあり、観光案内所も設置されている。
コンコースを入ったところには、高槻のゆるキャラ「はにたん」が出迎えくれる。
市内中部にある6世紀前半では最大級の古墳と言われている「今城塚古墳」がモチーフとなっているらしい。
平日昼間でも終始人通りが絶えない中央コンコース。
当駅の利用客数は1日約13万人。乗換路線の無いJR西日本の駅では最多を誇り、新快速停車駅として堂々たる存在感を示している。
その中央コンコース東側には、テナントも充実している。
そして、北口に出る。
そして、こちらは改札内コンコース。新快速用新ホーム設置前はこのような状況だったが、、、
2016年(平成28年)3月26日からの新ホーム供用開始後はこのような姿になった。
上の写真の場所から奥に進むと、新ホームと旧ホームとの分岐点に差し掛かる、
新ホーム供用開始後は、新快速・関空特急はるか号と、快速・普通電車のホームが分離され、ホームへの連絡通路もこのように分かれることになる。
京都・草津方面の新ホームは1番のりばとなり、これまでの1・2番のりばは2・3番のりばへと改称された。
一方、大阪・三ノ宮方面の新ホームは6番のりばとなり、これまでの3・4番のりばは、4・5番のりばへと改称されている。
そして、中央改札を改札内より望む。
当駅は大阪・京都両駅に新快速で15分で行けるかなり高い利便性を有しているが、北大阪最大の商業集積地として高槻に人が集まる流れも出来ているようだ。
【ホームによって入り口が変わる西口】
全てのホームへのアクセスが可能な中央口と異なり、西口はホームによって入り口が変わるという興味深い構造となっている。
京都・草津方面の新快速が発車する1番のりばへは左側の「きた西口」から、それ以外のホームへはこれまでの西口であった右側の「地下西口」から入場する。
その西口前には、今般の新ホーム設置に合わせ、発車案内掲示板も設置された。
これが、京都・草津方面行きの新快速電車が発車する1番のりばに直結する「きた西口」。
反対の大阪・三ノ宮方面行きの新快速と関西空港行き特急はるか号が発車する6番のりばに直結する改札は「みなみ西口」と称され、同様の構造となっている。
そして、これが旧来からの西口改札であった「地下西口」に繋がる通路。
構造上、旧来からの島式ホームである現2~5番のりば(旧1~4番のりば)にしか繋がっておらず、6番のりばへはさらにホーム中央の連絡階段を経由する必要がある。
時刻表
JR京都線(東海道線):大阪・三ノ宮方面
日中時間帯は新快速・快速:4本/時、普通:8本/時(うち高槻始発4本:尼崎からJR宝塚線経由新三田方面行き、残り4本は京都から来る須磨・西明石方面行き)の運行体系。朝ラッシュ時は新快速・快速が倍増、普通が5割増しとなり、複々線の威力がフル活用されている。
2016年(平成28年)3月のダイヤ改正より、関西空港行き特急はるか号は朝4本停車を開始している。
JR京都線(東海道線):京都・草津方面
日中時間帯は新快速4本、普通8本(うち高槻まで快速が4本)。快速は早朝のみの運転で、8時以降はすべての快速が当駅から各駅停車に変わる。
高槻まで快速運転をしていた普通は、長岡京付近で新快速に追い抜かれるが、京都まで直通する4扉普通車は京都まで先着するダイヤとなっている。
関西空港方面は朝4本の停車である関空特急はるか号は、京都方面行きは夕方以降に30分間隔で計10本停車する。
乗り場
2016年(平成28年)3月より、外側に新快速用のホームが設置され、これまでの2面4線から、4面6線のホームに変貌を遂げた。
【1番のりば(新ホーム)】JR京都線:京都・草津方面(新快速電車・関空特急はるか号)
2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正より供用が開始された新ホームの1番のりばからは、京都・草津方面行きの新快速電車と夕方の関空特急はるか号が終日発着する。
その新1番のりばと、2番のりばとなった旧1番のりばを改札内コンコースより望む。
新ホーム設置まではホームの無い通過線であったこの1番のりば。
当駅を通過する電車は全てその通過線を通っていたため、発車案内板で「通過」の表記が見られることは無かったので、妙に新鮮な感じだ。
新ホームの目玉となるのが、このロープ昇降式ホーム柵。
この新1番のりばに新快速電車が到着すると、、、
何と、ロープ(ワイヤ)がドアより高い位置まで上昇する仕組みとなっている。
ジャイアント馬場級の人の場合はちょっとしたリンボーダンス的気分が味わえそうなこの昇降式ホーム柵は、日本で初めて実用化されたものらしい。
そのロープ柵越しにホーム全景を望む。乗り換え無しの中間駅での6線構造は、当駅の格を一段を高めるものとなるだろう。
新ホームからの発着によりポイント切替の必要がなくなった新快速は、初動から爆速体制をとることが可能となった。
【2・3番のりば(旧1・2番のりば)】JR京都線:京都・米原方面(快速・普通電車)
これまで1・2番のりばだったホームは、、、
新ホーム設置により、2016年(平成28年)3月26日より2・3番のりばへと改称された。
駅票。JR京都線(東海道本線)は、JR西日本管内でJR神戸線に次ぐ2番目に利用客数を誇る旗艦路線であることから、同社のコーポレートカラーがそのままラインカラーとなっている。
その引上げ線を、駅東側の歩道橋より望む。当駅は、大阪方面からの普通電車の多くが終点となる、運行上の境界駅でもある。
当駅は1876年(明治9年)に官製鉄道の大阪ー向日町間開通と同時に開業した歴史のある駅である。
開業当時は全線が単線で、大阪駅と京都駅を同時に発車した列車が、ほぼ中間に位置する当駅で交換を行っていたらしい。
内側の2番のりばに、当駅まで快速運転を行っていた223系普通電車の野洲行きがやってきた。
この種別は普段は外側の1番のりばに停車するため、内側線で見るのは実は珍しい光景だったりする。
内側線での普通電車の並び。左側2番のりばが京都行き、右側3番のりばが当駅始発の新三田行き。共に同じ207系だ。
新三田行きは、尼崎からJR宝塚線(福知山線)に入るため、種別の下のラインは、同線のラインカラーが施されている。
外側1番のりばに、223系普通野洲行きが到着。当駅まで快速運転を行っていたが、当駅で種別変更される。
快速が当駅以東各駅に止まるようになったのは、普通電車に201系が投入された1985年(昭和60年)のことだ。
2番のりばが1番のりばだった時代には、このホームから発着する新快速電車の姿も見ることが出来た。
新快速はここから京都までノンストップで駆け抜け、先行する普通電車を長岡京駅付近で追い抜く。
その横顔。開業後長らくは新快速通過駅であったが、1990年(平成5年)より一部列車が停車し、1997年(平成9年)に全ての新快速が停車するようになった。
1日13万人が利用する駅にしてはホーム幅が狭いのが特徴で、これが新快速専用ホーム設置の要因となった。
完成間近の新快速ホームを、683系特急サンダーバード号が通過していったが、、、
新ホーム完成により、このような光景に変わった。
【4・5番のりば(旧3・4番のりば)】JR京都線:大阪・神戸方面(快速・普通電車)
そして、これまで3・4番のりばだったホームは、、、
新ホーム設置により、2016年(平成28年)3月26日より4・5番のりばへと改称された。
さらに、遅延の影響で「新快速・大久保行き」という珍しい設定が表示された3列表示の発車案内板も、、、
4列表示の新式にリニューアルされた。
4番のりば時代の現5番のりばにやってきた、当駅から快速となる221系。快速は今後もこのホームから発着し続ける。
快速は、三ノ宮・神戸まで先着し、明石までの間に後続の新快速の追い抜きを受ける。
一方、その快速電車を追いかける223系新快速電車は、もはやこのホームから発車することはなくなった。
新快速は当駅を出ると新大阪まで止まらないが、数年後に茨木に新規停車するとの報道が出ており、実現すれば大阪までは快速と同じ停車駅となる。
従って、この新快速電車と普通電車との同一ホームでの緩急接続のこの光景も、2016年(平成28年)3月26日以降は見られなくなってしまった。
高槻駅の新ホーム設置は、利用客数に比して狭隘なホームによる混雑回避が目的とされている。
新快速電車のホームを分ける例は、大阪駅・新大阪駅・京都駅でも見られる。
しかし、それらの駅はラッシュ時のみの新快速ホーム分離であるのに対し、当駅のおける分離は終日に渡って行われるという、極めて珍しい例である。
【6番のりば(新ホーム)】JR京都線:大阪・三ノ宮方面(新快速電車・関空特急はるか号)
そして、大阪・三ノ宮方面の新快速・関空特急はるか号用の新ホームは6番のりばと名付けられた。
その6番のりばを改札内コンコースより望む。
ホームが狭隘とはいえ、日中はそれほど混雑しない状況にありながら、終日に渡って新快速の発着ホームを分離する狙いは、実はホームの混在回避以外の別の狙いがありそうだ。
6番のりばに設置されたピカピカの駅票。高槻にとっては、この新ホームとはるかの新規停車は絶好のPR機会となっている。
その新6番のりばに、223系新快速姫路行きが到着した。
ご覧のような4・5番のりばの状況下で、ラッシュ時以外に必然性の乏しい新快速ホームの分離は、実は当駅で緩急間の乗換をさせない狙いがあるように思われる。
つまり、現在でも大阪ー京都間の緩急接続は快速・普通間で行い、新快速と快速を遠近分離させるダイヤとなっているが、新快速のホームを物理的に分離することでその意図をさらに明確に伝え、利用の偏る新快速から快速への平準化を図る狙いがあるように見える。
そして、その新快速電車が去った直後に6番のりばにやってきたのが、、、
2016年(平成28年)のダイヤ改正より新たに停車するようになった281系関空特急はるか号だ。
6番のりばから発車する関西空港行きは、朝4本だけしか停車しないため、貴重な遭遇となった。
この高槻駅における新快速ホーム分離と、関空特急はるか号の一部停車は、取りざたされている茨木駅への新快速停車にどのような影響を与えるのだろうか。
今度は、その関空特急はるか号を6番のりば側から望んでみる。
5番のりばの221系快速姫路行きとの並び。この優等でホームが2つ利用できる状況は、遅延防止に好影響を与えそうだ。
新ホーム開業初日の関空特急はるか号一番列車の出発時には、何とこのホームが550人もの人でごった返したらしいが、2日目にはもう静寂を享受できる状態にあった。
快適な取材のためには、何でも初日は捨てた方がよさそうだ。
えきログちゃんねる[動画配信]
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4番のりばに入線する223系快速網干行き入線放送